皐月「勝ったんだね、僕たち」
赤城「やはり。夕立さんは詰が甘かったですね。狐対策を最後まで講じたのは見事というべきでしたが」
古鷹「比叡さんが真占いなのに、あまり人外を当てれなかったのが厳しかったですね」
《ひ、ひえぇぇぇ‼》
皐月「今、何か声が聴こえたような気がする」
古鷹「私もです・・・」
赤城「何だか、比叡さんのことを思うと涙が・・・」
古鷹「というのはさておいて、赤城さんはどこで夕立偽を見抜いたのですか?」
赤城「んー・・・狩人日記を見たときからですかね」
皐月「ええっ⁉その時にはもう⁉」
赤城「だって、あの日記、自分が噛まれてしまわないように祈る気持ちが一切書かれてなかったでしょう?何より、私を村目に見る発言がまるでありませんでしたから」
皐月「・・・あ」
古鷹「そ、そんな初歩的な見抜き方が」
赤城「意外と気付かない人は気付かないものですよ?恐らく瑞鶴さんならすぐに気付いたと思いますね。だからこそ早々と噛まれたのだと思いますけど。それより皐月さんはどこで判断を?」
皐月「ただの共有噛みなら、僕が噛まれてもいいはずなんだ。でも瑞鶴さんを噛んで僕は放置ってことは、瑞鶴さんを初期段階でどうにかしないとばれてしまうんだろうと思ったんだ。てことは、瑞鶴さんのことをよく知っている人が、狼なんだと思ったんだ。だから、瑞鶴さんと実は同期の夕立に入れたんだ」
赤城「そういえば、瑞鶴さんと夕立さんは、艦隊初期からの同期でしたね」
古鷹「夕立さん、あれで瑞鶴さんと同期なんですか」
皐月「本人が気遣いしないでって言ってたけど、本当は結構立場高い艦だよ」
古鷹「知りませんでした・・・」
赤城「皐月さんは他には何かありました?」
皐月「決定的なのは、狩人日記の霊媒護衛かな。あの日に丁度、占いが噛まれたから出来すぎだと思ったんだよね。それに、占いを噛まないといけなかった理由が、もしかしたら潜伏してるWで、予告占い対象にされてしまったからやむを得ずに襲撃するしかなかったと考えると辻褄があったんだ。瑞鶴さんは、阿賀野さんが狩人だろうって言ってたのも決まり手だったね」
古鷹「なるほど。確かに、あの日の予告占い先は夕立さんでした」
皐月「あと、夕立が霊媒が偽者じゃないのかって結論に至った理由が、二日目にはあったんだろうと思ったんだよね」
赤城「二日目に夕立さんはグレー占いを提案していたのに、ヴェールヌイさんは役占いのほうが安定すると言っていましたね」
古鷹「それって、普通のことじゃないんですか?私には特段気にはしませんでしたけど」
赤城「自分が人狼だったらって考えてみて。グレー占いに反対して役占いよ?てことは、占われたくない理由が、まだグレーだった彼女にはあったのよ」
古鷹「あっ‼」
赤城「そう考えると、吊られそうになったヴェールヌイさんが霊媒に出て、グレーから抜け出したのは非常に合点がいくわ。あとは占い方針を、「自分が本物だから占う必要はない。グレーから狐と狼を探していこう」て言ってしまえば、狐勝ちは貰えたのだから」
皐月「その違和感を、夕立は早くから見通したんだよ。だから、瑞鶴さんは私に「霊媒偽を唱えるってことは、何か彼女には見えているものがあるはずなの」て言ったんだ。人狼だからこそ、見えたんだね」
ピカー‼
皐月「うっ⁉な、何だい⁉この光は・・・」
古鷹「あ、頭が、だんだん重く・・・」
赤城「あ・・・何だか、ねむ、たく・・・」
横須賀鎮守府 客間
皐月「んー・・・」
チュンチュン
皐月「んー・・・!朝か‼今日も鎮守府の周囲警戒だー。張り切って行くよ‼」
廊下にて
皐月「でも、何だか長い夢を見ていた気がするなー。確か、人狼の夢だったと思うけど・・・」
夕立「あ、皐月ちゃん‼ぽーーーい‼」
皐月「夕立じゃん‼おはよう‼」
夕立「さっきシン提督がここに戻ってきたっぽい‼これでようやく本来の任務が果たせるよ‼」
皐月「本当かい⁉じゃあ、今すぐ瑞鶴さんに報告しなきゃ‼」
夕立「ぽい‼」
シン提督「予想以上ですね、先輩の艦娘の強靭な精神は」
提督「当たり前だ。柔な戦場を駆け回っていない。そういうお前はどうなんだ」
シン提督「全然ですよ。皆悪い夢を見たから今日は止めてくれって。唯一古鷹だけは動けていますけど」
提督「長期任務に出ているお前の本隊にもこの実験をやらせるか?」
シン提督「勘弁してくださいよ」
提督「今回も失敗してしまったが、艦娘は支えを喪ったときの様相を知りたいんだ。だから、お前にもまだまだ協力はしてもらうぞ?」
シン提督「言われなくとも」
終