「で、どうだったの? 宇宙旅行」
「何回か死にかけたけど楽しかったよ」
バターケーキを切り分けながら、カウンターで待つラムダに話すオオガミ。
エウリュアレは既に席を取って待っているので、席が取られることはないと思いながら、おやつの準備をする。
「それにしても、本当に厨房に馴染んでるわよね。貴方」
「まぁ、なんだかんだ結構作ってるし。料理の師匠はいっぱいいるしね。その分上達も早いというわけです」
「そう。じゃあ今日もその腕を存分に振るったそのケーキ、食べさせてもらいましょうか」
「もちろん。じゃ、ちゃんと席に座ってよ」
「言われずとも。当然私の隣に座りなさいよ」
そう言って、楽しそうに笑いながらオオガミと一緒に席に向かうラムダ。
ふと、自分と同じか少し小さいくらいのラムダに、最近メルトの状態で会うことが少ないなと感じるオオガミ。
ただ、ラムダに限って特に意味がないと言うことはないだろうと思い、特に指摘はしない。
そんなこんなで、オオガミの正面にエウリュアレ。隣にラムダが来るように座る。
そして、エウリュアレが開口一番、
「スゴい甘い匂いね」
「バビロニアの時のやつだけど、これは普通に激重カロリー爆弾なのでサーヴァント以外にオススメしません。製作過程のアレを見たらオススメ出来ないって」
「い、一体何を見たのよ……」
とりあえずとばかりに一人一切れ、取り皿に乗せるオオガミ。
切り分けられたそのケーキ、エウリュアレは目を輝かせながら、フォークを容赦なく突き立てる。
ごくりっ。と喉の鳴る音が響き、沈黙が場を支配する。
そぅっと持ち上げられたバターケーキは、脳を蕩けさせるほどの甘い匂いを放ち、濃厚なバターを感じさせる。
そして、それはエウリュアレの口の中へと導かれ――――
「……ん~~っ! 美味しいわ!」
「よし! 完璧!」
「ちょ、私にも食べさせなさいよ!」
いつも以上に美味しそうな顔をするエウリュアレ。
それを見たラムダは、私もとばかりにオオガミを急かしつつ口を開けてくる。
オオガミはそんなラムダの口にバターケーキを運び、食べさせる。
直後、ラムダの目は輝き、
「とっても甘いわね!」
そう言って、柔らかい笑みを浮かべるのだった。
* * *
「そう言えば、ノッブ達は?」
「『蒼輝銀河面白そうだから探索してくる』と言って今も宇宙をさ迷ってるわ」
「……そのうち向こうのノッブと合流してぐだぐだフィールド展開しそうだね?」
どこへ行ったのかと疑問ではあったが、未だに向こうにいるようなので、ある意味安心したオオガミ。
まだ終わっていないことがあるので戻る予定があるオオガミとしては、そちらの方がありがたかった。
「まぁ、アビーがいれば向こうに行けるか」
「次は私も一緒に行こうかしら」
「何言ってるの。ちゃんとアビー含めた四人で行くに決まってるでしょ」
「う~んついてくるのは確定なんだね。分かるとも」
そう言って、オオガミはバターケーキのお供に淹れた紅茶を飲むのだった。
バターケーキ美味しそうですよねぇ……ココスかぁ……う~ん……
あ、まだアルトリウム不足でダーク・ラウンズには挑めてないですとも。ぐむむ。アルトン星を滅ぼす勢いで回らねば。
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ