東方深意伝   作:ただのみらの

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一月遅れ...申し訳ございません。

こんなんばっかだから見る人が減る(泣)

ちゃんと時間取れるように頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。


23、彼らが神である。

目を覚ませ。

 

そう聞こえた。3つの命のみが存在する空間で。

3つの命が奏でることのない音で言の葉を紡いだ。

その音は紡いだ通り自分らを意識の底から現実へと引き上げる。

 

_______________________________

 

いつの間にか消えていたらしい盾。しかしそこには少しの神力が残っていた。

それらは主の目覚めを確認したからかどうかは分からないが、認識した後に空へと上っていく。

発果と乱華も目を覚ます。その目に映る感情は読めない。

それだけでなく自分の内から溢れ出るこの感情のせいで何も見えそうにない。

 

月へと飛び立った方舟。

置土産にと方舟にいる民から送られたのは、

 

残していく者へのせめてもの助けではなく

 

何も遺さないための滅びだった。

 

「何も残らなかったね、主」

「こんなの、、」

 

「ひどくはないさ。あのとき守ろうと思わなかった俺が悪い。」

 

目の前に広がるは抉られた地面。焼け消えた跡しか無い林。

そこから何もかもが消えた。そこから。

能力を使って見つけた近く生命体は、悪鬼ら3人と、発果、乱華のみ。

 

「悪鬼たちも起こしてやろう。寝たままはキツイだろう。」

 

核が爆発した際、すべての衝撃を消せたわけではないのだろう。

残った衝撃が脳にも届き意識を飛ばされたのか、悪鬼たちは妖力の盾が消え、光があたっても起きなかった。

 

「意識がないみたいだね。どうするの?」

 

起こそうと言ったが、意識を失っているのなら少し工夫しないと。

 

“奥底に眠る力は自らを宿す者を癒し育てる光の種なり。目覚めその者を照らし給え”

 

悪鬼たちの体から強い力の鼓動と共に光が溢れ出す。

 

「こうしておけば目が覚めて体に違和感が残ることはないだろ」

「起きるまで待たなくていいのか、主?」

 

発果の言うように待ちたい気持ちもあるが。

 

「戻らないと行けないところができたんだ」

 

核が及ぼした被害を交換しないといけない。

 

「此世界の家?」

「知ってるのか?教えたこと無いはずなんだけどな...」

 

発果はなぜか俺の行き先を言い当てた。

 

「心に住んでるから記憶くらい覗けるんだよねー」

 

乱華が困る俺に理由を教えてくれる。心に住まれると記憶まで除かれるのか...。不便だ。

 

「それはまた対策するとして、行こうか」

「どうやって行くの?ここからじゃ見ることができないよ?」

 

乱華は記憶を覗いて、此世界の家がある場所みたのだろう。

 

「認識不可能の空間だからな。此世界以外には」

 

俺には見える。

 

「じゃあ飛ぶぞ」

 

乱華と発果を両手に抱え、家へと飛ぶ。

 

________________________________

 

此世界宅にて

 

「時雨姉様、どうします?」

「どうするって私達は何もできないわよ...」

「運命と人命だけがどうにかできる状態だねー」

 

世界を管理する彼女らにも被害はあった。

地球に大きな変化が起きた場合。その事象のせいで歪んだものは2つ。

人命の司る生命体どうしの関係。一部の妖怪が消滅したため力のバランスがとれなくなっていた。

運命の司る運命。影響が大きい事象が起きたため制御していた運命の力の効力を超えて、世界の運命が大きく道を外れてしまった。

 

人命は力の調節。運命は軌道修正を行っている。

私達は世界に大きな力を使う際、意識を今いる場所から世界全てに拡散させて力を伝達している。

理由としてはこっちの方がやりやすいから。

そのため人命と運命は反応していない

 

「あれ?家に誰か近づいてきたよ?どうする?」

「ここに来れるのはさっきの船と言葉くらいよ。船は月へ向かったし...」

「来るのは言葉兄ぃ?」

 

世界が名を呼ぶと同時に彼が帰ってきた。

 

「ただいま、皆」

 

「「「おかえり!言葉!」」」

 

非常事態だからこそ彼がここにいるというのはとても安心できる。

まあ、それよりも久しぶりに会えた嬉しさのほうが嬉しいけど。

 

___________________________________________

 

「こっちの状況はどうなってるの?」

 

帰ってきた我が家では運命と人命が壁にもたれかかるようにして眠っている。

少し不自然な力の漏れ方もしているため不安になる。

あ、乱華と発果は一瞬でこっちに来るとき邪魔だったから心に戻したよ。

置いてけぼりにはしてないよ。

 

「さっき地球で起きた爆発のせいで管理できなくなってるの」

 

あれ、時雨めっちゃしゃべり方大人なんだけど。十数年くらいかな?変わりすぎ...

っていうかそれよりも

 

「空間には何もなかったのか?何かあって欲しい訳じゃないけど」

 

爆発の際多少の歪みが発生したと思うんだけど...

 

「それなら大丈夫!空間(くうかん)を細断して歪みを更に歪ませて...」

 

あれ、空間も何か変わってる。めっちゃ賢くなってる。なにこれ。

 

「...で!歪みを封じ込めたんだよ!」

 

あの場面から連ねられた専門用語の文は数分の時を奪っていった。

長い。

 

「そうか、ありがとうな」

 

さっきの説明はさておき、歪みを抑えてくれたのはありがたい。

 

(さてと、そろそろ)

 

「そろそろ俺も仕事しなくちゃな」

 

地球にいた自分も確かに今と同じ神だった。

しかし、ここと地球では神の在り方が違うのだ。

下に信者を従える神ではない。

 

常に上に立ち続け管理し続けてきたのがここの神。

 

出張したら管理を崩された。積み上げた少しの努力を崩された。

頑張る家族の邪魔をしたのだ。

 

目にウツル感情は、自らを裏切った神への少しの怒り。ただそれだけ。

正直あの時間は楽しかった。

自らの力とは違う、新たな力を見たり

自らの力をさらに知れたり

良い経験ができた。でも

 

その一瞬の時を壊されたのだ。仕方ない。

 

 

 

これからの仕事について心残りはない。またやり直せばいい。

間違えたところだけを。

 

 

 

そして、間違えた者にはそれ相応の罰を与えてやればいい。

 

 

 




短いですけどこれにて第一章終了です!
次回は二章のプロローグです!

言葉の性格や考えがよく出てくる言葉回みたいなのです。
二章は少なく長く。
話数を少なく、文章長くを目指していきます!

そして!二章の題ですけども!




〜神ハ悩ミ出会イ知リ考エ願イ廻ル〜


です!

次回投稿は年明けの3日の内にあげます!

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