「うむ。やはりカーマ製のレモネードはうまい! 腹に溜まる感じもあるが、きっと栄養豊富ということだろう!」
「はぁ。まぁ、栄養豊富ではありますけど、どちらかと言えば栄養過多ですが……貴女には関係無さそうですね」
食堂で、カーマに作ってもらったレモネードを美味しそうにゴクゴクと飲むバラキー。
既に三杯目だが、全く飽きる気配がない。
「まだ飲むんですか……?」
「む。そのつもりではあるが、もう作れぬというのであれば諦める。幸い菓子はあるからな。カーマも食べるだろう?」
「そうですね……パウンドケーキですか。そういえば、レモネード入りとかもあったような……今度作ってみますか」
「ほぅ。新作か! うむうむ! 試作品はいくらでも食べよう! たんと寄越すが良い!」
そう言って、楽しそうに笑うバラキーを見て、カーマは複雑そうな顔で、
「別に、ただ喜ばせるものではないんですけど……これだから体型が変化しないサーヴァントは面白くないんです」
「いや、別に変化しないわけではなく、むしろ変化しているからこの姿なのだが。食べる度に体重が増えていくから変化で魔力消費をしているだけで、十分効いてはいるぞ」
「……見た目に変化が出ないなら意味ないんです。はぁ……もうパールヴァティーには効かないでしょうし、そうですね。マスター周りに配ってみるのも良いかもしれません」
立ち上がり、楽しそうに目を輝かせるカーマに、どこか悲壮感の漂う顔をするバラキーは、
「あ~……いやそれは……うん、まぁ、知らぬが仏という言葉もあるし、やってみるだけやるのも良いか」
「……なんで貴女はいつも不穏なことを言うんですか」
「いや、あそこは報復が本気で怖いからな……一ミリも容赦なく殴ってくるぞ……」
「えぇ……なんですかそれ。そんな蛮族集団でしたっけ。一気に会いたくなくなったんですけど」
椅子に座り直し、頬を膨らませて残念そうな顔をするカーマに、バラキーは苦笑いをしつつ、
「まぁ、なんだ。バレたら報復されるのだから、バレなければ問題ないということよ。要するに、自分だとバレなければ良い。そのための変化というわけだ」
「おぉっ。それは名案ですね。で、誰に罪を擦り付けるつもりなんです?」
「クハハ。なに、適任者がいるではないか」
「ほうほう……」
興味深そうにカーマがバラキーを見ていると、突如として変化するバラキー。
それは全身真っ黒で、唯一見えるのは目だけ。
カーマはそれを見て、
「あぁなるほど。彼に押し付けるんですね。確かにまぁ、生け贄っぽいですけど、大丈夫なんです?」
「ハハハ! なに、行けるって。変化は完璧バレるわけなし! 余裕で大勝利って訳だ!」
「おぅおぅ。そりゃすげぇ! 何がすげぇって、英霊サマがオレごときに変化してくれたところだよなー! オレって有名人? 意外なところで活躍してる? やっぱ生け贄記録ナンバーワンは伊達じゃないってな! ところで何すんの聞かせてくれよ!」
変化したバラキーの後ろから、全く一緒の存在がひょっこりと現れ、それに驚いたバラキーは思わず変化を解除する。
「あらら、もう終わり? でもまぁ流石に本人登場はビックリもんか。物真似芸人の前に本人が現れるようなものだもんな。あらまビックリ仰天ひっくり返るってな。で、実際何しようとしてたわけだ? 面白そうなら協力するぜー」
「う、む……いや、本当に神出鬼没だな。というか、別にそこまで面白くもないと思うが……」
「いやいや、神と鬼が会合してるんだぜ? それだけで面白そうだろ。まぁ何よりも鬼と神様が揃ってるってのに、神出鬼没ってのも不思議なもんだが。うん。これ以上口を挟むと話が進まねぇな。うん。どうぞ進めて?」
「なんか調子狂うのだが……まぁなんだ。このレモネードはサーヴァントでも太らせられるから、マスター周りにでも飲ませてみようという計画でな。汝に変化して渡して来ようという計画だったわけだ」
「なるほどなるほど。そりゃまたスゴい計画で。面白そうだなそれ。んじゃちょっくら行って来るわ!」
アンリはそう言うと、まだ手をつけていないレモネードを持って、走り去っていくのだった。
久し振りのアンリ。正直マシンガントーク大好きだけど、する人がいないのではと思い、アンリは私の趣味の犠牲となったのです(生け贄ノルマ達成)
それにしてもあのレモネード、女神の神核貫通とかえげつない……生成方法を手に入れなきゃ……
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