シャワールームも廊下も寒いわね(真冬仕様だしね)
「ふぅ……シャワールームも、廊下も、寒いわね。そういうところまで季節に合わせなくても良いと思うのだけど」
シャワーから帰って来たエウリュアレは、まだほんのりと赤い肌としっとりと濡れた髪を見せつけるようにオオガミに近付く。
オオガミは一瞬硬直するも、すぐに平静を装うと、
「まぁ、日付とか曖昧になりがちだし、北半球のスタッフが基本だからそこの気候に合わせた方が、ぼんやりと季節感覚が残るからね。修復が終わって、いざ戻ってみたら季節が真逆だったりしたら感覚狂うし」
「南半球も考慮してあげなさいよ……」
「まぁ、それは何とも言えない」
エウリュアレは言いながら、オオガミの膝の上に座る。
何事かと一瞬迷うも、すぐに差し出されたドライヤーと櫛で、何をすべきかを理解する。
「でもまぁ、冬も悪くはないわ」
「うん? どうして?」
「言うまでもないでしょ? こたつにみかん。後はメドゥーサにくっつく言い訳とか」
「なるほど。それは確かに良いかもね」
「えぇ。という事でマスター、この部屋にもこたつを置かないかしら」
「暖房が全力稼働中なのでもうしばらくはありません」
「ちぇ。ケチね」
オオガミによって髪を乾かされながら、足をパタパタと振るエウリュアレ。
その
「でもまぁ、ノッブたちに相談してみようか」
「……そう言えば、前にこたつを作っていたわよね……よし。奪いに行きましょう。それでこの寒い日々とはさよならよ」
「一瞬の躊躇もなく奪う方に考えをシフトさせるのは流石だと思うんだけど。穏便な方法はないんですか」
「だってほら、あの二人は無いなら作るの精神だから、持っていっても大丈夫よ。きっと」
「うわぉ、スゴい雑。酷い話もあったものですね」
オオガミはそう言いながら、ドライヤーを置いて髪を櫛で梳かしていく。
エウリュアレは下を向きつつ、
「ん~……でも、こたつが来ても置き場所がないかしら。どうしましょうか」
「まぁ、物を移動させればこたつを置くスペースくらいは作れるだろうし、大丈夫だと思うよ。こたつが出来てから考えるのでも遅くはないだろうし。ある程度小さくして、おっきーのこたつみたいな異空間に繋げるのもあり……?」
「それは無しの方向で。足が当たらないのは良いけど、それ以上の何かを失うかもしれないもの……危険すぎるわ」
「まぁ、分かる。考えないとだねぇ……」
そう言いながら、オオガミは最後の仕上げとばかりにエウリュアレの髪を後ろで一本にまとめる。
寝る時用なので、邪魔にならないようにという配慮だった。
「さてと。それじゃ、寝ましょうか」
「うん。おやすみエウリュアレ」
「えぇ。おやすみなさい、オオガミ。貴方も同じベッドに寝るのだけどね?」
「……はいはい」
もう逃げる気もないですよ。と降参するようにオオガミは両手をあげるのだった。
暖房のかかってないところはどこも寒いけど、暖房のかかっているところは暑い……中間がほしい今日この頃です。
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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