アンドロイドはエンディングの夢を見るか?   作:灰色平行線

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 いろいろ悩んだ結果、読み辛い文になった気がします。
 物語の時系列は想像に任せます。
 原作のストーリー本編以外に、いくつかのサブストーリーを知ってないと話が分からないかもしれません。


head[Y] battle(前)

 その少年は、大きな屋敷に執事と2人で住んでいました。

 その少年は、常に目隠しをして生きていました。少年には、見たモノを全て石に変えてしまう力があったのです。自分の力を恐れつつも、少年はいつか自分の目で世界を見ることを夢見て生きていました。

 そんなある日、少年は男と女、そして喋る本に出会いました。男と喋る本は、少年の目をなんとかする方法を探してくれました。女は少年に勇気をくれました。少年は、自分のことを受け入れてくれた彼らが大好きでした。

 ですが、幸せは長くは続きませんでした。

 ある日、男が住む村にたくさんの怪物が攻め込んできました。

 男は村を守るために、妹を守るために、喋る本と共に怪物と戦います。女も少年も男に協力しますが、怪物達の中にひときわ大きく、ひときわしぶといのが1体いました。そいつは、腕を斬られても再生し、首を斬られて頭だけになっても襲い掛かってきました。しぶとい怪物を殺すことができず、怪物を図書館の奥の部屋に閉じ込めるのが精一杯でした。ですがこのままでは怪物がすぐに出てきてしまう。女に言われて少年は、奥の部屋の扉を閉めて怪物を抑え込んでいる女ごと、扉を石化させて怪物が出てこれないようにしました。

 怪物を閉じ込めることには成功しましたが、女は石になり、村は荒らされ、男の妹は怪物達の親玉によって攫われてしまいました。戦いの後に残ったのは、深い悲しみでした。

 

 ◇◇◇

 

 パスカルから「森の国」の話を聞き、2Bと9Sはそこを調べるために森へと続いているデパートに足を運んでいた。そこで機械生命体に襲われるが、なんとかそれらを破壊する2人。壊れて爆発した機械生命体の中から白い球体が1つ、2人の前に現れた。

「はっ!ここは!?」

 突然喋りだした球体に驚く2人。怪しいから壊そうとしたところ、球体は物凄い速さで逃げてしまった。

 森の国で襲い掛かってくる機械生命体達を破壊しながら進んでいく2Bと9S。2人は国の奥にある城の中で、A2というアンドロイドに出会った。指名手配中であるA2との戦闘に入る2人だったが、結局A2には逃げられてしまった。司令官にA2を逃がしてしまったことを報告する2人。9Sは司令官にA2について聞くが、機密事項であるとして、教えてはもらえなかった。

 9SはパスカルならA2について何か知っているのではないかと考え、パスカルの村に戻って聞いてみるが、彼女についてはパスカルも名前を知っているという程度だった。

 することもなくなって、ひとまずレジスタンスキャンプに戻ろうとした2人は、その道中でスクーターと一体化した球体と出会った。

「あっ!アナタは・・・先日の!」

 球体は自らの名をエミールと名乗った。彼はショップを営んでいるらしい。

 今後、2Bと9Sはエミールのショップで武器や素材などを買うことになる。

 

 ◇◇◇

 

 それから5年後、少年は自身の石化の力を制御できるようになる可能性を見つけました。

 少年は、5年で成長した男と共に力を制御する術を見つけました。しかし、力を制御できるようになった代償として、少年は人の姿を失いました。それはまるで骸骨のような恐ろしい化け物の姿でした。

 少年は思い出したのです。自分が兵器であることを。しかし、男は少年の姿が変わってしまっても、少年への態度を変えることはありませんでした。例え兵器でも、少年は少年だと。

 そして少年は女の石化を解き、男は部屋の中から飛び出してきた怪物を殺しました。目を覚ました女は姿の変わった少年を見て、すぐに少年だと分かりました。

 少年は再び受け入れられたのです。

 

「あ、あの・・・これ」

 男は、目が覚めた女に何か手渡しました。

「それは!『月の涙』!?」

 それは、真っ白な「月の涙」という花で作られた花飾りでした。

「おばあちゃんのに負けないやつを、って、がんばって作ったんだけど・・・」

「そうか・・・ありがとう・・・ありがとう・・・」

 それは、少年の思い出の1つ。とても大事な、仲間との思い出の1つでした。

 

 ◇◇◇

 

「ここは、元々のオリジナルのエミールが好きだった場所。ずうっと昔、大好きな人達と一緒に過ごした場所。つらい事も、悲しい事もたくさんあったけれど・・・。でも、オリジナルにとってあの旅の記憶は、本当に、本当に宝物だったんです。僕の記憶の中にも、微かな名残として残っています」

 白く光る月の涙が一面に咲くその場所で、エミールは2Bと9Sに語る。

 エイリアンが来襲してきた時、エミールは自己増殖による兵力増強を行った。2Bと9Sの前にいるのは、無数に増殖したエミールの1人。増殖したエミールはお互いに協力しあい、防衛線を維持した。

 しかし、無限に増殖を繰り返すうちに、エミールの記憶は薄まっていった。各地に咲く月の涙を見て、2Bと9Sの協力を経て、エミールは、この場所を思い出したのだ。

「僕達には決着しなければならないことがある・・・」

「え?」

「・・・ああ、そうだ。お礼にこれを渡そうと思ってたんです」

そう言うと、エミールは2Bに月の涙で作った花飾りを渡す。

「月の涙は、願いが叶う花だと言われているんですよ」

「・・・ありがとう」

「僕の方こそ、ありがとうございました。おかげで、大切なものを思い出す事ができました。この思い出があれば、僕は1人でも頑張れます」

 エミールを残して2Bと9Sはその場から離れる。エミールの言葉に疑問はあるものの、それを聞けるような雰囲気ではなかった。

 

 誰もいなくなったその場所で、エミールは誰かの名をぽつりと呟く。

 そして、思い出した彼は静かに決意するのだった。


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