青峰side────────
俺の前に立つテツであったテツでない人物。
その氷の様に冷たく、何も映していない赤い眼には見覚えがあった。帝光中卒業の後、テツを除いたキセキの世代が集まった後に会った、もう1人のテツ。
それが今又、俺の前に立っている。
「どうした?青峰…そんな驚愕した様なアホ面晒して?」
『あ"ぁ?』
そう言いながら、まるで愉快とばかりにクスクスと笑っている。
こいつと話すと何故か不愉快が身体中に走って、イライラする……
するとそいつが、
「先輩達は先に行っててください。俺は青峰と少し話してからいきます。」
「え?…あ…あぁ、早く来いよ…」
「えぇ。分かりました。……さて……何処まで話した?あぁ…そう…何故本気を出さないか…だっけ?」
先輩達を先に行かせこちらに向き直り、微笑みながら言ったが次の瞬間に、
「それをお前が知る必要はあるのか?もう相棒でも何でもない、ただの敵に……本気を出さなかったお前に……」
まるで顔から表情を削ぎ落とした様に、無表情でこちらを見つめながら言ってきた。
その顔にゾッとしながらも、言い返そうと口を開けたが、肝心の言葉が思いつかなかった。
テツの言うとうり、もう敵同士で本気を出さなかったのも事実だ。そう考えねぐていると、
「そういう訳だ…じゃあな…」
そういうや否や、足早と誠凛の後を追いかけて行った。
俺はそれをテツが消えるまで見ていた。
……伸ばしかけた手に力を入れながら……
青峰sideend───────
黒子《俺》side───
まったく……
これだから感のいい奴はバレるから困るな……
さてと……
……まぁその場の流れに任せるか……。
【ガチャ】
『すみません。遅れました』
「……あぁ…」
やはりそうなったか……
すぐに立ち直るには無理があったな…
「……なぁ黒子」
『はい』
「あ〜……さっき青峰が言ってた事って…」
やっぱり聞いてくるか…
だがまぁ…
『すみません。たまにあぁなってしまうので……それで青峰君が本気を出してないように見える見たいで…僕は本気を出しているんですけれど……』
「そうか……すまん。変な事聞いて」
『いいえ』
誤魔化して仕舞えば後はどうにでもなる。
そう考えながらベンチに座り、これからの事を考えた。すると、
【ガンッ!!!!!!!】
「……くそっ!!」
「あたるな火神。切り替えろ!」
「そうよみんな!!!まだ2試合あるんだからね!!!!!!落ちこんでる暇なんてないわよ!!」
確かに切り替え無いと、
次の試合に支障を生じるが……
今の彼等にはキツいし無理だろう。
全力で挑んで、しかも相手はまだ本気を出さずトリプルスコアで負けたなら、相当精神にクる筈だからな。
「反省はあと!!とっとと帰るわわよ!!!火神君はちゃんと病院行かなきゃダメよ!!!!!!」
「ウス」
ぞろぞろと荷物を纏め皆出て行くが、少しだけこれからの事を考えてから出ようとした………が、
「ホラ行くぞ黒子。先輩達行っちまったぞ」
『……はい』
火神が呼び、考えを辞め立とうとした瞬間、
「…なぁ………これが限界なのかもな……正直もっとやれると思ってたけど、結果このザマだ」
「圧倒的な力の前では力を合わせるだけじゃ……………勝てねーんじゃねーのか?」
《ドックン!!!!!!》
【「オレに勝てるのはオレだけだ」】
【「約束します……青峰君に勝つと」】
【「さくっと勝って目ぇ覚ましてやらぁ」】
【「勝ってから言えよ」】
頭の中で《僕》が見てきた画像がグルグルと映像の様に流れ出した。
お前も!!!お前もそれを言うのか!?!?
今の
俺はお前なら本当の
《僕》の
青峰の様に《僕》を
………あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!
貴様を少しても信じたのが失敗だった!!!!!!
ならば俺が
もう十分過ぎるほど待った!!!
何もかも!!!!!!!!!
ドカッ!!!!!!!!!
壁に拳をぶつけ、少し凹ましながら目の前を歩く火神を射殺さんばかりに睨みながら思った。
あんまり俺を