「こういうサンドボックスゲームってさ。やっぱ差が出るじゃん? RPGとかよりもわりと極端に。目標とかって考えてる?」
「そっすねぇ……とりあえず冒険し尽くす! って感じっすかねぇ。時間は有り余ってますし、一通りアイテム揃えて倒せる敵倒し終わるまでとか?」
「建築派はいないのか……」
「姫ちんみたいにゲームの中まで引きこもらないって」
「拙者も武器持ってとりあえず突撃するからなぁ……建築センス皆無というのもありますが」
「くっ、だからいつも姫だけ建築なのか……!」
珍しく、三人揃ってレクリエーションルームに集まって同じゲームで遊んでいた。
何故揃っているかと言われれば、クリスマスの雰囲気にあてられて特に何かしようと言う雰囲気になり、その勢いのまま飛び出した三人がバッタリと出会ったからなのだが。
とにもかくにも、出会った三人は、無駄に時間を喰らっていく魔性のサンドボックスゲームに手を出していた。
「というか、姫ちんの建築、いつも芸術レベル高すぎでは? 毎度本当に住んでいいのかレベルなんだけど」
「部屋数が多すぎるのと、そもそもがデカすぎて構造把握が厳しすぎるでござる。拙者的にちょっと住み辛い」
「姫はただいつも通りやってるだけなんだけどなぁ……」
「「要求素材が多すぎる」」
「それ皆言うんだけど」
そう言って、刑部姫は遠い目をする。
言い放ったガネーシャと黒髭は、何十スタック単位で要求される必要素材に戦慄しているのだが、要求している本人がこれなので何を言うのも馬鹿馬鹿しくなっていた。
「それで、姫ちんは懲りずに何を作ろうとしているのさ」
「次は……そうだね。キャメロットとか? この前マテリアルで見て面白そうだなって思って」
「とんでもないこと言ってますよこの人」
「次は石英ですかね。ラピスラズリも?」
「エンチャント素材が資材として出荷されていく……建築のための致し方ない犠牲……」
「いや、別にウールでも構わないんだけど……」
しかし、刑部姫の声は届かず、二人は既に集めるつもりでいるようだった。
そんな二人を見て刑部姫は、
「どちらかと言うと、この是が非でも集める姿勢が姫の退路を断ってるんだけど……」
「なんか言ったっすか?」
「えっ、あっ、おや、何でもないよ!」
「はいはい。何か必要だったら言ってくださいよ~」
「うん、分かった~」
そう刑部姫は返事をしつつ、既に何か覚悟を決めたような顔をしている二人に、うっすらと恐怖を覚えるのだった。
ボックスから逃げて遊んでいるのは私です。マイクラたのちぃ。
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ