「種火周回の日々じゃのう……」
「貴女、全く出ないでしょうに」
「まぁ、茶々が一掃しておるよな」
「茶々のなんかよくわからない凄い力は伊達じゃないんだよ!」
「うむうむ。流石、儂の姪じゃな。よく分からん力も使いこなしておる」
「えっ。でたらめに振り回してるんじゃないの?」
「そ、そんなわけないしっ!」
必死な表情で茶々は言うが、目を若干逸らしているので言い訳にしか聞こえない。だが、結局はちゃんと当てられるのなら問題は無いのだった。
「それにしても、茶々以上に周回しやすいのって、うちにいるのかしら?」
「むぅ……茶々はバーサーカーじゃから、あれだけの力を出せるわけで……後は誰じゃろ?」
「悩むわよねぇ……うちにも、NPをくれるサーヴァントが欲しいわねぇ……マシュ以外にも」
「そうじゃのぅ……目指すは3ターン周回かのぅ……」
「まぁ、全然急いでは無いから、今の状態でも十分なんだけどね」
「そうじゃな……あ、エウリュアレ。少し貰っても良いか?」
ノッブは、エウリュアレの食べているプリンアラモードを見ながらそう言う。
エウリュアレは少し考えた後、
「良いわよ。ほら、口を開けなさい」
「いや、自分で取れるんじゃが……」
「変に取られたくないわ。ほら、さっさと口を開けなさい」
「ご、強引じゃのう……仕方あるまい。あー……んぐぅ!?」
口を開けた瞬間にスプーンを突っ込まれるノッブ。エウリュアレは一応ダメージが入らない様にしていたので、ノッブのオーバーリアクションだろう。そうに違いない。
「ん~……やっぱりエウリュアレの選んでくるものはうまいのぅ。というか、このサイズの物が置いてるのか?」
「いいえ? これはオオガミに作ってもらったのよ?」
「……うむ。いつも通りのマスター小間使い発言。お主、いつか背後から刺されるんじゃなかろうな?」
「そんなわけないじゃない。私は何も悪くないわ。ちゃんと等価交換だし」
「ほぅ? 対価を払っておると?」
「えぇ……疲れた時の抱き枕扱いよ……」
「あ~……うむ、それなら問題ないな」
「えぇ。もう、慣れたわよ」
「そ、そうか……お疲れ様じゃよ」
「まぁ、それだけでこれが手に入るんだから、問題ないわ……」
別に、抱き枕にされるのが嫌だというわけではなく、その際に寄ってくる集団が恐ろしいだけなのだが、ノッブが気付いているかどうかは定かではない。
「まぁ、そんな感じで、このデザートは、私の苦労の結晶よ。燃やされそうになったり、切り刻まれそうになったり、毒殺されそうになったりしたけどね」
「特異点並みの危険じゃろそれ……カルデア、恐ろしいのぅ……」
「毎夜戦ってる貴女のセリフじゃないわね」
「まぁ、そうじゃな。と言っても、儂は、主にその三人からマスターを守るために戦っておるんじゃがな?」
「……えっと、その恩恵、受けられた覚えがないんだけど」
「残念じゃな……おそらく、儂の居ない時に限って抱き枕にされとるんじゃろ」
「そんな……」
衝撃の事実。ノッブシールドが機能してない時に限って抱き枕にされているという事実。
もしかしたら、ノッブシールドが働いていたならもっと楽になったのだろう。
「……次は出来れば私が捕まってる時にもお願いしたいわ……」
「善処はする」
ちょっと落ち込んでいるエウリュアレに、ノッブは真剣な顔でうなずくのだった。
ふと思い出したんですけど、最初の頃って、確かエウリュアレとノッブの仲って、悪かったような……最近は殺伐レベルが皆無ですね。ほのぼの最高です。