IS使いの剣舞 Re.make   作:剣舞士

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ええ〜、第3話です!

ISサイドと剣舞サイドの行ったり来たりなので、あまり進行速度は速くないのですが、頑張って書きます(^O^)/





第3話 それぞれの始まり

年が明けてからの、中学三年生は、とても忙しい。

それもそのはずだ、何故なら、自分の将来を決める進路の一つ……『高校受験』が待っているからだ。

 

 

「三春、本当に行くのか……?」

 

「もう〜……こんな時にまでそんな事言うの? せめて受験の時くらい、応援してくれてもいいじゃん……」

 

 

 

受験当日の朝。

中学の制服に袖を通した三春は、早々に準備を済ませて、受験票や筆記用具……お守りなどが入った学校指定の鞄を持って、玄関のほうへと向かう。

そんな後ろ姿を、レディーススーツ姿の姉、千冬が見ていた。

だが、千冬はあまり三春の受験に乗り気ではないようだ。

 

 

 

「別に、私が受験したって、問題ないでしょ?」

 

「問題はないが……」

 

「国立校だから、お金は国が負担してくれるし、卒業の進路の幅を考えれば、少しは妥当な選択じゃない?」

 

「そういう事を言っているわけじゃない。お前はそれでいいのか?」

 

「もう〜、またそんなこと言う……」

 

「言うさ……。お前は私の家族だ……家族の今後の事を真剣に考えて何が悪い?」

 

「…………何が心配なの?」

 

「お前はまだ、一夏のことを……」

 

「………………」

 

 

 

 

それから先は、何も喋らなかった。

また同じ事を言われると思ったからだ。

そんなことは、言われなくてもわかっている…………。

もう五年以上姿をくらました兄を探すなど、本来ならばしないし、やったとしても諦めている。

だが三春は、未だに諦めきれない。

 

 

 

「たとえ兄さんのことが無かったとしても……私は同じように進んでいたよ。

でも、やっぱり兄さんの事を忘れるなんてできないし、そんな事したくない……!

兄さんの記憶を、失くしたくはないから……」

 

「…………たとえIS学園に行こうが、あいつが見つかるとは限らんぞ?」

 

「わかってる……それでも、私は進むよ」

 

「…………わかった。そこまで言うならば、もう止めない」

 

「うん……ありがと」

 

「ふん……頑固なところだけは、一夏に似ているからな」

 

「それは姉さんもでしょ?」

 

「一緒にするな」

 

 

 

 

それだけ言うって、千冬は居間へと向かった。

 

 

 

「まぁ、お前の学力ならば、筆記は大丈夫だろうが、実技でヘマをするなよ?

ISは使えなければ話にならんからな」

 

「誰に言ってるの? 私は姉さんの妹だよ? 受かるに決まってるじゃない」

 

 

 

どことなくそう思える自信はあった。

特に理由はないのだが、筆記、実技が、ともに受かるというビジョンがすでに見えていたのだ。

それだけ言って、三春は玄関のドアを開けた。

 

 

 

「気をつけて行けよ」

 

「うん。行ってきます」

 

 

三春を見送って、千冬も仕事に行く支度をする。

居間に入った瞬間、ふと目に入った写真を見る。

姉、弟、妹の三人で写った写真。

その真ん中にいる、弟の写真を見ながら、千冬は祈った。

 

 

 

「頼む、一夏…………三春に、力を貸してやってくれ……!」

 

 

 

三春が進路を決めた理由の大半は、弟・一夏の事が関係している。

姉である自分がいかに言って聞かせようとも、三春の考えが変わる事はない。

弟の一夏の事が好きで、いつも後ろをくっついて歩いていた……。

一夏が剣道をやると決めたら、自分もやると言いだしたり……。

好きという感情も、どこか兄妹というよりも、一人の男として好きなのではないか? と思えるほどに……。

自分の妹ながらに、変な性格になってしまったと思ったが、いずれ、その思いにも決着をつけるだろうと、これまで何も言わなかった。

その選択が正しいのか、間違っていたのかは、今でもわからない。

ただ、今ここにいる妹だけは、何としても守りたい。

千冬の心は、その事に満ち溢れていた。

 

 

 

「じゃあ、私も行ってくるよ、一夏」

 

 

 

千冬は鞄を取り、玄関の方へと歩いて行った。

ドアを開け、空を見る。

雲が少々覆っているが、その隙間から降り注ぐ陽光が見て取れる。

昨日の天気予報では、雨の可能性があったのだが、本当に晴れてよかった。

 

 

 

「さて……私は私の仕事をせねばな」

 

 

 

ドアに鍵をかけて、千冬も仕事場に向かった。

かつて最強のIS使いと言われた彼女の、新しい職場……。

ほぼ海に面した、島のようなところに存在する、教育機関の施設へと……。

 

 

 

 

 

 

「ふぅー……寒っ……」

 

 

厚手のコートにマフラー、手袋と、完全防備で出かけたが、まだまだ気温は低い。

今日は雨だという予報だったが、この土壇場で晴れた。

実に運がいい。

 

 

「さてと、電車に乗る前に……寄っていかなくちゃ」

 

 

 

三春は、足早に駅とは違う方向へと向かっていた。

自宅からは、そんなに離れていないため、目的地は視認できるほどの場所。

雑木林が茂っているところで、とても静かなところだ。

大きな石造りの鳥居があって、その奥には、本殿が見える。

そう、三春が訪れたのは、『篠ノ之神社』というところ。

幼い頃、剣道の稽古や、夏祭りの際に何度も訪れた場所だ。

ここ最近は、あまり来ていなかったため、随分と久しぶりに感じる。

 

 

 

「最後の合格祈願! やっぱりここじゃなきゃ嫌だなぁ」

 

 

他の神社にも、中学の友人たちと行ったのだが、やはりここが一番落ち着く。

本殿の方へと向かい、賽銭を入れて、二礼二拍手一礼をする。

 

 

「よしっ!」

 

 

 

気合いを入れ直して、三春は駅の方へと走り出した。

これで大丈夫。

今日の受験は、絶対にうまくいくと、確信を持てた表情で、三春は走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、鬼が出るか蛇が出るか……!」

 

 

 

自分がこれから所属する教室を前にして、一夏は大きく深呼吸をした。

エリスから学院内を少しばかり案内してもらい、最後に来たのが、一夏も所属する事になるレイヴン教室。

何でもここには、優秀な問題児達ばかりが集まるという。

 

 

 

(っていうことは……)

 

 

 

一瞬、自分の脳裏に火猫のお嬢様の姿が鮮明に映し出される。

やだなぁ〜と思っていた瞬間、いきなり足元をすくわれた。

 

 

「ぬおっ!? だぁはっ!」

 

 

扉を開けようとしていた為、周囲に全く気を向けてなかった。

そんな瞬間を狙っていたのか、一夏の左脚に鞭が巻きつき、一気に引っ張られた事によって、一夏はそのまま床に顔面をぶつけた。

 

 

「ぐおおっ〜〜!!?」

 

「ようやく見つけたわ、この奴隷精霊……!」

 

「んんっ……!」

 

 

両手で顔を覆い、痛みに悶絶していると、自分から見て左側の廊下から、少女の声が聞こえた。

おそらく、この鞭の持ち主である事に間違いない。そして、聞き覚えのある声だった為、一夏はうんざりしたような気分で、少女の方へと視線を向けた。

 

 

「さっきはよくも逃げてくれたわね、この奴隷」

 

「やっぱりお前だったんかい……」

 

 

半分わかってはいたが、予感が的中してしまい、気持ちが沈んでしまう。

 

 

 

「さて、言い訳くらい聞いてあげるわよ? 何でさっき、あたしの前から逃げたのよ?」

 

「あの状況で逃げないのはただの馬鹿だろ……」

 

「この奴隷ってば、本当に口が減らないわね……!」

 

 

 

このままだと、またさっきのように鞭による攻撃がくる……。

そう思った一夏は、何とか話題を逸らそうと、またアレをやってしまった。

 

 

 

「落ち着けクレアっ!」

 

「何よ!」

 

「この角度だとギリギリパンツが見えるぞ」

 

「ひゃんっ!?」

 

 

 

この話題を出せば、必ず日和ってくれると思った。

現にまた顔を赤くして、スカートの裾を抑えながら、一夏と距離を置いていく。

 

 

「こ、こここの奴隷……っ!」

 

「早まるな、お前に黒はまだ早い!」

 

「黒なんかはいてないわよ! 白よ、白っ! って、な、何言わせんよバカァ〜〜っ!」

 

 

 

ある意味での誘導尋問だったのだが、これがまた効果抜群だ。

クレアはその場に座り込むと、両目から溢れる涙を拭う。

しかし、両目からは次々と新しい涙が出てくる。

 

 

「ああ〜! ご、ごめんって! ちょっとした冗談のつもりだったんだよ!もう泣くなっての……」

 

「ううぅ〜〜……」

 

「その……ほんと悪かったって……。ちょっとからかおうと思ってやってしまっただけだから……」

 

「こ、この奴隷精霊……! 本当に消し炭になりたいようね……だいたい、何であんたがここにいるのよ」

 

「俺も、今日からこの学院の生徒になったからだよ」

 

「へぇっ? う、嘘よ!だってあんた男じゃない!」

 

「嘘もなにも、お前は自分の目の前で、俺の正体を見たじゃないか……。俺は男の精霊使い……世界でたった一人だけのな」

 

「嘘……本当に?」

 

「本当に。それに、俺は目の前の教室に、これから所属する事になるから、今ここに居たってわけだ」

 

「…………」

 

 

 

今日初めて会った男が、自分たちと同じ精霊使いで、しかも同じ学院の同じクラスに編入してくるという事らしい。

ここまで来て、色々な情報が入ってきた為か、クレアも混乱しているようだ。

しかし、一夏の言った、『男の精霊使い』という単語を聞いて、ようやく我に返った。

 

 

 

「そ、そうよ! あんた、私が契約するはずだった精霊、横取りしたじゃない!」

 

 

 

この学院に来る前に、一夏はクレアを助ける為に、古い聖剣に封印された精霊と契約した。

その事を知ったクレアが、一夏自身が、自分の契約精霊になれと言いだしたのだ。

 

 

 

 

「だけどお前、あの時俺が精霊と契約してなかったら、あのまま死んでいたんだぞ」

 

「っ……!」

 

 

 

そう……。あの時、精霊は完全に暴走していた。

そしてクレアの契約精霊であるスカーレットを、一撃で仕留めるほど強力な力を見せた。

ならば、後の展開は見えている……。

 

 

 

「わかったわよ……認めるわよ! でも、それとこれとは話が違うわっ!」

 

「お前……」

 

「あたしには、どうしても強い精霊が必要だったの……。それを、あんたが奪ったんだから、責任を取るのは道理だわっ!」

 

(こいつ……)

 

 

 

あまりの言動に、さすがの一夏も頭にきた。

恩着せがましくするつもりはないのだが、ここいらでお灸を据えとくか……。

 

 

 

「オーケー、わかったよ。お前と契約すればいいんだな?」

 

「ん……? へぇ、ようやく分かってきたようね。そうよ、私と契約しなさい」

 

「オーケー……じゃあ」

 

「へ、へぇっ?!」

 

 

 

一夏はクレアに近づくと、そのまま壁際まで追い込んで、ほとんど密着するのではないかというくらいにまで迫る。

おかげでクレアの顔は赤く染まり初めて、身動き一つすら出来なくなったようだ。

 

 

 

「精霊騎士を目指す精霊使いなら、高位の人型精霊との契約方法は知っているよな?」

 

「なっ、そ、それは……」

 

「そう……“口づけによる契約” だろ?」

 

「っ〜〜〜〜!!!」

 

 

 

 

顔が沸騰しそうなくらいに赤くなっているのがわかる。

ほんと、こういう類の話や行為には耐性がないらしい……。

 

 

 

「あいにく、俺は奴隷精霊という名で契約する事になるみたいだが、それでも俺は人型だぜ?

なら、当然その契約方法も…………」

 

「そ、そんな、ちゃ、ちゃんとしたやつじゃなくてもいいって言うか……」

 

「何だ、怖いのか?」

 

「こ、強くなんてないわよ! 誰が怖がってーー」

 

「ほう? じゃあ、さっさと口づけしてもらうか」

 

「ひゃんっ!?」

 

 

 

一夏の右手で壁を抑え、左手でクレアの顎をクイっと持ち上げる。

そうなると必然的に顔が上がり、ちょうど一夏の顔が視界全体に映し出される。

話す機会なんて全くなかった男の顔が、今自分の目の前にあると思うと、心臓が破裂しそうなくらい、クレアはドキドキしていた。

体全体がわずかに震えているのが見えたので、一夏はここでダメ押しの一撃を放つ。

 

 

「ほら、そんなに強張ってちゃダメだろう? もっと力を抜けよ……」

 

「ご、ごめん……ごめんなさい……! あ、謝るから、その、もう……」

 

「なに?」

 

「お、お願い……! ゆ、許しーーーー」

 

「もう遅えよ……」

 

「ひ、ひゃあぁぁ……!」

 

 

 

初めてを奪われる……。

そう思った瞬間に、クレアは目を閉じ、強く体を強張らせた。

それを確認した一夏は、クスッと笑い、少しずつクレアから離れる。

 

 

(まぁ、このくらいでいいだろう……)

 

 

 

箱入りお嬢様には、ちょっとした過ぎたお灸だったかもしれない。

だが、今後いい薬になるだろうと思い、クレアに話しかけようとした、その時だった。

 

 

 

「なぁ、キミ」

 

「っ!?」

 

 

 

突然背後から、別の女性に声をかけられた。

今度は女性のような高い声ではなく、もっとしっかりとした、大人の女性のような声だった。

一夏は後ろを振り向き、その声の主に視線を向けた。

 

 

 

「初めまして、レイヴン教室担当のフレイヤ・グランドルだ」

 

 

長い黒髪を一本に纏めて結んでおり、眼鏡をかけた、いかにも教師と思える人物。

教師らしく、レディーススーツを着こなし、その上から白衣を着ている。

そんな大人なフレイヤ教諭は、訝しむ目で、一夏の事を見ていた。

 

 

「君のことは学院長から聞いているよ。学院始まって以来の男の精霊使いだそうじゃないか」

 

「あぁ……ええ、まぁ……。織斑 一夏です……」

 

「そうか、よろしくな、織斑 一夏。それで? 君はこの神聖なアレイシア精霊学院の学び舎の中で、一体何をしているのかな? ん?」

 

 

 

笑いながらの問いかけだが、目が全く笑っていない……。

 

 

「ぁぁ……えっと……」

 

「…………」

 

「その、彼女が、目にゴミが入ったって…………」

 

「…………」

 

「っていうのは、ダメですよね……。ごめんなさい」

 

 

 

フレイヤ教諭の怪訝そうな視線にやられ、一夏は即行フレイヤ教諭に謝罪し、クレアにも謝罪した。

クレアは何事かと目をパチパチとさせていたが、フレイヤ教諭に言われ、先に教室の中に入った。

 

 

 

「別に君の行動全てを否定するわけではないが、限度というものがあるからな?」

 

「は、はい……以後、気をつけます……」

 

「よろしい……。では君も中に入りたまえ……HRを始める」

 

「はい……」

 

 

 

なんとも幸先の悪いスタートだ。

こんな状態で、今後の学院生活は無事でいられるのか、少々不安になってきた一夏であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「立花中学、織斑 三春です」

 

「はい……。では、二階に上がって、三番と書かれた部屋に入ってください」

 

「わかりました」

 

 

 

 

現代日本……。

三春はとうとう、試験会場へと到着した。

高校受験は、本来ならば、受験する高校で試験を受けるものなのだが、あいにくと、IS学園は国レベルで治外法権となっているのが教育機関な為、学園内に入ることはできない。

そのため、試験会場は三春が住んでいるところから電車で駅を三つ超えたところにある、多目的会場だった。

しかも、想像以上に受験者数が多かった。

まぁ、IS学園は国立校であり、今やこの世界の象徴とも言えるISを扱うための学園だ。

もともとが宇宙開発の目的で、開発されたIS。

だが、その目的や技術は、未だに進歩しておらず、今はスポーツとしての地位にある。

そして、そのスポーツの祭典として行われる《モンド・グロッソ》と呼ばれるISの世界大会で、最強の名を得たのが、三春の姉である織斑 千冬だ。

その姉の影響もあって、IS学園の受験者は、年々増加しているらしい。

 

 

 

(にしても、ちょっと多くない?)

 

 

 

施設内に入っても、出会うのは受験者ばかり。

しかし、その数に驚いた。

人混みに酔うという言葉があるが、まさに今それだ。

見ているだけで人酔いしそうになる。

 

 

「なんでこんなに……んっ?」

 

 

あたりを見回してみる。

すると、なにやら立て看板のようなものを発見。

そこには、『藍越学園受験者』と『IS学園受験者』と書かれていた。

そして、藍越の方は、矢印が左で、ISの方は右を向いている。

 

 

(なるほど、藍越学園の受験者もここにきてるってわけか……!)

 

 

 

そう言えば、去年か一昨年くらいにカンニング事件があったとかテレビで言ってたなぁ〜と思いながら、三春は右側の通路へと進む。

 

 

 

(とうとう来てしまったなぁ……)

 

 

 

兄・一夏が失踪してから、ずっとこの時を待ち望んでいた。

世界中で捜索が行われたが、一夏の発見に至らず、世界はその捜索を諦めた。

だが、三春からしてみれば、その行動自体が許せない。

大事な家族を見捨てられて、黙っていられるはずもなかった。

だから自分が、その国家権力の一部でも得られたのなら、その捜索ができる。

そう考えた。その結果、最も近しいのは、IS操縦者になること。

国の代表まで登りつめれば、それはもう、国の顔役。

そんな人物になれば、ある程度の制約などはつくだろうが、今の自分よりは自由に動ける。

 

 

 

「まずはここをしっかりと越えなきゃね……!」

 

 

 

両手で頬を二回ほど叩いて、気合を入れ直す。

言われた教室のドアを開け、三春は空いている席に座った。

筆記用具と受験票を出し、時間ギリギリまで教科書などを見る。

その眼差しは鬼気迫るほどに、真剣なものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヴン教室担当教諭、フレイヤに連れられて、一夏はレイヴン教室へと入った。

まるで劇場のようなつくりをした教室。

階段のように机や椅子が置いてあり、そこに生徒たちが座っていた。

なので、一番下にある教卓の前で自己紹介をしている一夏には、否応なしに様々な視線が突き刺さる。

 

 

 

「あれが男の精霊使い?」

 

「やだぁー、なんだが目つきが怖いわぁ……人とか殺してそう」

 

「あのクレア・ルージュをもう手篭めにしたらしいわよ」

 

「て、手篭めってなに?」

 

「わ、わからないけど、とにかくエッチなことよ!」

 

「ええ〜、でも、なんか不良っぽくてカッコ良くない?」

 

「ダメよ! 男なんてみんな魔王なんだから、油断してたら、すぐ虜にされるわよ!」

 

「噂では、エリス・ファーレンガルトもお手つきになったらしいわ」

 

「ええっ!? あの生真面目な騎士団が? で、お手つきってなに?」

 

「わからないけど、と、とにかくいやらしいこと!」

 

(散々な言われようだな……おい……)

 

 

 

まぁ、男の精霊使いで彷彿とするのは、千年前に存在したと言う、破壊と破滅をもたらした精霊使い……《魔王スライマン》だろうし、こういう反応はむしろ当然だ言えるだろう。

これはこれで仕方のないことだと割り切っていると、不意に、殺気のこもったような視線を感じた。

 

 

 

「消し炭消し炭消し炭消し炭消し炭消し炭消し炭消し炭消し炭ーーーー」

 

(おうおう……めっちゃ呪詛漏れてんぞ……。さっきのは確かに俺が悪かったけど……)

 

 

 

クレアだった。

先ほどからかった事を根に持っているらしい。

まぁ、なんだかんだでクレアもお嬢様なわけで、馬鹿にされれば、貴族としてのプライドが許さなかったのだろう。

だが、もう許してくれてもいいんじゃなかろうか……?

 

 

 

(後でもう一回、ちゃんと謝ろう……)

 

「燃やし燃やする燃やすればーーーー」

 

(…………許して……くれるかなぁ……)

 

 

 

まぁ、どう考えても許してくれそうにはないな……。

そんな事を考えていると、教卓をトントンと二回叩く音が聞こえる。

担当のフレイヤ教諭が、手に持っていた冊子で、教卓を叩いたのだ。

 

 

 

「あー、囀るな静かにしろ……。単位減らすぞ、貴様ら」

 

 

何気に冷酷だな、この人。

 

 

「ほら、お前もとっとと自己紹介をしろ」

 

「あ、はい……」

 

 

やる気があるのかないのかわからないが、とりあえず、ここは穏便に自己紹介をして、少しでもクラスメイトに打ち解けなければ……。

 

「ええっと、織斑 一夏って言います。歳は16歳……。男の精霊使いではあるんだけど、どうか怖がらずに、普通に接してくれると、嬉しいかな」

 

 

無難にやったつもりだったのだが、思いの外クラスメイトたちは静まり返った。

キョトンとした表情のまま、一夏の事を見ている。

 

 

 

 

「なんか、ふつー」

 

「うん、ふつーね」

 

「ふつーだわ……!」

 

「全然魔王っぽくないね」

 

(あれ?)

 

「でも、なんかキュンと来ちゃったよね♪」

 

「あ〜わかる〜。ツンツンしてて、なんかこう、保護してあげたくなる感じ?」

 

「捨てられた子犬的な?」

 

「それだっ!」

 

(なんだ……? この甘くふわふわしたような感じは……)

 

 

 

思った以上に普通の反応だった。

というより、もっと非難されるのでないかと不安になっていたのだが……。

そう思っていた時、フレイヤ教諭が、一夏の耳元で囁いた。

 

 

「ここにいるお嬢様達はな、一般市民に比べて感覚が少しずれているんだ……。何しろ人間にとって最も不可解な隣人である精霊と、いつも触れ合ってるからな。

ま、お前が精霊使い云々という前に、同世代の男との触れ合いに、興味津々なのさ」

 

「な、なるほど……」

 

そう言うことなら、少しは気兼ねなく接していけるかもしれない。

 

 

「あ、あの……一夏……君?」

 

「ん?」

 

「えっと、す、好きな食べ物ってなに?」

 

「え? 好きな食べ物? まぁ、特に好き嫌いはないけど……強いて言うなら、グラタンかな?」

 

「ふつーよ! ふつーだわ!」

 

「女体盛りとか答えるかと思った!」

 

「可愛い!」

 

(普通……でいいんだよな? っていうか、普通女体盛りとか答えねぇだろ……!)

 

 

 

というよりも、何故女体盛りなどという言葉を知っているのだろうか……?

いや、一応健全な女子である為に、そういう知識くらいは知りたいという好奇心があるのかもしれないな。

そのあとも、いろいろと質問が飛んでくる。

 

 

 

「どこの出身なのっ!?」

 

「ス、スリーサイズは?」

 

「お風呂に入る時、どこから、あ、洗うの?」

 

 

 

もう既に一夏の体の事についての質問に変わっていた。

最後の質問をした子なんか、顔を真っ赤にしながら質問してくるし……。

なんだか、質問されてるこっちが恥ずかしくなってきた。

 

 

 

「一夏君、チームはもう決まったの?」

 

「え、チーム?」

 

「決まってるでしょ、今回開催される精霊剣舞祭のチームよ」

 

「ああ〜」

 

 

 

毎回、精霊剣舞祭の開催日と、その対戦方式は精霊王が決める。

過去の例を見てみると、15年前の『無差別戦闘』……つまり、バトルロワイヤルというものと、3年前は『個人戦トーナメント』だった。

そして今回が『チーム戦』。五人一組のチームを作って戦う戦闘方式だ。

 

 

「ああ〜えっと、まだ見つかっていないけど、これから探す予定かな」

 

「じゃ、じゃあっ、あの誰も手懐けられなかった封印精霊と契約したって噂は本当なのっ!?」

 

「えっ?」

 

 

 

何故そんな事を彼女達が知っているのだろう……?

それは今朝起こったことで、まだ誰も知らないはずなのに……。

だが、そんな疑問にも、即行で答えてくれる人物が現れた。

 

 

 

「そうよ! そして、その精霊を手懐けた一夏を手懐けているのが、このあたしっ!」

 

「やっぱり、お前だったのか!」

 

 

 

いきなり立ち上がり、精一杯体を沿って、無い胸を主張するクレア。

わざわざ言わなくてもいいことを言いふらしたらしい……。

そんなクレアの言葉に、クラス内は黄色い悲鳴が飛び交った。

 

 

 

「ねぇねぇ、クレアと一夏君って、どういう関係なの?」

 

「ご主人様と奴隷精霊っていう関係よ!」

 

「「「「きゃあああああ〜〜〜〜ッ!!!!!」」」」

 

「嘘つくなっ! 俺はお前の奴隷にも精霊にもなった覚えはねぇよ!」

 

「なによ、ご主人様に楯突く気なの?」

 

 

 

とうとうこの事まで言ってしまった。

全く、どこまで我儘なお嬢様なのだろうか……。

しかし、そんなクラスメイト達を見ていたフレイヤ教諭が、再び冊子で教卓を叩く。

 

 

「静かにしろ。まったく……ほら、お前もとっとと好きな席に座れ」

 

「は、はい……」

 

 

そう言われて、一夏は急いで席に座ろうとするのだが、問題は場所だ。

まず間違いなく火猫お嬢様の隣はやばい。

あとは、どの席にもクラスメイトが座っているので、どこかで相席させてもらうことになる。

なので、一夏はクレアから離れるように、遠い席へと行こうとしたのだが……。

 

 

 

ヒュウーーーー!

 

 

 

「っ!」

 

 

風切って、何か来る音がした。

咄嗟に反応して、右手で庇ったのだが、右手もろとも首に黒い鞭が絡みついた。

 

 

「どこに行くのよ。あんたはあたしの隣の席っ!」

 

「誰が行くか! そんな危険な席に!」

 

「ほんっと、躾のなっていない奴隷ね!」

 

「もはや精霊ですらなくなってるだろうがっ!」

 

 

 

なんとしてもクレアから逃れたい一夏は、そのまま後ろの席の方へと向かうが、クレアが巧みに鞭を操って縛り上げる。

わずかに右手を挟んだため、窒息はしないが、それでも息苦しい。

この状態が、まだ続くかと思った矢先、突然鞭による拘束が解けた。

勢い余って、目の前の階段に倒れそうになるが、それをなんとか堪えて、一夏は後ろを振り返った。

すると、教室の床に、妙なものが突き刺さっていた。

 

 

 

「氷の矢……? 氷の精霊魔装か……!」

 

 

矢の刺さり方からして、撃たれたのは上方。

しかし、一夏が視線を向けるよりも速く、クレアの方が口を開いた。

 

 

 

「どういうつもり? リンスレット・ローレンフロスト……っ!」

 

「ん?」

 

 

 

クレアの視線の先……教室の階段最上部の方から、蒼い長弓を手にした少女が降りてくる。

綺麗な金色の長髪が、毛先の方でクルクルとカールをまいており、優雅さと気品さを持ったような顔立ちと出で立ち。

これこそ、まさに貴族のお嬢様と呼べるくらいの人物だった。

 

 

 

「おやめなさい……はしたないですわよ、クレア・ルージュ」

 

「はぁ? なんであんたにそんな事を言われなきゃいけないのよ!」

 

「諦めなさいな、彼はわたくしの隣の席に座りたいと言っているのです」

 

「そんな事、一言も言ってないんだが……まぁ、助かったよ、ありがとう」

 

 

 

降りてくるリンスレットに、一夏は素直に礼を述べた。

だか、リンスレットは一夏に近づいて、至近距離で顔をマジマジと見つめる。

それはもう、何かを見定めるように物色しているようにだ。

 

 

 

「うーん……顔はまぁまぁですわね……」

 

「えっと、あの……」

 

「あなた」

 

「はい?」

 

「わたくしの下僕にならない?」

 

「……………はぁ?」

 

 

 

 

聞き間違い……ではなさそうだ。

だがしかし、急に下僕になれとは……。

クレアは『奴隷』、リンスレットは『下僕』ときた。

もう言い方の問題であって、ほとんど条件に変わりはないようだが……。

 

 

「ちょっと! あたしの奴隷に手を出さないでよね!」

 

「誰が奴隷だっ!」

 

 

リンスレットの発言に我慢できなかったのか、クレアが必死に一夏の右腕を掴む。

だが今度は……。

 

 

「あら? 別にあなたの所有物というわけではないのでしょう?」

 

「もう、なんなのよっ! 離れなさいよ!」

 

「あなたこそ! 目障りですわっ!」

 

「お、おい……っ!」

 

 

 

もはや掴むだけではダメだと思ったのか、クレアとリンスレット、二人同時に一夏の左右の腕を強引に組む。

しかし、そのせいで、一夏の左右の腕には、体感したことのない感触が……。

 

 

(くっ……! クレアのは小さいくせに、なんだか微妙に柔らかい……! だがっ、リンスレットのは、もっと……っ〜〜!)

 

 

 

 

ぷにぷに、ぷよぷよの感触が、両肘あたりで感じられる。

彼女たちが男に対しての耐性がないのと同じように、一夏も女に対する耐性は低い方だ。

今まで感じたことがなかった感触に、心臓の鼓動が速まる。

 

 

(ヤ、ヤバイ……! 心臓が張り裂けそうだっ〜〜!!!!)

 

 

いつまでこの状態が続くのだろう……。

そう思っていたときだ。

 

 

 

「お、お嬢様! おやめください、編入生さんが困っていますよ!」

 

「は?」

 

 

また新たなる女性の声。

視線を再び上に向けると、リンスレットが座っていた席から、一人の女の子が走ってきた。

それも、メイド服をきた着た女の子が、だ。

 

 

 

「メイドっ!? なんで、ここにメイドがいるんだっ!?」

 

 

ここはお嬢様学校のはず……。なのに、何故メイドさんがここにいるのだろう。

だが、お嬢様と呼び、リンスレットと同じ机に座っていたあたり、リンスレットのメイドなのだろう。

一夏は、このメイドさんの行動を、心から支持した。

きっと彼女ならばらこの状況を打開してくれるに違いない……と。

しかし、そんな期待は、呆気なく砕かれることになるのだが……。

 

 

 

「お嬢様、そろそろお席につかないと、また先生に……あっ!」

 

 

 

言葉が途中で止められた。

それは何故か……。階段を降りてくる途中で、見事に足を滑らせたからだ。

 

 

(ああ〜〜…………またこの流れ行っちゃう?)

 

 

 

リンスレットのメイドが、まっすぐこちらに向かって落ちてきた。

当然、腕を掴まれているため、逃げることができず、一夏めがけてメイドがそのまま倒れこんできた。

 

 

 

「ぐおおおおおおっ!!!!!???」

 

 

 

階段のほぼ最上階から一番下まで転落した。

背中などを強打し、呻いていたところに、上からさらに何かが覆いかぶさってくる。

 

 

(んんっ?! な、なんだ、この妙に柔らかい感触……!)

 

「きゃああっ!? ご、ごめんなさいぃぃっ!」

 

「うおおっ?! バカッ、動くなっ!?」

 

 

上から覆いかぶさってきた感触……それは、落ちてきたメイドの豊満な胸だった。

しかも、メイドもメイドで男に対する耐性がないのか、一夏から離れようと必死なのだが、なんせお転婆なものゆえ、立ち上がるどころか再びスカートの裾を踏んで転んできた。

 

 

「むううっ!?」

 

「ひゃあぁぁっ!!?」

 

「あ、あああ、あんたっ! 何してんのよ、この変態っ!」

 

「なっ!? 待てよ、どうみたって俺悪くないだろうっ!?」

 

「うるさいっ! そこに直りなさい、この淫獣っ!!」

 

 

 

スパァン! っと、鞭が床を叩く。

そして、クレアの言葉に便乗してから、クラスメイト達も悲鳴をあげていた。

 

 

 

「きゃあああっ!! 淫獣よ、淫獣ッ!」

 

「やっぱり魔王だわっ!」

 

「気をつけて、私たちもあんな風にされるわよ!」

 

「するかっ!! どうみても今のは事故だろうが!」

 

 

 

慌てて否定するも、時すでに遅し。

そして背後には、怒り心頭の火猫のお嬢さんと、その後ろで赤い顔をしてメイドを守ろうと抱きしめる氷のお嬢さんが……。

 

 

「この奴隷ッ! いいからそこに直りなさい!」

 

「だああっ、もう! だから俺はーーーー」

 

「うるさいっ! 消し炭なりなさーーーーいっ!!!!!!」

 

「ぐあああっ!!?」

 

 

 

容赦のない一撃が、再び見舞われた。

その様子を、フレイヤ教諭はため息をついて、見守っていただけだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これにて、筆記試験の方は終了となります。続いて、実際にISを装着しての起動試験を行いますので、皆さんは屋内競技場へと集合してください」

 

 

 

 

試験官の言葉に従い、三春は、他の受験者たちと共に階段を降りて、一階にある屋内競技場へと向かった。

正直言うと、五教科のテストは自信があった。

もともと勉強は出来ていた方だし、入念な試験準備のおかげで、高得点を取れた自信がある。

あとは、この起動試験を難なくクリアできれば、なんの障害もなくなる。

 

 

(まぁ、楽勝でクリアできる可能性の方が高いけどね……)

 

 

事前に行っていた簡易適正テストでは、『A』判定を示していたため、問題なくパスできるはず。

その後、試験官の指示に従い、IS学園の受験者達は屋内競技場に集まった。

そこで、IS学園の教師達が監視する中で、五つあるISを、一人ずつ乗り、起動させるというものだった。

そして、高判定を出したものは、また別の会場で、実戦形式での戦闘試験もあるらしい。

 

 

 

(戦闘試験……ふふっ、そういうの大好き……!)

 

 

日頃から剣の修行をやっているためか、少々血の気が多いのが玉に瑕だと、姉である千冬に言われたことがある。

だが実際に、剣術勝負は楽しいし、それが強い者との勝負ならば尚のこと嬉しい。

そんな事ばっかり考えていると、いつもの間にか、三春の番になっていた。

 

 

「織斑 三春さん? 急いで装着してもらってもいいですか?」

 

「あっ、はい!」

 

 

検査官に促されて、慌てて三春はISを間近に、呼吸を整え、その手に触れてみた。

するとどうだろう……触れただけで、純日本産の量産型第二世代IS『打鉄』から、とてつもない光が吹き荒れた。

 

 

 

「っ!?」

 

「こ、これはっ……‼︎」

 

 

検査官の女性も、この現象に驚いているようだった。

そして三春の頭の中に、『打鉄』から送られる大量の情報があった。

 

 

「くっ……! こら、そんなにっ…暴れちゃ、ダメでしょ……!」

 

 

大容量の情報が一気に送られたからか、三春は少し体勢を崩した。

だが、ISに触れる手を退けることはなく、しっかりとISに触れて離さない。

 

 

「ゆっくりで、いいからっ、落ち着きなさい……ッ!!!!」

 

 

 

ただの機械鎧であるISに、言葉を投げかける三春の姿は、他の者達から見たら、何を血迷ったのだろうと思われるかもしれない。

だが、その三春の言葉に反応したかのように、ISの光の奔流が収まり、気がついた時には、三春の体にしっかりと装着されていた。

 

 

 

「そ、そんなっ……いつの間に……っ!?」

 

「あの子、いつISに乗ったのっ?!」

 

「いや、そもそも触ってただけじゃん……!」

 

 

 

周りからは驚きの声が聞こえた。

それは三春も同じようで、ISを装着した自分の姿に驚いていた。

 

 

「…………なるほどねぇ〜……ISに乗るって、こういうことなのか……!」

 

 

何かに得心したように、三春は頷き、そのまま飛行してみた。

あいにくとISを自由に飛び回させることができない空間なため、あまり高速飛行はできないのだが、それでも十分に飛んでいる感覚を得た。

 

 

 

「凄い……っ! これが、ISで飛んでいる景色なんだ……!」

 

 

 

兄や探すために、その為だけに、ISに触れて、ISを使いこなそうと思っていた。

だが、この快感……この感触を覚えてしまったら……。

 

 

 

「もっと、もっとこの子と、飛んでみたいなぁ……!」

 

 

 

改めて広がった三春の世界。

ISという相棒の存在に、思いの外心が躍っている感覚だ。

そんな様子を、会場にいた受験者、教員達がしっかりと目にしていた。

そして、三春の検査の担当をしていた検査官が、自身の目の前にある測定器を見て、仰天した。

なぜならそれは…………

 

 

 

 

織斑 三春ーーーーIS適性値 稼働時測定ランク 『S』

 

 

 

 

 

 

 

 






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