「なんで私とノッブが一緒なんですか……」
「儂が聞きたいよなぁ……」
そう言う二人は、クルクルと回り続け、且つBBによって加速し続けるティーカップに乗っているのだった。
* * *
「何があったらあんな速度で回す耐久ゲームになるんですか」
「新しい発明品を見たマスターが、『二人ともシバくか、今から二人がティーカップに乗って、先にダウンした方を極刑にするか』と問うたら意気揚々と二人で乗り込んで、ああなった」
「なるほどバカなんですね?」
外から見ているバラキーとカーマ。
だんだんと加速し続けるそのティーカップは、なにやら風が可視化できるようになってきていた。
「あれ、どうなったら終わるんです?」
「聞いていた限り、どちらかが倒れるまでのようだが……まぁ、なにか騙されている気がしなくもない。というか、あのままだとどちらも共倒れでは?」
「たぶんそれを狙ってるんでしょうね。あの二人は喧嘩する方面の仲の良さなので、焚き付ければ勝手に燃えますから。それでたぶんこう言うんです。『二人とも倒れたのでどっちも極刑ってことで』って。囚人のジレンマに近いものを感じますね」
「うわっ、人間汚いなぁ……吾そこまでしない……」
ある意味出来レースをさせられている二人を見ながら、カーマの言葉に若干引くバラキー。
オオガミがやると思っている辺り、流石と言えるだろう。
「それで、どうやって止める気なんでしょう。そろそろ周りに被害が出そうですけど」
「おーおー。これはスゴいものになる気がするなぁ……まぁ、マスターは当然のごとく真っ先に逃げておったが」
「保護者ぁー!! もしくは管理者ぁー!! 何真っ先に逃げてるんですかぁー!!」
誰よりも早くこうなると察していたオオガミは、既にメルトと一緒に逃げていたと言う真実。
カーマは悲鳴をあげるものの、その声は誰にも届かない。
その間にもどんどん悪化していくティーカップの回転に、
「ちょ、どうするんですかこれ! 中の二人、既に失神してるんですけど!」
「……これはこれで鬼王を倒せるのでは?」
「バカなこと言ってないで解決してください!」
真剣におかしな事を言い出したバラキーに突っ込みを入れつつ、カーマはため息を吐く。
「良いですかバラキー。このままだと、ティーカップだけでなくフードコートにも被害が出ます。すると、食べ物がなくなります」
「むっ。それは困る……仕方あるまい、吾が出るか」
「えぇ、任せましたよ!」
そう言うと、一切迷うことなくバラキーはティーカップに槍を持って走っていくのだった。
モンハンに時間を持っていかれた……致命傷……
オオガミ君の話はまた後日と言うことで……