「乗着! 憤怒の化身、至尊の戦士! アシュヴァッターマン参上!」
「ブラックサンタとしては負けられねぇなぁ! そうだろアビゲイル!」
「アンリが殴られるのは分かるのだけど、私まで倒されるのは納得いかないわ」
「おっと。どっちも敵みたいだな! ま、やれるだけやりますか!」
そう言って、ステージを駆けるアンリ。
その黒い影を落とすべく、燃え盛るチャクラムは疾走する――――。
* * *
「おぉ……これは、ヒーローショーもありかもしれない……次ラスベガスに行ったときにルカンでやってみようかな」
「その時は私も一緒に参加しようかしら。あのイルカ女のエリアを荒らすのもアリよね」
「いいわね。私も行こうかしら。ヒーローは複数で悪役は一人なんでしょう? リンチとか、最高に私向きじゃない」
「絶対間違えてる」
「その発想なら私がリーダーでいいわね」
「物騒過ぎるヒーローね」
「「発案者の発言じゃない」」
二人の突っ込みを受け、反省するでもなくむしろ何故か気分がよさそうにドヤ顔をする。
そんなことをしている間にも、いつの間にかチャクラムと触手に追われているアンリがいた。
「……あれ、もはやイジメよね」
「まぁ、アビーが敵対するのは分かってたし、実質三つ巴の戦い」
「平然と争うあの二人ね。なんというか、いつも通りよね」
何度も触手に襲われるも紙一重で躱し続けるアンリ。
まるでどこから来るのかを分かっているようなその動きは、どれほど日常的に行われているかを象徴しているようだった。
「なんというか、あの正確な回避はどこかの誰かを思い出すわ……」
「アンリ……カルデアに帰ったら何か美味しいものでもあげよう……」
「マジで大丈夫かしらこのカルデア」
不穏な事を言っている二人に、ちょっと引いているラムダ。
だが、やがてアビーもアンリに追いついて行き、触手に足を引っかけられた瞬間炎を撒き散らしながら突撃してくるチャクラムに引かれるアンリ。
それがトドメとなったのか、アンリは親指を立て、がくりと気を失う。
アビゲイルはそれを見届けると、
「ふふっ。憤怒の化身さん。貴方、中々やるのね。見直したわ」
「おぅ。黒サンタってのは縁起がワリィからな。だが、テメェも敵なんだろう?」
「えぇ……私がサンタキラー、大掃除の魔女よ。でも決着の時は今じゃないわ。また今度、改めて戦うとしましょう……バイバイ、夢と希望のサンタクロース」
そう言って、触手でアンリを引きずりながらステージ裏へと入って行くアビゲイル。
勝利のポーズをとるアシュヴァッターマンを見ながら、三人は、
「アビーの演技力に脱帽」
「あれ、素だと思うの」
「あんなの素でやられても困るのだけど」
そんなことを言いながら、拍手を送るのだった。
アシュ兄貴好き……かっこいい……
あ、アンリが狙われているのは今日だけで宝具レベルが2上がったからです。別に嫌ってるわけではなく、これは単にアンリとオオガミ君が近い設定なので。
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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