黒子のバスケ 2人で1人の黒子   作:妄想創造少年

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第6Q 現実逃避、木吉鉄平、怪我、秘密

黒子《俺》side───────

 

 

あれから俺が火神に失望してから数日経った。

あの日の1、2日後の試合は、俺がイラつきすぎてミスを連発。インターハイ敗退となった。

 

そして俺は、あの日からずっと表に出ている。

《僕》が出て来ようとしているが、《俺》はその度に《僕》を沈めた。わざわざまた出て傷つくより、こうして置けば《僕》は傷つかなくてすむ。

 

そう……最初からこうしていればよかったんだ…

そうすれば元々《僕》が傷つかなくてすんだんだから……

それに《俺》は所詮本当の人格ではなく、創られた(偽物の)人格なのだ。所詮は紛い物。幾ら中傷や暴言、非難じみた事を言われても、《俺》は本物ではないし、ダメージも喰らう事も無い。そして、《俺》は人の感情を知らない。俺の感情も所詮俺の核が創った偽物だ。だから、何故そんなに怒るのか、何故悲しむのか、何故嬉しいのか、何故絶望するのか、何故そんなに必死なのか、何故幸せのか、何故他人の為に尽くすのかは知らない。何故《僕》が奴等(キセキの世代)を助けるのか、知らないし理解できない。《俺》は《僕》の為に存在しているのだから。そもそも《俺》は本物にはなれないし、なりたくはない。本物は《僕》なのだから。

 

 

《俺》は《俺》であると同時に《僕》でもある。

 

《俺》は生者であり同時に死者でもある。

 

《俺》を言葉で表すならこれだろう。

人ではない者が人を語るなど無理な話である。

………とっ…話を離脱しすぎたな。

何故いきなりこんな事を言い出したかといえば、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鉄アレイの「鉄」に平社員の「平」で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄平だ」

 

 

『あ、はい』

 

目の前のこの男から現実逃避したいからだ。

 

これが天然という奴か……心底めんどr…ゴホッン……個性的だな。だが同時に、とても腹黒く、策士にも見えるがな。

 

『あの…何かご用ですか?』

 

「ん?ああ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇよ

 

『……そうですか』

 

……なんだこの男?…全く読めない……いや…掴み所がない……

 

「来週で退院すっからちょっくら学校に挨拶に来ただけだよ」

 

『!………ケガか何かですか?』

 

「まあな。んで ついでに体育館覗いてみたらなんか悩める若者がいたもんだからついな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ キミの悩みなんぞ知ったこっちゃないわけだが」

 

『…………』

 

……何かこの男の相手が面倒くさくなってきた……

 

「けど期待もしてる

キミは面白い……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろんもう一人のキミも」

 

『!』

 

なっ!?……いつだ?いつバレた!?………

 

『……いつお気づきで?』

 

「さぁ?ただリコ達に聞いていた雰囲気が全然違うからかな?」

 

不覚……だな。でもまぁ…………

 

『フフ…』

 

「?どうした?急に笑って?」

 

『いえ……強いて言えば…踏ん切りが付いた………と』

 

そう……結局の所、俺は《僕》の代わりは務まらない。やはり黒子テツヤという人間は《僕》でないと……

 

「?」

 

『今からもう一人の俺に変わります。続きの話は《僕》に話してやってください。俺にその続きを言われても理解できないと思いますから。それから………』

 

「なんだ?」

 

『俺の事は秘密にしてください。いつか、《僕》が俺の事を話すと思うので……それでは』

 

眼を閉じ、ゆっくりと《僕》に変わった。

 

あぁ……早く…早く……奴等(キセキの世代)と戦いたい………そして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徹底的に叩き潰したい。

 


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