「ふぅ、ようやく終わりかしら。エリザベートも回収したし、後は帰るだけ?」
「遊びに行く、というのもあります。今回姉様はアトラクションマネージャーの掃除を最優先にしてたので、ほとんどまともに見て回ってないのでは?」
鬼王のパレード台を奪い取ったエウリュアレは、そこからONILANDを見渡しつつ考える。
「そうは言っても、もう夜なのよね。明日には消え去るし、どうしたものかしら」
「今からでも、観覧車やティーカップ、メリーゴーランドなどはやってます。ミラーハウスは危険なので夜間はやってないみたいですが」
「そう……アナはちゃんと見ているのね。なら、貴女が乗りたいのに乗りましょうか。何が良い?」
微笑んだまま聞くエウリュアレに、アナは大きく目を見開いたあと恥ずかしそうに、
「その……一緒に、観覧車に乗っていただけないでしょうか……」
「……ふふっ。えぇ、良いわよ。去年一緒に乗ったときは顔が真っ赤で大変そうだったけど、今年は大丈夫かしら?」
「こ、今年は大丈夫、です。それに、ONILANDの夜景を見れるのは貴重ですし、見ておきたいな、と」
「まぁ次があるか分からないしね。行けるうちに行っておきたいのは確かだもの。良いわね、行きましょうか」
エウリュアレはそういうと、パレード台から飛び降りて、アナに手を伸ばす。
アナがその手を取ると、エウリュアレは微笑んで観覧車に向かって歩き出す。
「それにしても、去年は夜に見て回らなかったから新鮮ね。夜景ってどんなかしら。花火も上がってるし、地面もライトアップされてるから、綺麗なんでしょうね」
「えぇ、私もそう思います。でも姉様、本当によかったんですか?」
「何がかしら。私が貴女とずっと一緒にいること?」
「えっと……はい。そうです」
すると、駆け足気味だったエウリュアレは普通に歩き始める。
アナがそれを不思議に思うと、
「まぁ、騒動の中心よりも、外から見てた方が楽しいもの」
「はぁ……それとマスターと一緒にいないのに関係はあるんでしょうか」
「えぇ、大いにあるわ。だってほら、彼はいつも中心にいるもの。だから、騒動に混ざりたいなら近くに。傍観していたいなら離れたところにいるのが一番よ。記録係はアンリに任せているから、帰ったら楽しみね」
「……さすが姉様です。ただ見てるんじゃなくて、ちゃんと管理しているんですね。見習わなきゃ……」
「えぇ、存分に見習いなさい。そしてこれからもよろしくね。アナ」
「はい、姉様」
そう言って笑顔を向けるアナに、エウリュアレも笑顔を返すのだった。
エウリュアレえぇぇ……どうしてラムダデートの筆が進まないのぉ~……はっ、これもクリプターの陰謀か!(風評被害