①悪魔の正体と“相乗り”
とある二人で一人の探偵ライダー「そういう意味じゃないから」
②スマートブレインは福利厚生の充実した超ホワイト企業です(なお正体)
③謎の男K「誰かが覚えてりゃあ、俺もお前も、人間として生を全うした、ってなるだろ? なあ、――」
④里奈デルタ強化週間、開始
◇ ◇ ◇
ガチャは悪い文明。期間限定ゆるすまじ……
ガチャに限らず、お金の使い道は皆さんよく考えるようにしましょう。自分はラノベ買ったり度々買い食いしたりするうちに課金出来るだけの小遣いがなくなりました()
ライダーらしい武器って何だっけ? 仮面ライダー555……
シータはデルタに砲口を向けた。
――そう、差し向けたのはまさに『砲』と呼ぶべき、長大で、バックパック型の装備から展開されたアームで支えられている物だった。それをさらに脇で挟み、銃把を握って――まっすぐデルタの心臓を狙っているのだ。
「危ない!」
三原が飛び込んだのと、引き金が引かれたのはほぼ同時だった。
上着の端を掠め、光弾が明後日の方向へ飛んでいく。三原が熱を持った上着を脱ぎ捨てると、耐熱限界を超えた繊維が発火、間一髪でやけどを免れた。
「三原君、下がって!」
里奈が三原を立ち上がらせ、向かってくるシータに構える。砲撃したシータと同じバックパックを付け、両手に実体剣を構えたシータは、軽く地面を蹴ると
「――がぁっ!?」
交差させた剣で×の字に傷を刻み、ステップを踏んで横一文字に切り裂く。
図らずも状況を俯瞰する立場となった三原は、バックパックにブースターのような物が備わっていること、そして四本あるアームの内二本に予備とおぼしき実体剣が付いているのを目撃する。
今までのシータとは、装備の性質が違う。そんな敵が相変わらずデルタの攻撃に怯むことなく立ち向かってくるのだ。――それも、的確に連携して。
双剣使いのシータがバックステップで距離を取ると、追撃を防ぐために三体目のシータがブースターを点火して割り込む。デルタの銃撃は
ただし、そのシルエットはかつて三原が戦ったそれとは大きく異なっていた。
左肩に盾のような増加装甲――しかもその裏側に手榴弾!――を施し、やはり装備しているバックパックに繋いでいるのはグレネードランチャー、だろうか。
(……軍隊)
そうとしか表現できなかった。多彩な武器を、たった三人とはいえ分担する事でデルタをその場に釘付けにするシータ。
ならば彼らの狙いは?
「っ! 里奈!」
警句は形にならず、シータの砲口が火を噴いた。デルタは今度こそ、その直撃を受けた。
「――――――」
大きく、大きく吹き飛ばされるデルタ。三原はその光景がひどくゆっくりとして見えた。
悲鳴も呻きもなく、デルタは堅いコンクリートの地面に叩きつけられた。ベルトがフォトンブラッドの供給を断ち、スーツが分解されて里奈の姿が露わとなる。
「――――里奈ぁ!」
三原は里奈に駆け寄った。そうせずには居られなかった。
「里奈! 里奈!」
気が動転した三原は里奈を揺さぶり、それでも目を開かない彼女に最悪の可能性を予感する。
「――――」
――結果として、里奈は生きていた。
この後しばらくの入院を余儀なくされたものの、後遺症もなく快復することとなる。
だがいずれも、今の三原が知らない未来の話であった。
「……キサマラァアア!!」
怒りの矛先はシータ達へと向かい、それに呼応するように三原の右手に紫電が走る。
電撃は槍となり、三体のシータに向けて駆け抜ける。
文字通り雷速のそれを、曲がりなりにも防いだのは盾を構えた個体のみ。しかし
唯一立ち上がった複合武器の個体は手榴弾を前へと転がす。
三原がぎょっと思わず足を止めると、手榴弾は真っ白な煙を吐き出し、煙幕が辺りを包む。
(逃げる気か!)
駆け出そうとした三原は、急に咳き込んでうずくまった。目が痛み、反射的に涙が出る。
(催涙弾……!)
もはや追いかけるどころではない。三原はその場で催涙ガスが霧散するまでやり過ごすほか無かった。
◇ ◇ ◇
「――――――報告は以上です。こちらの損害は
ライオトルーパー部隊の一つ――便宜上、トルーパー
さしもの彼女でも、部隊の調練など出来はしない。反乱を決めた彼女がまず切り崩したのは、スマートブレインの元・傘下である
当時は実働部隊のほとんどが人間で、調練の経験があるオルフェノクはほとんど居なかった。後から思えば、とっくの昔に切り捨てられていたのだ。
ゆえに、調練のためのオルフェノクの選定はかなり時間がかかった。PMSC退職者からさらにオルフェノクを探していかねばならず、国内に住んでいるとも限らなかった。
運よく引き入れたわずかな軍事部門出身のオルフェノクでその場をしのぎ、フォトンブラッドからの防護服となるライオトルーパーの量産を進め、部隊としての体裁が整ったのは、ほんの二、三年前だった。
(諦めてなるものですか……)
今のスマートブレインが何を企んでいるか、それがオルフェノクにとって害となりうるかもしれない以上、彼女は戦い続ける。
王は既に君臨している。ただ傷をいやす時間と方法が不足しているだけ。
この対立は、継承権争いですらないのだ。王は必ず――――
「――――報告、対象を捕捉。接触、及び
トルーパー1の報告から、対象――シータに作戦を実行することを知る。
接触などと、ただの言葉遊び。実際には戦闘になるだろう。
無慈悲な処刑人の力を剥ぎ、逆にスマートブレインを追い詰める作戦。
――シータのベルトを奪う。
言葉にすると単純だが、戦力が足りず、容易にはいかない作戦。奇しくも十年前、三本のベルトの奪取がうまくいかなかったように。
(けれど、あのときとは違うわ)
十年前はベルトはあくまでも単一の戦力だった。だからこそ強力な“個”であるラッキークローバーなら簡単に取り返せると高をくくっていた。――オルフェノクを粛清するための兵器だとわかった頃には、もはや対抗できるオルフェノクは僅かだった。
(使える物は、何でも使うべきだった。それが例え、姑息な集団戦であっても)
三本、三人ですらそれだけの損害を与えうるベルトが、無数にある。その存在が判明する以前から準備は進めていたものの、ライオトルーパーだけで応戦できるのか。
「いいえ、これからよ……ここからが私たちの反撃の時……!」
どうあれ、闘わなければ生き残れないのだから。
◇ ◇ ◇
琢磨はシータと、最近になって活動が確認されたライオトルーパーについて調べていた。この二種のライダーがどういう関係なのか。
(私の予想通りなら、既に完全なオルフェノクと化した冴子さんは、少なくとも普通に出勤する事は無いはず)
琢磨が
次にスマートブレインで起きた最近の事件を調べ直す。琢磨の記憶にも新しい、一斉告発事件だ。
興味深いことに、そのすべてがオルフェノクで、かつ今のスマートブレインに反感を抱く者たちであった。その後、全員が失踪。しかも警察は動かず。
スマートブレインが少なくとも二つの派閥を抱え、一方が他方を追い出して始末、さらにそれを隠蔽した、とみることが出来る。
(創才児童園でのライオトルーパーの襲撃は事件になった……いや、そのときはシータも駆けつけている)
それでもいつものスマートブレインなら、間違いなく警察に圧力を掛けてもみ消したはずだ。この差はなんだ。
「琢磨さん、頼まれてた資料持ってきましたよ? 琢磨さん?」
「……あ、ええ、すみません」
同僚に頼んで持ってきてもらった仕事用の資料を受け取る。ふと、この会社が無くなるとどうなるのか考えた。
例えば、自分の仕事に戻った同僚は、人間だ。
街に灰色の怪物が跋扈していると語る琢磨を笑い飛ばし、よくある都市伝説だ、とたしなめた彼は、その怪物の庇護にあるこの企業をどう思うだろう。
(考えても仕方がない)
怪しまれない程度に仕事を進めよう、そう思って紙束を捲る。
「おや……?」
頼んでいた物と違う。どうも間違えて持ってきたようだ。
(仕方ない、自分で取ってきますか……)
そもそも資料室の資料ぐらい自分で取りに行けば良かったのだ。そう思いながらなんとなしに資料を捲る。
その手はすぐに進み、いつしか琢磨は資料を食い入るように読み込んでいた。
(これを持ってきたのは……)
同僚ではないだろう。
スマートブレインの対立派閥――現王派と称されるそれの、指導者と目されるのは……
(
慌てて辺りを見渡し、誰も注目していないのを確認すると資料を鞄に潜ませる。必要な情報は頭に叩き込み、資料は処分しなければならない。慌てて適当な理由をつけて退社した。琢磨は玄関ホールを突っ切り、隠れ家へと急ぐ。
玄関ホールを真っ直ぐに走り去る男を、ただ画面越しに見つめるスマートレディは、特に表情を変えることなくそれを見つめていた。
ライオトルーパー(撒き餌、デルタに倒されちゃったけど、シータ来るんかな?)
簡易武器紹介
『砲』フォトンブラスター
量産型ファイズブラスター(剣携帯への変形と強化変身機能なし)。
『実体剣』高周波ブレード
安く大量に作れる=配備数が多い。見た目はメタ○ギアソリッドに登場する雷電が持ってる刀。まんまそれ。
『複合武器』カタールガン
想像しにくいなら「ガ○ダムエクシアのGN○ードの刀身を短剣サイズまで切り詰めて展開状態で固定、その状態で射撃可能な武器」で伝わると信じてる。……そして調べなおしたら意外と可動するらしいGNソー○。
グレネードランチャー
説明不要。本当は煙幕弾を撃つハズが、不意に浮かんだ追加装備のせいでお株を奪われることに。