東方深意伝   作:ただのみらの

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どうもただのみらのです。
今日で毎日投稿は一旦終了にさせていただきます。
これからは週一の定時に投稿します。夜の11時です。

早めですが、13話をどうぞ!


13,自我を持つ己の中の凶器

 贈り物をした日から三日たった。

 計画まであと、2週間。

 

 この日は、計画前に関わらず月では小さな宴が行われようとしていた。

 なぜかって?それはねぇ……

「「ツクヨミ様(さん)お誕生日おめでとうございます!」」

 

 ツクヨミ「はぇ?もう誕生日だっけ?」

 言葉(ことは)「ええ!?本人なのに?!」

 ツクヨミ「色々と忙しくて覚えてなかったよ…」

 永琳「それより、これをどうぞ。」

 ツクヨミ「おお、プレゼントまで!ありがとう、二人とも!」

 

 今日は見ての通り、ツクヨミさんの誕生日。

 永琳さんとツクヨミさんは上司と部下。という関係よりも友達、親友での関わりが多かった。

 本当は毎年祝っていたのだが、最近は不治の病や、計画について練っていたりしてそれもできず、久しぶりにやろうと俺から提案した。

 もちろんツクヨミさんには秘密で。

 

 永琳さんからのプレゼントは、簪。

 シンプルな物だが、この都市の職人に頼むと、「ツクヨミ」と彫りを入れてくれた。

 中々にかっこいい代物だ。

 

 ツクヨミ「…。どうかな?似合う?」

 

 早速つけてくれたみたいだ。

 

 言葉(ことは)「とても似合っていますよ、ツクヨミさん。」

 永琳「髪がまとめられるだけで、印象が大分変わりますね~。」

 

 ツクヨミ「そ、そうか…」

 

 そう言われたのが余程嬉しいのか、顔を赤くしながら返事をしていた。

 

 永琳「今は計画のこともあるのでここまでしかできませんが、また落ち着いたら盛大に祝いましょう。」

 言葉(ことは)「そうですね、そのためにも今頑張りましょうね!」

 ツクヨミ「必ず、成功させよう。」

 

 

 誕生日兼計画成功を願う小さな宴。

 少し騒がしくなる都市の一角。

 これから起こる想像もつかない『災害』があるのにも関わらず、宴を行うものたちは皆幸せそうだ。

 

 

(あ、永琳さんにお酒飲ませたら!)

 

 気づくのが遅かった。既にべろべろである。

 彼女の横には空になった瓶が何本か転がっている。

 

 永琳「ことはぁ~、きいてよ~」

 言葉(ことは)「また研究者達の愚痴ですよね…後で聞きますので、待っててください!」

 

 席を立ち、ツクヨミさんの横へ向かう

 

(うう、誓ったのにぃ……。ツクヨミさんと飲もう…。)

 

 言葉(ことは)「隣失礼しますね、ツクヨミさん。」

 

 しかし、返事が返ってこない。

 

 言葉(ことは)「あれ?ツクヨミさん?大丈……」

 

 横を見ると、キラリと光る簪が。ツクヨミさんは爆睡していた。

 

 言葉(ことは)「二人とも、お酒飲ませちゃダメなのか…。」

 

 また今後気を付けなければならないことが増えたようで、気が滅入る。

 

 永琳「こらぁ~言葉(ことは)!ちゃんと私の話をききなさぁい!」

 

(また、長い夜になるんだろうなぁ。)

 

 都市の一角では宴が行われていた。

 一人は爆睡。

 一人は愚痴り始め。

 残った一人は、酒を飲みながら愚痴の相手をしながら。

 

 それはそれは楽しい宴でしたとさ。

 

 

 

 Side言葉(ことは)

 

 言葉(ことは)「はぁ、結局寝れないかった。」

 

 昨日、飲み会と化した誕生日会。

 最後は延々と永琳さんの愚痴を聞いていたのだ。

 二人が寝落ちした時間はもう朝と言ってもいいくらいの時。

 寝ることなんてできなかった。

 

 言葉(ことは)「ひとまず、訓練所まで行くか。」

 

 廊下を歩いている時の冷気は、まだ残っている酔いをさますには丁度よいものだった。

 

 

 in訓練所

 

 言葉(ことは)「おはようございます、刀華さん。」

 

 朝早くから稽古をしている刀華さん。今日も先に訓練所で剣を振っていた。

 

 刀華「おはようございます。今日は早いですね、言葉(ことは)さん。それに顔色も少し悪いようで。」

 言葉(ことは)「昨日夜遅くまでツクヨミさん達と飲んでいたから…。」

 刀華「それは…。お疲れ様です。」

 

 恐らく立場上一緒に飲む機会があったのか、分かってくれたようだ。

 

 刀華「まあ飲み過ぎの体でも少しは素振りができるでしょう。」

 言葉(ことは)「すいません、お酒にまだ慣れきってないもので…。それじゃ始めますね。」

 

 始めの頃とは違い、力を入れすぎずに振ることができてきた。素振りではもう刀華さんと同じような振りができてる。と自負している。

 

 言葉(ことは)「ふっ!ふっ!ふっ!」

 刀華「うん。大分綺麗なものになってきました。」

 言葉(ことは)「ありがっ!とう!ございます!」

 

 10分後……

 

 言葉(ことは)「はぁはぁ、素振りでもこの様何て、情けないですね…」

 刀華「まあ仕方ないですよ、あれはかなりきついですから。」

 

 素振りを終えた後は、これからどんな稽古をするかとか、最近はこんなことが趣味なのだ。とか。何気ない会話を続けていった。

 刀華さんとはここまで話すことがあまりなかったのだが、彼との会話はかなり楽しかった。

 

(また今度時間を作って話してみよう。)

 

 彼との距離は、また近くなった気がする。

 

 

 in言葉(ことは)の部屋

 

 刀華さんとは、また少し話して別れた。

 1日ぶりに自分の部屋へ戻ってきた。

 

 言葉(ことは)「せっかく部屋をもらったのに、あんま使ってないな。もったいない…」

 

 せっかく少し豪華な部屋を貸してもらってるのに使わないのは、何か遠慮しすぎているような気がする。

 

 今は昼になったばかり。

 

(たまにはずっとゴロゴロしておくか、今日くらいいいだろう。)

 

 寝室へ向かい、布団を敷く。

 そして布団へ飛ぶ。

 もふっとして衝撃を和らげてくれる。

 そのまま右へ左へ、ゴロゴロ~ゴロゴロ~と転がる。

 

(何か、幸せ~)

 

 転がる度に反発してくる布団の上は最高の転がり心地(?)である。

 

(ああやばい、眠くなってきた……)

 

 何分かそうしていると眠気が襲ってくる。

 

(まあ、いっか……)

 

 意識を手放して眠りにつく。

 いつもよりも早く眠りにつけた。

 

 in???

 

 寝たはずだった、はずだったのに、

 

 発果「おはよ!主!」

 言葉(ことは)「……。」

 

 無言で発果をにらむ。

 

 発果「お、おはよ?」

 言葉(ことは)「……。」

 

 発果「あの、ごめんなさい。」

 言葉(ことは)「はぁ、いいけど、どうした?何か問題でもあった?」

 発果「ん~、そこまで大きいものではないけど、一応ね。」

 言葉(ことは)「そうか…内容は?」

 発果「主の中にある、僕とは違う力。主風に言うと『神力』がさらに力を持ち始めたってことかな?」

 言葉(ことは)「神力が増えた?いつ信仰されるような場面があった?まあそれはいい。でも問題ではないんじゃないか?」

 

 神力が増えただけで問題にはならないはずである。

 

 発果「それがね…神力も同じように自我を持ち始めたんだよ…。まだ赤ん坊の状態だから警戒ってところだけど。」

 言葉(ことは)「自我ぁ!?発果以外にも!?何でだよ……」

 

 俺の中には住人が自身を含め三人になった。

 おかしすぎだ。

 永琳さんが聞けば笑いだしそう。何でかは分からないが。

 

 発果「原因は分からないよ、でも僕が自我をもつきっかけと同じなんだと思う。」

 言葉(ことは)「きっかけ?なんだそれ」

 発果「あれ?言ってなかったっけ?えっとね、僕が自我をもつきっかけは、力が急に強くなって、その力自体に『何か』が働くことだっとんだよ。で、赤ん坊も同じように自我をもったんだと思う。」

 言葉(ことは)「なるほどねぇ、でも発果が俺と同じ容姿で同じように考えれるのに、なんで神力は赤ん坊なんだ?」

 発果「多分だけど、神力は能力によって生成されてたから、一から成長を始めてるんだとおもうよ。僕はそもそもどんな力か分からないから判断できないけど。」

 言葉(ことは)「ややこしいな、これは。一度調べてみるか。」

 発果「あ、ここでは能力は使えないからね。」

 言葉(ことは)「ん?そうだったのか、どうりで前も一人で出られなかったんだ。」

 発果「勝手に出ようとしないでよ…。」

 

(いや、勝手に連れてこないでよ!)

 

 言葉(ことは)「まあ調べる前に一応その赤ん坊を見に行くか、気になるしな。」

 発果「いいけど、輝きから移動するよ?別の力の中だから。」

 言葉(ことは)「分かった。行こうか。」

 発果「じゃあ開くね。」

 

 

 発果がぶつぶつと言いながら手を壁にかざす。

 すると小さな穴が空き、徐々に広がっていき、やがて人一人入れる穴となる。

 

 発果「主?」

 

 その穴の先から感じるのは、何とも言えない強大な力。その威圧感。

 

(少しの問題じゃすまされないぞ、これ)

 

 

 計画まで2週間を切ったこの日。

 

 

 

 

 俺の中で異変が起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




言葉の中にある輝きは『力』なんです。
それと、発果がどんな力かは多分最後にしかでません。
何か色々と置き去りにしてますが、ほっといてくださいね。またどっからか出てきますので。
それではまた次回で!

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