「むうぅ……」
「なんでぃ、不満そうだなぁアビゲイル」
頬を膨らませて不機嫌そうなアビゲイルに声をかける北斎。
いつもの大筆は何処かへ置いてきたのか、持っておらず、代わりにONILAND製のポップコーンの箱を持っていた。
「別に、北斎さんが悪い訳じゃないの。ん~……何て言ったら良いのかしら……なんだか、イヤな予感がすると言うか、また苦手な人が増えたような、そんな予感というか……でもでも、苦手な相手って言っても、クラス相性的なものだから、会話は合うかもしれないというか……」
「あぁん? いやまぁ、言いたいことは分かるけど、ずいぶんまぁいきなりな予感だな?」
「またマスターが召喚したのかも……マシュさんに報告しなきゃ」
「……即座に告げ口されるってのは、中々にヒデェ様にも思えるんだが、実は割りと普通だったりするのか?」
「いいえ? でも、美味しいパフェが代わりに食べられるのだもの。だから、犠牲はしょうがないの」
「……実はそっちが本命だな、こんにゃろめ」
「えへへ……」
照れくさそうに笑うアビゲイルの頬をふにふにとつつきつつ、それはそれとしてパフェの代わりに売られるのはマスターとしてどうなのだろうか考える北斎。
だが、すぐに考えるのが面倒になり、ポップコーンの箱をアビゲイルに渡しながら、
「まぁ今は適当に遊ぶさ。なにか乗りたいのとかあるか?」
「ん~……そうね。今年は北斎さんと一緒だから、観覧車とかどうかしら。去年は乗らなかったの」
「ふぅん。観覧車ってぇのは、あのドデカいのだろ? いいね。気になってたんだ。高いところから見たONILANDも見てみたいからな。いやぁ、何かと嫌われる鬼達のONILAND。人が賑わい笑顔のなるってぇのは不思議なもんだが、いやはやこれはこれで良いもんさ。まぁ、本場の鬼はどうかって話はあるけどな?」
「まぁ、鬼救阿さんは悪いことって言っていたのだから、きっと鬼にとっては悪いことなのね。人間にはとっても難しいことなのに」
「まぁ、それが流儀ってもんさ。人種が違けりゃ文化も違う。海の向こうから来たやつらだって言葉も文化も違うってもんさ。人も鬼も皆同じ。まぁなんだ。そこにはそこのルールがあるってことさ。おれもとと様も、そういうのに振り回されたり振り回されなかったりして江戸で絵を描いてたわけで、だからまぁ、人間からしたら良い行いでも、そりゃ悪役の鬼がやって良いことではないって訳さ」
そう言ってから、北斎は口を閉じ、空を見上げると、
「それはそれとして、あの鬼救阿ってのとは一度じっくり話して、絵の題材になってほしいもんだ。お願いできないもんかねぇ……」
「……確かに、北斎さんの描いた鬼救阿さんを見てみたいわ。私も頼んでみようかしら」
「おぅ。その時はよろしく頼むぜ、アビゲイル。それじゃ、観覧車に行くとするかね」
「えぇ!」
そう言って、二人は観覧車に向かうのだった。
だぁぁ!! ラムダ編を書く時間が取れなぁぁぁい!!
ONILANDが終わるまでに書ききれ私! うごあぁぁ……!