「昨日は夢を見ていた気がする……」
「うなされていましたしね。まぁかくいう私も同じなのですが。なんですか。クソ長ヒールの女性に八つ当たりされる夢って。どんな夢ですか」
オオガミもXも、頭を押さえながらそう呻く。
なにやら夢の中のマアンナ号は広かった気もするが、現実はそう優しくなく、四人で満員。追加四人など、宇宙に投げ出すしかないだろう。
「しかしまぁ、昨日戦った感じ、みんな呼べるみたいだし、そんな怖くはないかな。行けるでしょ、たぶん」
「マスターって、実は怖いもの知らずですよね。リリィの修行の時はサンドバッグ役でしたし」
「それはただ吊られてただけですむしろ殺されかけてる」
「そうでしたっけ。てっきり吊るし切りされる趣味なのかと」
「なにその趣味。変態越えてイカれてるでしょ。吊るし切り専門とか、コア過ぎない?」
「最初から吊るされてましたし、てっきりそういう趣味なのかと……」
「そんなコア過ぎる趣味認定されても……」
オオガミはそう言うと、少し考え、
「さて、ハロウィンイベントが平成に置いていかれたとしても、ハロウィン自体は今もわりと普通に巡ってくる……つまり今日がハロウィンなわけだけど、くそぅ、自分でお菓子を渡せない……!」
「むっ。それはつまり、ここに来なければマスターからお菓子が貰えていたということ……? くっ、許しませんよ、マスターを誘拐したイシュタルっぽいの! えっちゃんだったら粉微塵にすること間違いなしです!」
そう叫ぶXと、無念そうな顔をするオオガミなのだった。
* * *
「「「トリック・オア・トリート!」」」
「ふふ。いらっしゃいナーサリー達。当然イタズラはされたくないからマスターが残していったお菓子をあげるわ」
「「「ありがとう!」」」
エウリュアレは仮装をしてきたナーサリー達に一つずつ菓子袋を渡していく。
まるで市販品のような包装だが、オオガミが丁寧に包装していたのを知っているエウリュアレからすると、やはり無駄に器用という印象しかない。
ミイラの仮装をしたナーサリー、オオカミ女の仮装をしたジャック。吸血鬼の仮装をしたジャンタ、魔女の仮装をしたバニヤン、異常なまでのクオリティのゾンビの仮装をしたアビゲイル。そして、最後の白い布を被った人物にお菓子を渡しかけて止まる。
「……なんでカーマがそっち側なのかしら」
「待ってくださいまだ一言も喋ってないんですが」
動揺して慌てているような声を出すカーマ。何よりも、なぜバレたのかが気になっているのだろう。
だがエウリュアレは笑顔のまま、
「まぁ、マスターは用意しているのだけど。感謝しなさい。あとバラキーを野に放たないで」
「あれ、私が管理してる扱いなんですか? というか、バラキーに関しては勝手に飛び出していったので行方知れずなんですが」
「それはそれで問題なのだけど……まぁ、いいわ。見かけたらここに来るように教えて。じゃ、これね」
「くっ、私だけお使いですか……いやまぁ良いですけど。ありがとうございます」
カーマは受け取り、引き下がると、
「エウリュアレさん、ありがとう! また後でね!」
「えぇ、また後で」
そう言って、ナーサリー達は走り去っていくのだった。
エウステ礼装、白いのがステンノで黒いのがエウリュアレかな~って思ってたら、Twitterで絵師さんがそう言っていて震えました。ついに見分けられるようになってしまった(狂乱
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