爆風に部屋から押し出され、浮遊感を味わう響。このままならば、地面に叩きつけられ、シンフォギアを纏っていない響は死んでしまうだろう。
「う、うぇぇ!?」
「立花!」
しかし、そうはさせまいと遅れてやってきた翼が響を抱き抱えた。一気に減速し、地面に降り立った。
「す、すみません!」
「歌いなさい!」
翼は短くシンフォギアを纏うように指示をし、響を下ろす。そして抜刀して二人の目の前に降り立った敵と対峙する。
「ろ、ロボット……?」
現れたのはさまざまな武装が取り付けられた緑色のロボット。かなりの重装備だ。それでもどこか三日月を彷彿とさせる。
頭部が開き、ぎょろぎょろと周囲を見回すように動く。
そして響たちを捉えて、それに響は詩を口ずさもうとする……
『お前ら、二課の人間だよな?』
「……え? 喋っ……た……?」
衝撃を受け、響の思考は停止した。無理もない、なにせ相手はどこからどうみてもロボットそのものだったのだから。
「貴様……人間か?」
『おうさ、百パーセント人間だぜ? これはモビルスーツつってな、お前らでいうシンフォギアのアームドギアみたいなもんさ。
っと、そんな長話してる場合じゃねぇか。なぁお前ら……』
——三日月・オーガスってやつ知らねえか?——
「……は……」
響の呼吸が止まる。その反応にロボットは満足そうに頷いた。
『知ってるつー事は、奴の関係者で間違いねえか』
「貴様の狙いは彼か?」
『そうだぜ? 隠すようなことでもねぇからな』
刹那、相手から殺気が吹き出し、同時に翼が駆け出した。
「イヤァッ!」
翼は裂帛の気合いと共に斬撃が檻のように相手の逃げ道を塞ぐ。
回避は不可能、なればと相手は斧でその全てを次の瞬間に防いでいた。
鍔迫り合いとなり敵はパワーで、翼は体の使い方を駆使して互いの動きを制限させる。
『は、甘すぎんだよ!』
「なっ!」
だが、その拮抗は敵のサブアームに備え付けられたマシンガンによって崩される。
マシンガンが容赦なく翼を襲い、翼はやむなく下がる。
「おおおおおおおっ!!!」
「立花!?」
そして入れ替わるかのように響が側面から拳を振るう。技はないが、愚直な一撃。いくら装甲に固めようともこの一撃ならば通るだろう。
……当たればの話だが。
『素人が、話にもなんねえよ』
「え」
響の前からロボットが掻き消えた。それだけでなく彼女の視界がブレる。響は何をされたかも分からぬまま吹き飛んで、壁へとぶつかった。
『お釣りだ、持ってきな』
更に追加で響に向かって
だが、空から響とロボットの間に巨大な壁のようなものが降ってきた。
『チッ、盾か?』
「否、剣だっ!」
それは翼が成長した証でもある。剣でありつつも、響を守れる盾にもなれる。そんな事実の証明だった。
だが、相手にはそんなこと関係ない。肉薄してくる翼にマシンガンを撃ちながら迎え撃つ……その最中。
「響!」
ここにいるはずのない人物の声が聞こえた。
「え……み、未来……?」
その名は、小日向未来。三日月とともに出かけていたはずの人物である。
それが意味するのは、
「がっはっ」
転がってくるのは鎧を纏う銀髪の少女。そして……
『何してんの、アンタ』
メイスを携えし悪魔である。
モンハンせねば……未だ積みゲーと化している。