「……温泉卵って、ここだって思う場所を見つけるのが大変だよね」
「唐突に作りだそうだなんて言うから驚いたじゃないか」
「まぁ、持ってきたのだからいいだろう?」
「巌窟王は甘いんじゃないか?」
「ふん。貴様には言われたくないな。なんだかんだ言って、手伝っているだろう?」
卵を持って、キョロキョロしながらどこがいいだろうか。と考えるオオガミに連れ添って歩く巌窟王とエルキドゥ。
とは言っても、作り方を知っているわけではないオオガミ達は、ゆで卵を作る要領で行けるかと考える。
「ん~……あそこでいいかな?」
「何で悩んでたのか分からないけど、良いんじゃないか? マスターが選んだところだしね」
「周囲の警戒はしておく。エルキドゥは必ずそばにいろ」
「もちろん。離れるわけないだろう?」
「一緒に持ってきてもらったこの籠で、頑張るぞ~!」
「一気に使わないようにな」
「それくらい分かってるって」
オオガミはそう言うと、籠にまずは2つ卵を入れ、温泉の中に入れる。
「……あれ、温泉と沸かしたお湯って、どっちの方が熱いんだっけ……?」
「分からないけど、とりあえずいつもの様にやってみたらいいんじゃないかな?」
「うぅむ……調べつつやってみようか」
「どうやって調べるんだ?」
「……ダ・ヴィンチちゃ~ん」
即座に天才を呼ぶオオガミ。冷静に考えると、ネットが繋がるとは全く思えないのだった。
少しして、つながる通信。こんなことに使っていいのだろうか。と思わなくもないのだった。
「なんだい? オオガミ君。というか、イベントは今日までじゃなかったかな?」
「うん。まぁ、息抜きだよ。で、温泉卵ってどうやって作るのか知ってる?」
「え? 温泉卵? どうしたまたそんなものを――――あぁ、それでさっき巌窟王が卵と籠を探していたわけだ」
「うん。頼んで、行ってもらってたんだよ。それで、知ってる?」
「あぁ、もちろん。天才だからね。知っているとも」
「さっすがダ・ヴィンチちゃん! じゃあ教えて!」
オオガミの言葉に、微笑みと共に答えるダ・ヴィンチちゃんだった。
* * *
「……お主、どれだけ作っておったんじゃ?」
「かれこれ2時間くらい?」
「これ、食べていいのかしら」
「待てエウリュアレ。さらっと食おうとしとるでないわ」
温泉から出てきた女性陣の、主にノッブが呆れた表情でオオガミを見る。
そして、案の定マイペースなエウリュアレは、ようやく完成した温泉卵に目を輝かせていた。
「お主らもお主らじゃ。どうしてこうなるまで放っておいた」
「このような事も、たまにはいいだろう?」
「マスターが困っているなら、出来る限り手伝うべきだろう?」
「こいつらダメじゃ……エウリュアレ。もう食ってよいぞ。というか、食いきれるのか……?」
「……任せたわよ。茨木」
「吾か!?」
若干山の様になっている温泉卵であろう卵の群れ。一体いくつ追加で持ってきたのかと思うほどだった。
本来ストッパーであるはずのエルキドゥも、なぜかポンコツ化しているので、手の施しようが無かった。
「はぁ……とりあえず、カルデア待機組にも送ってやろうではないか」
「余達だけでは流石に消費しきれんしな」
「マスターもそれでよいな?」
「うん。というか、原因の一端であるダ・ヴィンチちゃんも巻き込まなくちゃ」
「理由が酷いわね」
モグモグと食べながらそう言うエウリュアレ。ちなみに、試しまくった末、温泉卵は完全に固まっているものと、半熟のもの、温泉卵のイメージのようなものの三種類が完成し、エウリュアレは完全に固まっているのを食べていた。
「さてと、それじゃあ運ぶかの。袋とかあるか?」
「いや、僕の鎖で包めばいいよ」
「む? そうか? なら、エルキドゥに運んでもらうか」
「あぁ。さすがにそれくらいはするよ」
「うむ。では任せたぞ」
いつもとは逆の状況に、本人たち以外は苦笑する。
その後、荷物をまとめて、全員はカルデアに帰るのだった。
という事で、温泉旅行編及び鬼ヶ島終了!
えっ? つづら? 反物? ちょっと知らないですね。終わりませんよアレは。努力が足りなかったです。