双獣の軌跡   作:0波音0

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元々作ってあった下書きの勢いのままに投稿。
今回はほとんど公式の外伝と同じではないかと思います。

実は作者、外伝を読んだのは本誌に掲載された1回のみ。
つまり公式設定うろ覚え←
きっと何かしら間違っているでしょうが、そこは私の想像で補ったとでもします。…させてください。


3話 出会い

ND2009

 

「───様、少々お話が…」

 

「はい。……すみません、少しの間席を外してくれますか?」

 

「しかし、護衛としてお側を離れるわけには…!」

 

「大丈夫です、だって、来訪者は─────ですよ?」

 

「……わかりました。では、お部屋の外で待機しております。何かありましたらお声がけ下さい」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……失礼します、───様」

 

「アレの報告?どうなの、状況は」

 

「今回のも劣化が見られるため、失敗かと」

 

「はぁ……これで2体目。本当に上手くいくのかい?その計画」

 

「……いかせてみせます。それよりも、今日お話したいことは別にありまして」

 

「なに?」

 

「……例の、森で見つかった少女たちのことで」

 

「そういえば拾ってきたんだっけ?……でもそれって誘拐じゃない?」

 

「……とりあえず暴れ回っていましたので、地下に隔離してあります。私の管轄で預かっていますが、ゆくゆくは訓練し──」

 

「会える?」

 

「──て、……は、……それは、」

 

「森で育った、預言を、…何もかも知らない子どもなんだろ?会ってみたい」

 

「いえ、しかし……」

 

「会ってみたい」

 

「……………………、…………………はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……」

 

「ガルルルルルルッ!!!!」

「グルルルルル…っ!!!!」

 

「桃色と、桃色…いや、金髪混じりかな?コレってアレ(・・)と同じなの?」

 

「いえ、構成音素を調べさせましたが第一から第六音素が含まれていたため、アレ(・・)とは別物です。アレ(・・)は全て第七音素で構成されますから。かなり珍しいですが、双子……というものなのでしょう。片方には第七音素の素質すらありませんでした。」

 

「……そう」

 

 

キィィィ……

 

 

「っ!────様!簡単に近づかれては危険です!」

 

「……っ!」

「ガルルルッ!!!」

 

「…うっ!」

 

「────様!」

 

 

 

「…こいつら、……本当に何も知らないんだ」

 

「ーーーッ!?」

「……うー…っ」

 

「────様、お怪我は!?」

 

「こんなもの、大したことないよ。それよりも……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつら、僕のペットにするよ。構わないだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宗教自治区ダアト。

そこは預言を詠み人々を導く世界的な宗教団体で、預言(スコア)を残した始祖ユリア・ジュエと聖獣チーグルを象徴とする、ローレライ教団の総本山。

最高指導者は導師。

歴代の彼らは世界平和の象徴とされ、敬意を払われてきた者。

 

そのローレライ教団の次期最高指導者である僕、イオンの部屋に新たな住人が増えた。

 

 

「……ふーん、似合ってるじゃないか。アリエッタ、シャルロッタ」

 

 

僕の「ペットにする」発言の後、姉妹は隔離されていた場所から出され、身支度を整えさせられた。

(仮にも僕のペットなんだから、それなりの身なりをしてもらわないとね)

体を清め、髪や爪なども整え、服をまとい…見た目だけは普通の人間らしくなった。

そう、……見た目だけは。

 

「うぅー……」

「………………(ピリ)」

 

「って、ちょ!着たそばから破らないでよシャルロッタ!」

 

森の中で育った2人。

赤ん坊の頃はまだおくるみとかの布1枚くらいあったかもしれないけど、成長すれば着れるはずもない。

ライガとか魔獣が服を着るはずもない。

つまり2人にとっての普通は何もまとわない、裸であること。

……苦労して着せた服も既に嫌そうだ。

 

 

余談だが、この2人の身支度を手伝ったのは導師守護役である。

導師(僕の代わりにエベノスがしてくれた)のご命令とあれば…!と意気込んで取り掛かったが、赤ん坊とは違い自我が形成されているものの、人間としての生き方を知らない2人にかなり苦戦したらしい。

さすがに水浴びはしたことがあるようでお風呂にはそこまで抵抗されなかったが、お湯に初めて触れたときは逃げ回っていたのだとか。

全てをやり終えた導師守護役には疲れが見えていたものの、成し遂げた達成感はかなりあったのだそうだ。

 

閑話休題

 

 

 

「まったく……手のかかるペットだね」

 

 

僕は2人に近づく。

2人は服を引っ張るのもそこそこに警戒をあらわにして、うなりながら後ずさる。

僕は気にせず近づく。

2人は後ずさる。

僕は…と、この繰り返しで姉妹は壁まで追い込まれてしまった。

もちろん気にしない僕は……っと、これ以上は余計警戒持たれて終わりだね。

 

 

 

ポン

 

「っ!」

 

「アリエッタ」

 

ポン

 

「…っ?」

 

「シャルロッタ」

 

 

 

「これが、君たちの『名前』だよ」

 

 

 

それぞれの名前を呼びながら頭を撫でる。

姉妹が首から下げていたペンダント。

自称・薔r…んん゛っ……死神の研究者(ディスト)はフェレス島の沈没から7年の間壊れることのなかったコレを嬉々として調べていたが、なにか特別な仕掛けがあるわけではなかったようだ。

強いていえば響律符として譜術攻撃力に恩恵がある程度。

 

しかし、それとは別にあるものが残されていた。

それが、名前。

桃色の髪の娘には「アリエッタ」

金髪混じりの娘には「シャルロッタ」

そう刻まれていたのだ。

 

 

「…と言っても、そもそも名前が何かわからないか。でも、僕が飼い主になるんだからきちんと人の色々を教えてあげる」

 

 

 

 

 

僕が導師となると決まって最初に詠んだ預言。

 

【僕は12の年に死ぬ】

 

正直なにもやる気も起きなかったし、だからこそヴァンの計画に協力してやることに決めたけど。

預言も人間の裏の部分もなんにも知らない純粋な存在。

…………まぁ、少しは楽しめそうかな。

 

 

 

「────これから、よろしくね」

 

 

 




イオン様との邂逅。
ここでの暮らしは次回に持ち越しです。

外伝を見て思いました。
イオン様、ペット扱いしてたのね…!
でも、愛情は注いでいたのでしょう。


追記

アリエッタと出会った時って、よくよく考えたらまだエベノスが導師ですよね…?
ということで、一部修正いたしました

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