それと、週一ですいません!学校が意外と忙しくて…。
6月末からは毎日まではいきませんが、連投していきます!
それでは第16話をどうぞ!
「ックソ!何だよこの数は!」
「口ではなく手を動かしてください!押されますよ!」
互いに声を掛け合いながらも、その大群に剣を振るう。殺すことに躊躇なんてしてる暇なんてない。ただ斬っていくだけ。
「ハアアアアアッ!」
剣を地面と平行にして、力を込めて振り回す。
剣技や剣術などではないがむしゃらに放った攻撃。それは周りにいる生き物の足を折り、獣の体を二つに割っていく。
「|言葉さん!一度引いてください!」
「了解です!」
俺が引いてすぐに刀華さんが剣先を敵の方へ向ける。
「フッ!」
剣を後ろへ引き前へと突き出す。
力を込めて放ったその一撃は敵に当たらずとも目の前の形あるものを形なきものに変えるほどの衝撃波を飛ばす。
刀華流の流れ。『剣帝』
「刀華さん!後ろ!」
「っ!カハッ!」
咄嗟に振り返るが間に合わず背中に打撃を受ける。
今俺と刀華さんは『妖怪の大群』から都市を防衛している。
これは、計画より1週間も早く起きた。
誰も予想できなかっただろうその行動はある一体の妖怪によって起こされた。
その名は「
戦いの中で分かったが、悪鬼は妖怪を束ね従え、そしてこちらの計画が準備段階の時を狙い攻めてきた。しかも全ての妖怪が互いに争わず協力し合うかのように。
妖怪は元は獣なので他種族。例えば鬼と翼の生えた『天狗』。こういった種族どうしで争うほどに凶暴なのだが、今回はそんなこともなく一団となって行動している。
妖怪の大群をここから1週間足止めし都市を守らないといけない。だが、俺と刀華さんがいる場所以外は別の兵士たちがギリギリで食い止めていて1週間持つかは分からない。
戦闘開始から8時間の出来事である。
10時間前……
「お疲れ様言葉。今日はこれで終わりよ。」
「お疲れ様です永琳さん。それじゃ稽古に行ってきますね。」
いつもの検査を終え、いつもの稽古へ向かう。
ここ二週間での習慣。いつも通りの1日。
のはずだった。
永琳さんの部屋からでるとサイレンが鳴り響く。
〝妖怪の大群接近。およそ二時間で到着する。全部隊出撃準備。上層部は会議室へ。〟
それを聞き飛び出してきた永琳さん。
「言葉っ!」
「はいっ!なんですかっ!」
「妖怪たちがどれくらい来てるのか調べて!」
「っ!了解です!『襲ってくる妖怪の数』…。」
「言葉?早く数を調べないと!」
「約100万体です……」
「……!分かったわ、ありがとう。」
永琳さんは会議室の方へと走って行く。
急に襲ってきた妖怪の大群。その数約100万体。
計画執行時に襲ってくると分かっていたはずなのに1週間も早く襲ってきた。
「刀華さんにも伝えに行こう…」
危機的な状況なのに、何故か落ち着いていられる自分を意識しないために行動をおこす。
「そうですか…そんなに」
やはり驚くだろう。100万体は雑魚ばかりでなく、強力な力を持った妖怪も含まれている。これは絶望的な事実。少しは張り合えても後半で大群に押しきられてしまうかもしれない。
「まあやれることをやりましょう。私たちのすべてをかけて。」
そう言った彼の顔は全てを断ち切った。そんな雰囲気を持っていた。
「まずは自分達で見に行きましょう。その大群を。」
黙ってうなずき都市の一番高い場所へ向かう。
「な、なんだアレ!」
思わず声を上げる。
視力を強化しているからこそ見えるが、遠くに見えるのは妖怪の波。あるものは飛びながらも群れをなし、あるものは地上でバラバラに歩を並べながらこちらへ向かってきている。
「私には黒い塊にしか見えませんけど、その顔だとかなり大変な物見たいで。」
「大変じゃないです。あれは天災ですよ。」「天災ですか…あと一時間後にはアレと戦うんですね。少し気が引けます。」
これから起こる戦いの辛さなど容易に想像できた。だがそれに怯むなんてことはしない。ただ立ち向かうだけ。
「行きますか、前線は前の方で持っといた方が良さそうですし。」
「そうですね、行きましょう。」
そして今に至る……
「っ!刀華さん!一時的に敵を止めるので一気に数を減らしましょう!」
「でもどうやって止めるんですか!?」
「能力を使います!その間敵をお願いします!」
「分かりました!」
そういい残し前線から離れ後方に行く。
(1週間もあるからそこまで使いたくなかったけど、仕方ない。)
〝時を支配し命ずるは妖を静し人を動とすることなり〟
自分でも分からんがすらすらとやりたいことを述べた。詠唱だ。
唱えた直後に妖怪たちの進軍が止まる。
「刀華さん!今です!」
「!分かりました。」
静まり返っていた戦場に突如無数の光が舞い始める。
刀華さんの操る刀達だ。
それらは意思を持っているかのように妖怪の首を的確にはねていく。
「これ俺らいなくて良いんじゃね?」
「でも功績あげたら昇進できるってよ」
兵士たちは雑談なんか始めている。あの強さを見て気が抜けているのだろう。しかし、それもほんの一時である。
「動きます!気を付けて!」
喚起した途端大群がまた暴れ始める。波となって押し寄せてきた。
「でもさっきより数は減ってます!このまま攻撃し続けて!」
「おっしゃー!やるぞー!」
皆の士気が上がってきた。1日目は持つだろう。
戦闘開始から12時間。
日が沈みかけ、月が昇ろうとするとき。
キィィィィィィィィィィィィィィィィィ……
と甲高く何かの叫び声が聞こえてくる。
すると妖怪の大群が一斉に引き始めた。
「やった!俺達が勝ったんだ!」
「計画前でびっくりしたけどやったぜ!」
兵士の皆は喜んでいるが、力ありし者たちには分かる。あの音の秘密が。
「言葉さん、また明日ですね。」
「…。それに、あれは悪鬼のですよね。」
頷いた後問いかける。
「ええ、恐らく。そしてあの鳴き声には『強制』するための力が働いていました。」
「やっぱり……。これは報告しておきましょう。それじゃあ先に戻ります。」
この先起こる戦いが今日よりも悪くなることが分かった。
in永琳のへや
「多分悪鬼は従えてる妖怪が暴走するのを防いでるんだと思うわ。」
「暴走?」
「ええ、知能のない妖怪は満月でない状態での月からの恩恵を受けただけで僅かにある理性がとぶの。だからそれを恐れて引いた、ということよ。」
「なら始めに攻撃するべきなのは知性をもつ長ってことですか?」
「その方が効率的ね。統率が取れなくなれば後の妖怪は時間との勝負だし。」
時間か…。数の少ない長といっても、100万もいる妖怪の中なら100以上はいるだろう。
「なるほど。また刀華さんにも伝えておきます。」
「あ、刀華にこう言っといてくれないかしら?〝出し惜しみをするな〟って。」
「?分かりました。それも言っておきます。」
「ありがとう。また朝に襲撃するだろうから、ちゃんと休んでおいてね。」
「ええ、それじゃあ戻りますね。」
部屋を後にして、自分の部屋へ向かっていく。
(主、今いいかな?)
帰りの廊下で通信が入る。
(いいけど、少し待ってて。)
近くにあった休憩所に入り、眠りにつく姿勢になる。
in精神世界
「っと、発果!」
「こんばんは、主。」
「乱華は?いないのか?」
「今は自分の部屋にいるよ。僕の部屋に居続けると存在が消えるからね。」
「そうなのか…それでどうしたんだ?」
「んーとね、今日詠唱使ったでしょ?それで色々と問題がね~。」
「問題?詠唱はデメリットが少ないはず…。」
「デメリットがあるって訳じゃないんだよ。ほら、主って色々と問題起きてるじゃん?」
「まあ、そうだな…。」
あまり良いことではないが、その通りだ。
「それで~、もう1つ問題が増えたってこと。それがこれっ!」
バッと目の前に紙を出してきた。
そこには〝世界に大きな影響を及ぼす詠唱があることが分かったのです!〟と書いてある。
「なんで、紙?」
「んー、なんとなく?イテッ」
「口で言えよ…。」
思わずデコピンしてしまった。
「まあそういうことなら対策はできる。今からやるよ。」
「おー、なら安心だね~。」
「んじゃそれやりにいくから、帰してくれ。」
「ん、開け!」
扉が目の前に現れる。
「それじゃあな、また今度くるよ。」
「うん、またね!」
扉をくぐると意識が引っ張られていく。
in休憩所
「ん、戻ったかな?おし。『周りに気配は?』。無しか。なら…」
〝世界に影響を及ぼす詠唱を察知可能にする感覚を付与。対象自分。〟
詠唱の後に体に何かが増えた感じがした。
「ついでに代償もやっとくか。」
〝自らに及ぼす代償が起きる原因となる行動時に体に軽く電流を流せ。〟
自分の脳にその指示を与える。
「これでいいか。『これを聞いたものはいるか?』。いないな。」
聞かれたらまずい。というわけではないが、独り言のようなものを聞かれるのは中々に恥ずかしいものだ。
「さてと、戻るか。」
また自分の部屋へと歩き始める。
夜空に浮かぶ月を見ながら。
今日は半月、上弦の月だ。
in言葉の部屋
「っあー!気持ちいいなぁ…。」
ほぼ半日戦ったので体がボロボロだ。
稽古をつけてもらってなければさらに酷かっただろう。
「んー、今日は早めに寝るか。」
いつもは詠唱の内容を考えたりして時間が過ぎていき、寝るのは真夜中になるのだが明日も戦いがあるのでそれに備えておきたい。
「何事も無事であることが幸せだな。」
今日の被害はゼロ。前線で兵士が隊を築きレーザーを放っていたので都市には損害はない。
軽症はあったが大事に至るものはなかったので良い結果だっただろう。しかし
(やっぱ争いが起きるのは気分がそこまで良くないな。)
例え妖怪との戦いであっても気分は良いものではない。刀華さんの無双状態の時も無意識に目を背けていた。
「明日はなるべく早く終わらせよう。」
1日の疲れがとれるまでしばらく湯船に浸かっていた。
「おっし、これでいいか。」
布団をしき、明日のための準備も済ませた。
「これでようやく寝れる…。」
準備してたのもあって結局寝たのはいつもと変わりない時間だった。
えーっと、書くことないっすね。後書きって。
あ、あるわ!感想を使った投票機能ってなんですかね?
ヘルプの部分で見て見たんですがなにもわからなくて……。教えてくださいまし(´ 3`)
ここらへんで終わりますか!それではまた次回で!