アンドロイドはエンディングの夢を見るか?   作:灰色平行線

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基本的に投稿する時は不安でいっぱいです。


just y[O]u and me

 アダムとイヴの死によって敵の指揮系統は一時的な混乱状態にある。この好機を逃さず、人類軍は機械生命体に対して総攻撃をかける事が決定された。

 これが最後の作戦となるだろう。2Bは飛行ユニットで地上へと向かった。

 

 ◇◇◇

 

「・・・以上が命令です。理解できましたか?」

 9Sは他のヨルハ部隊よりも一足先に地上に来ていた。通信越しにオペレーターの21Oの声が聞こえてくる。

「えーっと・・・僕達スキャナー部隊は、総攻撃に備え、敵の防空システムをハッキングで麻痺させる」

「その通りです。良く出来ました」

「なんか・・・子供扱いされてる?」

「気のせいです」

 そう言って通信は切れる。

 結局2Bに真実を告げることはできないままに、最後の作戦が始まってしまった。迷いや悩み、気になることはいろいろあるが、まずは集中して任務をこなすとしよう。

 ・・・しかしながら、集中しようとすると余計な事を考えてしまうというのもよくあること。家の鍵かけてきたかな?ガスの元栓閉めてきたかな? なんてことは9Sは考えたりはしないものの、気になることがないという訳ではないのだ。アンドロイドにだって気になることはある。

(そういえば、ロミオとジュリエットの話は結局どうなったのだろう?)

 ふと、そんな事が頭の中をよぎった。

(あれ?よく考えたら見に行こう見に行こうと思って結局行く暇がなかったんだよな・・・)

 そして、1度余計な事を考えるとなかなか頭から離れないのもよくある話。9Sの頭の中はもうロミオとジュリエットでいっぱいだった。防空システムを受信している機械生命体を探している時も、機械生命体にハッキングを仕掛けている時も、頭の中でロミオとジュリエットが繰り返しセリフを叫んでいる。

 そんなアホみたいな事を考えていると21Oから通信が入ってくる。さすがに通信中は余計なことは考えないようにしなくては。

「今回の作戦では、他のスキャナー部隊員も総動員されています。私達も遅れをとらないようにしなければ」

「はーい。遅れをとらないようにしまーす」

 軽い返事をするのは決して頭の中で別の事を考えているからではない。決して遊園地やロミオとジュリエットのことを考えているからではないのだ。信じてほしい。

「9S。戦闘中はなるべく当該エリアから離れてください」

 そんな9Sの事情などモニターの向こうの21Oに伝わる訳などなく、21Oは構わずに話を続ける。

「それじゃあ、支援出来ませんけど」

「貴方のようなスキャナーモデルは戦闘向きではありません」

「あれ?心配してくれてるんですか?」

「いえ。戦場にいても足手まといなだけですので」

「酷すぎる」

 通信が切れる。とりあえず変なことを考えていたことはバレていなかったと信じたい。

 

「ふうっ・・・これで分担は全部かな」

 指定されていた最後の機械生命体へのハッキングを完了させる。後は他のスキャナーモデルが全員ハッキングを終わらせれば総攻撃が始まるだろう。

 さて、ならば遊園地に行くとしよう。オペレーターさんも戦闘中は離れてろって言ってたし問題ないよね?

 

 ◇◇◇

 

 一部のヨルハ機体が作戦を放棄した。その結果アンドロイド群は崩壊し地上は機械生命体の楽園となった。

 逃げたヨルハ機体の行方は今もわからないままだ・・・

 

 NieR:Automata

 just y[O]u and me

 

 ◇◇◇

 

「え?もうやってないんですか?」

「ヤッテナイヨ。最近ミンナオカシクナッテキタシ、毎度毎度バクハツサセテタラ身ガ持タナイシ」

「そ・・・そんなぁ・・・」

 

 気がつけば9Sは廃墟都市のビルの上に立っていた。

「なんてことだ。もう劇はやってないなんて・・・ロミオ達とジュリエット達はどうなったんだ!?」

 9Sは頭を抱える。

「ロミオ?ジュリエット?9S、さっきから何を言っているのですか?」

「え、えぇ!?いや、何でもありません!」

 まさかの通信中であった。油断していた。なんとか誤魔化さねば。

「はあ・・・話を聞いていましたか?命令の内容、ちゃんと言えます?」

「もちろん。敵の防空システムをハッキングで麻痺させるんですよね」

「ちゃんと理解しているようで安心しました。偉いですね」

「やっぱり子供扱いされてる?」

「気のせいです。では、よろしくお願いします」

 通信が切れる。一応誤魔化せたようだと思いたい。

 前回と同じように機械生命体をハッキングしていくと、通信が入ってきた。

「11Sより9Sへ。聞こえますか?」

「聞こえますー」

 11S。9Sと同じスキャナーモデルのアンドロイドだ。

「こちらの担当分作業は全て終了。そっちはどう?」

「こっちも・・・あと1つかな」

「了解。あと、バンカーに戻ったらデータ同期をしておいて」

「あ・・・忘れてた」

 そういえば、あれからずっと2Bのデータも含めてデータ同期をしていないままだった。

「君の戦闘データが未納だから、スキャナーモデル全体がアップデート出来ないんです」

「了解。この作戦が終了したら対応する」

「頼みましたよー」

 通信が切れる。正直に言って謎のノイズやらサーバーで見たデータやらで気は進まないが、やるしかない。気になることは未だ気になることのままであるが、今は作戦に集中しよう。そんな事を考えながら最後の機械生命体へのハッキングを済ませた9Sは、戦闘のサポートへ向かうのだった。


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