活動報告の方でも書いた通り、とんでもなく体調が悪いので、書き終えたら即フリージアしました。
恐らく道は続くので、みなさんが止まらない限りその先にねこはいます。よろしくお願いします(混ざった)
モビルスーツ戦。たった数十秒の攻防だけで二千文字近く使うとか、もうちょっとスマートに出来ないものか……
それではどうぞ。
グレイズの男はバルバトスを確認すると、漸く来たかと武器を握り直した。
『おー、やっとこさ来たか。お前が三日月・オーガスで間違いないな?』
『質問してるのはこっちだろ。アンタ、なにやってるの?』
『なにって、そりゃ見りゃわかるだろ? 遊んでやってたのさ。その二人の嬢ちゃんとな。お前さんもその口だろ? そこに倒れてる奴が何よりの証拠だぜ?』
グレイズが目を向けたのは呻き声を微かにあげながら、それでも立ち上がろうとする鎧の少女。
その鎧に翼は目敏く反応する。
「あれはネフシュタンの鎧!」
自然と翼の剣を握る拳に力が入る。それは天羽奏を喪ったあのコンサートの日に行方知れずとなっていた翼にとって、己の不甲斐なさの証。何故それがここにあるのか、そして何故それを纏う者がいるのか。疑問は尽きなかったが、その前に三日月が動く。
『そんな事、どうでもいいよ。重要なのは……』
次の瞬間にバルバトスはスラスターを全開にしてグレイスに突撃する。
『アンタが響を傷つけたって事だ』
『は、ご主人様傷つけられてキレてるって訳か? 犬かよお前は!』
そんな三日月に慌てる事なくグレイズは武器を向ける。左手のグレネードランチャー。サブアームのマシンガン、右肩の対物砲、脚に装着されたミサイルポッド、右腕に内蔵された滑空砲。
その全てをバルバトスに向けて発射した。
満遍なく広げられた弾幕。三日月は即座に己の脅威となる物のみを識別、判断し。メイスを投げつけた。
『ぬおっ!』
メイスは対物砲の弾にあたり、互いに僅かだが軌道を変え、対物砲はバルバトスの頭部に、メイスはグレイズの脚へと襲いかかった。
すんでのところで回避したグレイズ。そして少し顔を逸らす事で対物砲を回避する。その後バルバトスは両腕でガードするようにマシンガンの弾やミサイルの爆発の中を突っ切っていく。
そして最後に少し遅れて発生したグレネードランチャーの爆発で加速し、片手に取り出していた刀でグレイズに斬りかかった。
『うおっと! 危ねぇな!』
それを右手の斧で防ぐ、そしてサブアームのマシンガンとグレネードランチャーをバルバトスへと向け、その前にバルバトスが地面に突き刺さっていたメイスで薙ぎ払う。
『ぐぅ!』
横にくの字になりながら吹き飛ぶグレイズ。バルバトスはすぐさま追撃に入り、いつのまにか置くように放たれていたグレネードの爆発に巻き込まれた。
『ちっ』
すぐさまバルバトスは煙を刀で払い、グレイズの姿を確認しようとする。
だがその間にバルバトスの側面に回っていたグレイズから対物砲が放たれて、三日月は勘でその弾丸をメイスで受け流した。
『チィ! なんつぅ勘してやがんだテメェ!』
『よっと』
バルバトスは弾を防いだ時の反動で一回転。その勢いに乗せて刀をブーメランのように投げつける。
勢いの乗った刀を斧で上に弾くしかなかったグレイズ。そこには当然大きな隙が出来る。その隙にバルバトスは胸に向かってメイスを突き出す。咄嗟にグレイズは斧を持っていない方の腕を盾にしようとする。だがバルバトスの持つメイスにはパイルバンカーが内蔵されており、それは腕を貫通し、胸すら貫くだろう。それを感覚で理解していたため、三日月は迷いなくメイスを突き出す。
しかし、メイスが相手の腕にめり込み始めた瞬間、爆発が起こる。
グレイズの腕にはリアクティブアーマーと呼ばれる爆発する鎧が仕込まれていたのだ。
勢いを完全に殺されたメイス。それを持つバルバトスの腕をグレイズはグレネードランチャーを捨てた手で掴み、上に振り上げていた斧を振り下ろす。
だがその前にバルバトスはグレイズに頭突きをし、グレイズとの距離をゼロにする。
それにより斧は空振り、グレイズとバルバトスは至近距離で睨み合う結果となった。
膠着状態。その後すぐさまグレイズがミサイルを発射した。爆発でお互いに吹き飛ばされ合う。
『チッ、こいつとやり合うには手札が足んねえな。悪いが坊主、ここまでだ』
『逃すと思ってるの?』
『これは何でしょうか?』
グレイズの両手に、グレネードのようなものがそれぞれ握られていた。グレイズはその二つをよりにもよって戦いを見ていた響と未来の方へと放り投げた。
『ち!』
慌てて三日月はそのフラグを途中で叩き潰す。と、爆発と煙が一気に吹き出した。更にそこへ
『スモークも持ってきな』
ほぼ空のミサイルポッドから二、三発のミサイルが発射され、周囲に煙幕を張った。
そして、煙が晴れる頃にはもう既にグレイズの姿はなく、同時にネフシュタンの鎧を纏った者もいつのまにかいなくなっていた。
『……』
「み、ミカ……」
『ん、響。無事? 未来も大丈夫?』
戦いはひとまず終幕と相成った。
僅か数十秒の攻防を響は頭の中に強く強く、刻みつけていた。
お前らは……止まるんじゃねぇぞ……(遺言)