黒子テツヤ《俺》side─────
《俺》の名前は《黒子テツヤ》。
《僕》の方では無い方の《黒子テツヤ》だ。いきなりだが俺は本来意思や意識を持たない、いわば俺は《黒子テツヤ》の数少ない負の感情だった。
何故過去形だったかというと、《僕》が精神不安定になり負の感情が増え、俺が意思と意識を持つまでになってしまったからだ。だがまだ、俺の意思と意識は生まればかりの赤ん坊の様に朧気で、ハッキリとは無かった。あの時までは………
【111─11】
初めて意思と意識がハッキリし、最初に眼に映ったのはこの数字だった。
【くだらない。本当にくだらない】
ふっとその数字を見て思った。多分これは
そしてこうも思った。
【守れ。《僕》を。それは《僕》を守る為であり、《俺》が意思と意識を持った理由であり、《俺》の存在理由だ。《僕》を守る為なら、非情になれ、冷酷になれ、残虐になれ、鬼となれ、人を捨てろ】
そして俺はそれを受け入れた。それは
『もう眠れ《僕》』
《僕》を壊さない為に、《俺》は交代した。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
【ワァ────────!!!!!】
うるさいうるさいうるさい。
入れ変わった瞬間これか……実に不愉快だな。もういいだろう…ここにもう用は無い。ここに入れば《僕》が傷つくだけだ。あぁ…最後にこれだけは言ってやるか……そうすれば《僕》も安心するだろう………
『また会う日まで、皆さん』
そうして俺は会場から去った。
勿論監督にも連絡して、荷物も持ち去って─────
次の日
俺は朝の部活には行かず、そのまま教室に入った。俺に変わったからか、影が普通ぐらいになりジロジロ見られたが、全て無視した。そして授業が終わり、すぐ様監督の所に行った。理由は勿論……
「これは…」
『見て分かりませんか?退部届けですよ。監督』
退部届けを出しにだ。
「…もう少し部にいる気はないか?もう少しで卒業なんだ。確かに気まづいかもしれないが…」
『監督。何か勘違いされてませんか?』
「?どういう事だ」
『俺が部活を辞めるのは、気まづいとか空気が殺伐としているからではありません。くだらないからです』
「!?」
『くだらないんですよ。確かにワンマンプレーは強い。ですがそれはチームとはもはや呼べない。個人個人が好き勝手しているだけのただの集まりです。全中の優勝も、帝光の優勝とも言えない。それはキセキの世代単体の優勝という方がしっくりくるでしょう。まぁそんなのどうでもいいんですが、《俺》は《僕》を守る為に辞めるんですよ。監督』
「何を…!?」
『監督。今までありがとうございました。《俺》は貴方とは初めてですが、《僕》の方がいろいろお世話になったみたいなので、変わりに挨拶をさせていただきます。それでお元気で…あぁそれと荷物は部活中に取りに行きますので、それではさようなら』
【パタンッ】
そうして、俺はバスケ部を辞めた。
それからは彼等に見つからない様に【眼】を使いながら、つまらない学校生活を送った。
そして時は経ち────
「────これで帝光中学校卒業式を終わります」
卒業した