「そんで、あれはなんだ?」
「ん。英霊召喚チケットの取り合い」
バラキーは、隣にいるロビンから貰ったチョコクッキーを食べつつ答える。
そんな二人の目の前には、オオガミに集まる数名の男女。
「なるほどねぇ……しかしまぁ、そこまでして欲しいかねぇ?」
「ん。吾も酒呑が呼べるのならば奪いに行くからな。気持ちはわかる」
「……なるほど。そりゃ欲しがるわな」
不機嫌そうなバラキーを見て頷くロビン。
段々と周りを囲っているサーヴァントが増えていって、更に言えば小競り合いも起こっていた。
宝具を重ねてほしいという願いや彼、彼女を召喚してほしいだのと言ってオオガミを襲っているが、流石は人理を修復したマスターというべきか、サーヴァントに捕まらないようにかわしていた。
ただ、こういうときはいつもと言っていいくらい参加しているエウリュアレは、メルトとアビゲイル、アナの三人と一緒に遠くから見守っていた。
それが微妙に気になるロビンはそこを警戒しつつ、オオガミの方を見る。
「それにしても、よくかわせるな。流石過ぎるわ」
「まぁ、訓練の賜物ではあるな。吾、あやつの訓練を見てると、人間を辞める気ではないかと思う。特に『れおにだす』に鍛えられてるときは殊更にな」
「へぇ……いや、想像できるわ。戦場で5分寝て感覚だけで起きて即座に反撃とか、人間辞めるしかねぇわ。てかその訓練してるのか人間辞める気かマスター」
あの極致に至るつもりなのかと震えるロビン。
そんなときだった。オオガミの方でひっそりとチケットを抜き取ったカーマが全力で逃げ出した瞬間、エウリュアレ達が瞬時に立ち上がり、矢で足を止めペンギンで転ばしアナが鎖で縛ってアビゲイルが触手で叩き潰す。
流れるような動きに凍り付く空気。
その中を悠然と歩き、カーマからチケットを取り返したエウリュアレは、
「ほら、返すわ。最終決定は貴方だからね?」
「あ、うん……あ、ありがとう?」
そう言って、オオガミに満面の笑みで返すエウリュアレ。
オオガミに集まっていたサーヴァント達は、それを見てゆっくりと、若干怯えるように解散していく。
それを見ていたロビンとバラキーは、
「恐ろしいわ。牽制してくるとは思わなかったな」
「いやぁ、やるとは思ったが、ここまで徹底的とは思わんかったなぁ……カーマ回収して吾は部屋にこもるかなぁ……」
「オレも一緒に行くか。カーマを連れていくのも一苦労だろ?」
「うむ。任せたぞ緑の人」
そう言って、二人はカーマを回収して部屋に向かうのだった。
最近のエウリュアレはこういうところあるんですよね。いつからこんな風になってしまったのか……でもちょっと楽しい……
オオガミ君人外説が久しぶりに登場。人間離れに拍車をかけていくのです。
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ