今日のカルデア   作:大神 龍

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無理じゃろこんなの!!(ルール、大雑把過ぎじゃない?)

「ハァッ……ハァッ……予想以上に、辛いんじゃけど……!!」

「全く……私なんて、連れてくるからよ……!!」

「ハァッ、ハァッ……ハ、ハハハ……いやぁ……まさか、ここまで辛いとは……」

 

 ロンドンの路地裏で、息を整えつつ身を潜める三人。

 昨日のゲームを実行した所、開始数分にしてヘシアン・ロボを振り切るには一回魅了をかけないといけないという事実に気付いた三人。

 そんなこんなで逃げ続け、現在開始から1時間経過していた。

 

「あんなのから、何時まで逃げればいいんじゃよ……!!」

「えっと……5時間くらいだったかな……」

「はふぅ……よし。私を置いていきなさい。私だけ諦めてエルキドゥに回収してもらうわ」

「却下じゃ。というか、エウリュアレがいなくなったら完全に勝ち目が無くなるんじゃが」

「むぅ……仕方ないわ。ノッブが懐に隠してる蜜柑(みかん)で手を打ちましょう」

「なんで知っとるんじゃ……」

 

 そう言いつつも、自然な流れでエウリュアレに渡すことに違和感を覚えない辺り、見慣れた光景だとオオガミは思うのだった。

 と、そんな感想を抱いた時、ノッブがピクリと反応する。

 

「うむ。ばれたな」

「えぇっ……せっかく食べようと思ったのに……」

「もう一回逃げ切るまで我慢だよ。で、どうやって逃げる?」

「屋内に逃げ込めればいいんじゃが……」

「難しいわよね。どの家なら入れるのか分からないし」

「そうなんじゃよなぁ……見に行ってる間に襲われたらどうしようも無いからな。とにかく、何とかして撒いてみるぞ」

「了解」

「私は……とりあえず魅了をかければいいのかしら?」

「いや、お主はマスターとおれ。道具で撃退できるかが問題じゃからな……」

「なら、最終手段って判断で良いかしら?」

「それでよい。だから、マスターと逃げておれ」

「良いわよ。マスター、行くわよ」

「うん。ノッブ、任せたよ」

「うむ。任された」

 

 そう言って、ノッブはオオガミ達と別れるのだった。

 

 

 * * *

 

 

『今更ながらルールの確認をしておくとしよう』

「む? どうして今更説明なのだ?」

「馬鹿ねぇ。そんなの、今から見る人だっているでしょう?」

「あぁ……なるほど。なら仕方ないな!」

『……説明してもいいかい?』

「うむ。構わんぞ!」

「どうしてこっちと会話が出来てるのかが気になるんだがな……」

『それは言えない秘密ってやつさ。とにかく、説明を始めるよ』

 

 テレビから聞こえるエルキドゥの声。映っているのは、霧の都ロンドン。

 つまりは、オオガミ達の隠れ鬼の観戦である。

 本人たちの近くに通信回線を開くと、互いに伝わってしまう可能性があるため、エルキドゥを対象に映像回線を開き、全体を見ているのだった。

 

『ルールは、簡単に言えば捕まらないこと。ただし、ただ逃げるだけでなく、事前に持ち込んだ道具や各自サーヴァントのスキルは使用可能なモノとする。そうしないと、流石に僕がいないのに逃げ切れるとは思ってないからね』

「ふむ。煽っておるのか?」

「どこぞの金ぴかバイクなら逃げきれるでしょ?」

「それはそれで道具は使っているがな?」

『単体で超速移動が出来るのはいないと思ってたんだが……僕が知らないだけで、もしかしているのか?』

「そんなのはどうでもいいわ。早く説明して? エルキドゥ」

「茶々も早く知りたいんだけど!」

『分かった分かった。確か、道具やスキルは使っていいって言ったね。それに加えて、倒し切らない程度の攻撃は可能だよ。ただし、追う側の近接攻撃に当たった場合は、触れられた判定とするよ。

 そして、最後に一番重要な問題なんだけど、メンバーの都合上、これは本来の隠れ鬼とは違うよ。鬼の交代無し、触れられたら退場。そして、6時間の間に全員が捕まった場合はヘシアン・ロボの勝利。時間が過ぎた時に一人でも残ってたらマスター側の勝利だよ』

 

「ふむ……む? それだと、エウリュアレが連続で魅了をかければ勝てるんじゃないか?」

「……あ、本当ね」

『……ん? そう言われてみれば確かに……この判定、どうするんだい?』

「こっちに聞かれても困るのだが……」

「ふん。エルキドゥの采配でいいだろう? 審判なのだから」

『それもそうか。なら、再使用に制限をかければいいかな? 確か戦闘でのリキャストが9ターンだから……うん。10分に一回でいいね。とりあえずマスターに伝えておくかな』

 

「良くもまぁ、一時間もそんなあやふやなルールで続けたもんだねぇ」

「センパイ、もしやわざとですかね?」

「そんな訳なかろう! 忘れていたに決まっておる!!」

「逆に酷く罵倒されているような……?」

『うん。まぁ、引き続き映像を映していく――――んだけど、外部通信は一旦終了だよ。また明日、だよ。生放送はこのまま継続だけどね』

「外部通信……?」

「BBさん、知ってたりします?」

「ちょっと、即座に私を疑うの、止めてくれません?」

「出来そうなのは、BBさんしかいませんし……」

「当然ですけど、私じゃないですからっ!」

 

 当然の如く疑われるBBだったが、今回に限っては本当に無実であった。

 

 戦いは明日へ続くのだった。




 これは……グダグダの予感……!! 明日で終わるかな……
 そして、ばれたと分かっていながらそれでものんびりと会話する、残念な集団……これ、実質ノッブが捕まったら負けなんじゃ……?

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