東方深意伝   作:ただのみらの

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どうも、ただのみらのです!
明日から学校です!今までの毎日投稿が続けられないかも知れません。まあそのときそのときでできるかも知れませんが。
今回はそこまで進展ないですが、少し恋愛要素を入れたつもりです。
それでは第12話をどうぞ!


12,美しい彼女に『贈り物』を。

 in???

 

 主よ、目を覚ませ。

 

 その声で意識がはっきりとした。

 すると、真っ白で体の感覚しかなかっただけの空間が、ちゃんと自分の体も見えるような場所になってきた。

 

 ?「おはよう、主。」

 言葉(ことは)「ああ、おはよう。」

 

 先ほどと同じ声で挨拶された。

 しかし、姿は見えない。

 

(体しか見えない…。声の主も見当たらないし…。俺が(あるじ)?)

 

 ?「ああ、すまない。発現させるのを忘れていた。『発現』」

 

 その呟きと同時に、さらに視界がはっきりとする。

 俺の目の前には、俺と容姿がよく似た人が、椅子に座りくつろいでいる。

 

 ?「はじめまして、主。急に呼び出して悪いね~。つい話したくなってね。」

 

 どうやら、あの球の中に引きずり込んだ本人のようだ。

(だが、)

 

 言葉(ことは)「嘘ですね、そんなおぞましい感情向けといて、何が話したい、ですか?」

 ?「っ、カッハハハハ!」

 言葉(ことは)「いや、何で笑うんですか…」

 

 ちょっとした指摘で笑われるのは、心が痛い。

 

 ?「いや、ごめんごめん。ただのガキかと思っていたから、少し試してみただけさ。」

 

 口調が変わった。何だかなまけた雰囲気になっている。

 

 ?「まあそれだけ殺気に対して反応できるなら問題ないね」

 言葉(ことは)「どういうことですか?というか、さっきから一人で話進められてよく分からないんですけど。」

 ?「ん~、簡単に説明すると、自我が芽生えてので、自分の主に挨拶をしたい。だけどただ挨拶するだけじゃつまらないので、ちょっと主を試してみた。で、今に至るわけ。」

 言葉(ことは)「なるほど~。でも急にこんなとこに呼び出すなんて、びっくりするからやめてくださいよ。これからも。」

 ?「ああ、了解した。」

 

(にしても、俺は何で人にいじられ易いんだよ…)

 

 ?「そういえば、自己紹介がまだだったね。」

 

 唐突に自己紹介を始めようとする、もう一人の俺。

 

 ?「僕は主の中にある『力』。名を…そうだな。発果(はつか)としよう。先ほどの発現の行動から名をとってみた。どうかな?」

 言葉(ことは)「別にいいんじゃないか?悪くはないと思うよ。」

 発果「そうか、ありがとう。」

 言葉(ことは)「それと、俺の『力』ってどういう意味だ?」

 発果「さあ?僕も自我を持って分かったことはお前の『力』だってことだけだから。ここに主を引き込んだのもぶっつけ本番だったし。」

 言葉(ことは)「そうか…。まあいいか。それじゃそろそろ帰してくれないかな?今大事な時期なんだ。」

 発果「分かった。それじゃ頑張ってきてくれよ。」

 言葉(ことは)「ああ。じゃ頼む。」

 発果「『夢』から『現実』へ『送る』……」

 

 発果がそう呟いた後、引き込まれた時と違い、体が一気に浮き上がる感覚が伝わってくる。

 

 

 in技術研究室

 

 言葉(ことは)「んあ、今「何時」だ?」

 

 今じゃ起きてすぐに時間を知るのは習慣となっていた。

 

 言葉(ことは)「10時か、もう昨日が終わってる…」

 

 謎の空間での発果との出会い。その時流れた時間は、寝始めてから大体13時間後。

 

(多分夢の中でも意識が落ちてたからだろうな。)

 

 永琳「あら、今日は早起きなのね、言葉(ことは)。」

 

 ドアの方から永琳さんがあらわれる。

 

 言葉(ことは)「何日も寝てなかったわけじゃないですしね。それと、おはようございます、永琳さん。」

 永琳「おはよう、言葉(ことは)。」

 

 挨拶を交わした後、ソファーから体を起こして体を伸ばす。

 

 永琳「起きてすぐで悪いんだけど、ちょっと頼まれてくれないかしら?」

 言葉(ことは)「いいですよ。何したらいいですか?」

 永琳「私の武器を作るから、ちょっと手伝ってほしいの。」

 言葉(ことは)「永琳さんが、武器?」

 

 俺が疑問に思うのも仕方ない。

 だって永琳さんは能力持ちでない上に、神力も戦えるレベルまでの物ではないと聞かされていたからだ。

 それでは、いざ戦い!となったときに身を危険に晒すだけの自殺行為だ。

 

 言葉(ことは)「危ないですから、そんなの作りたいとは思いませんよ。それに、永琳さんは発明でこの都市を支えているんです。戦場にまで出る必要はありません。」

 永琳「発明だけ。それだけしかない。それに、私の発明は、何も全てを守り、全てを殺すことができるわけじゃないの。だから私は自分で戦場に出て、さらに発明の精度を昇華させたいの。」

 

 真剣な眼差しで俺に語る。ただその瞳には本気だけでなく、研究者としての欲もあるだろう。

 

 言葉(ことは)「なら、約束してください。自分は必ず死なないと。」

 永琳「ええ、もちろん。それに、作る武器も私の得意な物だし。死ぬことはないと思うわ。」

 

(へぇ、意外だった。永琳さんが得意な武器があるなんて)

 

 普段研究ばかりしている彼女には、頭がいい研究者。ただそれだけのイメージしかなかった。

 そのためさっきも武器を持たせることを拒んだ。

 武器だけ持ってても、戦場では何もできない!そう思ったから。

 

 言葉(ことは)「得意な武器って、想像つかないですね。」

 永琳「まあついてきて。見せてあげる。」

 

 そういって永琳さんは、別の部屋へ向かう。

 

 

 

 in道場

 

 今目の前にいる永琳さんは、いつもの雰囲気とは違う。

 目の前の的を、大きな目を細め狙う。

 動きの一つ一つが洗練されてるように美しかった。

 右手には矢。左手には弓。

 

 彼女が得意とする武器。それは弓だった。

 

 その姿に見とれていると、ひゅっと音をたて矢が放たれる。

 それは吸い込まれるように的の中心へ向かい、そこを穿つ。

 

 その後も彼女は矢を放つ。

 全ての矢は放たれると同時に必ず的の中心へ当たった。

 的に残された矢をも貫きながら。

 百発百中。その意味通りの結果。

 

 言葉(ことは)「すごいですね、永琳さん。」

 永琳「少しは認めてくれるかしら?戦場に向かうことを。」

 言葉(ことは)「認めるも何も、もう俺より強かったじゃないですか。それにこの結果を見れば首を横には触れませんよ。」

 永琳「あら、それはよかったわ。」

 

 いつものように微笑む永琳さん。

 でもその笑みはいつもより清々しいものだった。

 

 

 in研究室

 

 永琳「久し振りにやったから、少し疲れたわ」

 

 額ににじむ汗をタオルで拭いながら彼女はいう。

 

 言葉(ことは)「久し振りで、あの命中率ですか…」

 

 先ほどの結果を思い出しながら彼は苦笑する。

 

 永琳「さて、早速作っていくわよ。といっても私は何もしないのだけれど。」

 言葉(ことは)「え?俺に全部作れと?」

 永琳「そうじゃないわよ。あなたにはもちろん!」

 言葉(ことは)「ああ、能力ですか。」

 永琳「そう!それじゃ持ってくるから待っててね。」

 

 永琳さんは奥の倉庫へ向かう。

 

 言葉(ことは)「はあ、結局能力か。」

 

 技術室でのことがあった後なので、また同じようなことをするのは正直飽きている。

 

 永琳「はいこれ、これが私の弓よ。」

 

 彼女の持ってきた弓は、綺麗。その言葉が似合うものだった。

 

 形はさっき使ってたものと同じだが、色は薄い黄色。所々に紋様が彫ってある。弦が張っているその弓は、

 まるで半月のようだった。

 

 永琳「この弓は少し呪いをかけてあるの。ここの紋様が呪いを使うためのもの。」

 

 どうやら所々にある紋様は、『穢れ』に触れた後に訪れる衰弱を、呪いによって、弓から放たれた矢に当たった時に同じ効果をさらに強めたものを与えるとか。

 

 言葉(ことは)「もうそんなに強いなら、俺が能力を使うところは無いんじゃ?」

 永琳「あるわよ。あなたの能力をお守りみたいにしたいの。あなたからの贈り物としてね。」

 

 彼女は少し照れながら言う。

 

 永琳「やっぱり、戦場に行くのに不安は少しはあるの。だから、親しくなってきたあなたからの何かがあれば、安心できるじゃない?」

 言葉(ことは)「あれだけ行きたいと言って、不安なんですね…。まあ贈り物ですか。いいですよ。最高のものを贈ります。」

 

(弓に与える、意味か……)

 

 必ず当てる百発百中の矢。

 弓を放つまでの美しい動き。

 半月を思わせる弓。

 

(こんなに素晴らしいのに、他に何かあるか?)

 

 悩んでしまう。今まで世話になっているのもあるが、彼女からの『願い』だ。ちゃんと叶えないといけない。

 

(彼女に贈る、最高の贈り物……)

 

 弓自体には何も与えられそうにないので、彼女に贈るものを考える。

 

 後頭部でまとめられた銀色の髪。

 今まで見た女性の中でも整っているその容姿。

 彼女自身に見合う贈り物、中々の難題である。

 

(アクセサリーなら能力も込めれるし、考えやすいな)

 

 指輪、ネックレス、ピアス、ミサンガ、ブレスレット、その他色々。能力を使って参考例を出す。

 

 

 

 アクセサリーの種類を知るときに、

「弓につけるものがいいわ。やっぱり戦場での支えにしたいから。」

 といわれた。

 

 戦場に出てしまう美しい存在。

 彼女が傷つかないでほしい。

 戦場でも、美しくあってほしい。

 

 彼女を守る。そんなものがいいだろう。

 

 

 言葉(ことは)「よし、じゃあやるか。」

 

 早速製作に取りかかる。

 弓につけるなら、同じ色がいいだろう。

 目の前に薄い黄色をした塊が現れる。

 

 守るなら、彼女を包む盾にしよう。

 その塊は丸みを帯びる。

 

 そして、『守護』『即時』『展開』『対象』を与える。対象は永琳さんだ。

 意味を与えられたると球は軽く点滅した。

 

 最後に、『不滅』。

 彼女を守る弓と、この球は消えてはいけない。

 決して滅びぬよう、その意味を込める。

 

 言葉(ことは)「できました。最高の贈り物かは永琳さんが決めてください。僕からの贈り物です。」

 

 彼女に先ほど作ったものを渡す。

 

 永琳「貴方からの贈り物。ただそれだけでいいのよ。ありがとう!言葉(ことは)!」

 

 彼女の笑顔は、今日も美しい。

 




新キャラばかりで、原作のキャラが出てこないという……。まあ今後必ず出てくるのでお楽しみを。
永琳の容姿とかについては原作と同じ部分もありますが、少し変える部分も出てきます。他のキャラについても同じです。ただその描写を書くのが自分は苦手なので、後々キャラ情報にて乗せます。
それではまた次回で!

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