「のぅBB」
「あ、お帰りなさいノッブ。ちゃんと頼んだのはゲット出来ました?」
「おぅ。それは当然じゃ」
バスターTシャツに短パンというラフな格好をしているノッブは、片手に持っていた小さいビニール袋から取り出したものをBBに投げ付ける。
あからさまに寝起きですと主張している顔をしているBBは、ヨレヨレの服を直すことなく投げられたそれをキャッチすると、
「投げたってそう簡単に壊れないからって、気軽に投げられても困るんですけど……掴み損ねたらぐちゃってなってましたよ?」
「いや、儂アーチャーだし。投げミスとかせんからな?」
「霊基がバーサーカーなんですがそれは」
「いやまぁそれは誤差じゃろ誤差。ちゃんと正確に投げたしノーカン」
口笛を鳴らしつつ目を逸らすノッブ。
BBは寝不足なのかいつもより三割増しで鋭くなった目で睨むも、すぐに諦めたようにため息を吐き、
「それで? 何か言いたげでしたけど、何かあったんですか?」
「あ。そうそうそれなんじゃけどな?」
椅子と机を適当に引っ張り出して座るノッブと、その正面に自分の椅子を持ってきて座るBB。
彼女はノッブから渡されたモノ――――包装されたドーナツの袋を開けつつ、話を聞く。
「マスターが真っ黒イシュタルに誘拐されたらしい」
「マジですかふざけんなですよ」
一息で文句を言い、ドーナツを食べるBB。
心底嫌そうな顔をしているので、その怒りは見て伝わる。
「今時、うちの残念マスターさらって得する人なんかいます? 人理最後のマスターとしての箔が先行してますけど、中身ポンコツですよ? 私が容赦なく殴って良いと思うレベルで」
「一周回ってそれはもう信頼じゃろ。つか、それだけ言うのに秒速でタブレット取り出した辺り今もう探し始めてるじゃろ」
「はぁ? 当然じゃないですか。マスターを弄って良いのは限られてますし、何より私が今の今まで気付いてなかったって言うのが一番嫌なんですよ。さっさとマスター見つけて引きずり戻すんですよ」
「おぅおぅ。当然儂は専門外なんでぶん投げるぞ。アビゲイルはもう探し始めてるらしいし、エウリュアレもすぐに来るじゃろ。ほれ急げー」
「全部ぶん投げないでください。ぶん投げるならご飯とかお願いします」
「面倒じゃな~……まぁBBは徹夜で何か作ってたみたいじゃし、仕方あるまい。やってやるか~」
「流石ノッブ。任せましたよ」
「うむ。正直寝ろよと思わなくもないがそれは置いておこう。んじゃ、なんか食えるもんを持ってくるか」
「えぇ、ここで待ってますよ」
そう言って、ノッブにBBは手を振るのだった。
秒速悪口BBちゃん。ところで徹夜で何を作ってたんですかねBBさん。ちょっと工房を見させて――――
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ