鉄血のオルフェンズ ~無欲な悪魔~   作:小狗丸

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思いついた勢いで書いた文章第二段。
他のガンダムの世界にオリアスとボティスを出してみたくて書きました。
続きを書くかは未定です。


番外編

「………あれ?」

 

 シシオが目を覚ますと彼は無数の機器類に囲まれたシートに座っていた。

 

「ここは……ガンダム・オリアスのコックピット?」

 

 周囲を見回してシシオは今自分が何処にいるかを確認する。

 

 見間違えるはずがない。ここは間違いなく自分の宝物であり、自分と数多の戦いをくぐり抜けてきた戦友、ガンダム・オリアスのコックピットであるとシシオは確信していた。

 

「だけど何で俺はガンダム・オリアスのコックピットにいるんだ?」

 

 シシオは眠りにつく前の記憶を呼び起こしながら呟く。

 

「確か俺は昨日、ガンダム・オリアスの整備をしていて……ようやく整備が終わった時には日付が変わっていて眠すぎて……それで部屋には戻らずに格納庫で仮眠をとったはずだ。……うん。間違いない」

 

 昨日の行動を小声で呟いてシシオは自分の記憶に間違いないことを確認する。

 

(だけど俺が寝たの格納庫の隅のはずだ。それなのにどうして起きたらガンダム・オリアスのコックピットにいるんだ? ………もしかして)

 

 そこまで考えたところでシシオはある可能性に気づく。

 

「これってまたあの『夢』なのか?」

 

 シシオ・セトには誰にも、それこそいつも自分の側にいてくれる助手のローズにも言っていないある秘密があった。

 

 それは時々ではあるが「とても現実感のある夢を見る」というもの。

 

 夢はまるで別の世界に迷い込んだかのように現実感がある上に数ヶ月、長ければ数年の時間を体感するのだが、目を覚ますと数時間しか経っていない。それでいながら夢の中で得た知識や技術はしっかりとシシオの中に残っているのだから不思議なものである。

 

 シシオが今まで現実感のある夢を見た回数は五回。そして今回で六回目である。

 

 最初に見た夢では、現実の歴史とは異なる歴史を歩んだ地球で日本を拠点とするレジスタンスの一員となり、人型のモビルワーカーのような機体に乗って地球の三分の一を支配する超大国と戦った。

 

 二回目の夢では、南極にあるワープゲートから移動する異星で最年少の戦闘機パイロットとなり、人や戦闘機の姿になる異星人と戦った。

 

 三回目の夢では、太陽系の外の宇宙に新たな新天地を求める巨大移民船団の防衛軍に雇われて、虫のような外見の宇宙怪獣の群れと戦った。

 

 四回目の夢では、現実の火星とは全く異なる水の星となった火星で海賊となり、人の外見をした潜水艦のような兵器で様々な敵と戦った。

 

 五回目の夢では、地球でも火星でもない獣の外見をした起動兵器がまるで野生の動物のように生息している惑星で獅子の外見の起動兵器に乗り、同じく獅子の外見の起動兵器に乗る少年と共にその惑星の危機を救う為に戦った。

 

「それで今回はどんな世界なんだ? ……見た感じ地球っぽいんだけど……て、あれ?」

 

 シシオがガンダム・オリアスのモニターを起動させて周囲の様子を調べてみるとすぐ側に意外なモノを見つけた。

 

 それはシシオが保有するもう一機のガンダムフレーム機、ガンダム・ボティスであった。

 

「な、何でガンダム・ボティスがこんなところに? ……もしかして」

 

 ガンダム・ボティスを発見した驚きで眼を見開いていたシシオはある可能性に気づくとガンダム・ボティスに通信を入れた。

 

『はい。何でしょうか、シシオ様?』

 

 通信を入れてモニターに写し出されたのはガンダム・ボティスのコックピットにいるシシオの助手、ローズの姿であった。

 

『……あの、シシオ様? 変なことをお聞きしますが、私は何故ガンダム・ボティスのコックピットにいるのでしょうか?』

 

 僅かに困惑した表情で質問をしてくるローズ。しかしシシオには彼女の質問に答える余裕などなくただ一言、

 

「どういうことだよ?」

 

 と、呟くことしかできなかった。

 

 ☆

 

 数時間後。とりあえずシシオとローズはガンダム・オリアスとガンダム・ボティスを移動させて人里を探すことにして、その途中でシシオはローズに今の状況を説明した。

 

『……つまり、ここはシシオ様がたまに見られる夢の中で、そこに何故か私も同じ夢を見ているということですか?』

 

 ローズが説明された内容をまとめるとそれにシシオが頷く。

 

「ああ。とても信じられないだろうがその通りだ。ローズ、お前が俺の夢の産物である可能性もあるけど、そうでないとしたら何で今回に限ってお前も同じ夢を見ているか、予想はつくか?」

 

 シシオに聞かれてローズは少し考えてから口を開いた。

 

『そうですね……。昨日私はシシオに夜這……もとい、ガンダム・オリアスの整備に疲れてシシオ様と一緒の場所で仮眠を取りましたから、そのせいかもしれませんね』

 

「いや、ちょっと待って」

 

 ローズの言葉にシシオか思わずつっこむ。

 

 確かに眠る前にシシオはガンダム・オリアスの整備をしていたし、ローズにも手伝ってもらっていた。

 

 そして疲れたから同じ場所、格納庫の隅のスペースで仮眠を取ったのも事実だ。

 

 しかし今、何やら聞き捨てならない言葉を聞いた気がする。

 

「ローズ、今お前夜這いって言ったか? 俺に夜這いしたのか?」

 

『していません』

 

「じゃあ何で夜這いなんて言ったんだよ?」

 

『言っていませんし、していません』

 

「……本当に?」

 

『シシオ様、しつこいですよ?』

 

「アッ、ハイ。すみませんでした」

 

 ローズの言葉にあっさりと沈黙するシシオ。なんというか、未来の二人の力関係がよく分かるやり取りであった。

 

『それでシシオ様? この夢は一体どうしたら醒めるのですか?』

 

「そうだな……。俺が見てきた夢はどれも大きな戦いが起こっていて、それが一段落つくと夢は醒めるんだ」

 

『そうですか。それでは夢の中で死んだ場合はどうなりますか?』

 

「それはまだ試したことがないな……ん?」

 

「モビルスーツの反応?」

 

 シシオがローズの質問に答えているとガンダム・オリアスとガンダム・ボティスのレーダーに、モビルスーツが一機、こちらに接近してくる反応が出た。

 

『この夢にはモビルスーツが出るようですね。……敵でしょうか?』

 

「それは分からない。一応警戒はしておこう」

 

 シシオとローズが機体を止めると、レーダーに反応したモビルスーツがモニターに映る距離までやって来て、モビルスーツの姿を見た二人は……。

 

「はぁ?」

 

『これは……?』

 

 と、驚きで思わず眼を見開いた。

 

 そしてシシオとローズの前に現れたモビルスーツは外部音声で二人に話しかける。

 

『そこの機械人形に乗っている人達、貴方達は一体何者なんですか?』

 

 モビルスーツから聞こえてきたのは男のようにも女のようにも聞こえる中性的な声。その呼びかけに対してシシオは考えるよりも先に外部音声をオンにして叫び返した。

 

「何者かはこちらの台詞だ! というか何だよソレ!? その、『ヒゲの生えたガンダム』は!?」

 

 このシシオ達とヒゲの生えたガンダムとの出会いが、先程シシオが言った大きな戦いの始りとなることを彼らはまだ知らない。

 

 

 

 

 

 ……続く?




ちなみにシシオは、過去の五つの夢の世界の全てでエースパイロットとなり、自分が味方した陣営を勝利に導きました。

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