今日のカルデア   作:大神 龍

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何してるの景虎さん(おやマスター。しばらくぶりですね?)

「む。マスターではないですか。どうしたのですかこの様なところで」

「いやむしろ景虎さんの方が何してるのさ」

 

 もはや慣れた楽市楽座の出店のひとつにいる景虎に声をかけたオオガミ。

 何やら不穏な気配があったので声をかけたのだが、普通の店に見える。

 

「ここ、何の店?」

「こちらですか? こちらはたこ焼き屋ですね。私は雇われた身なのですが、オーナーがこれまた小さな子でして……しっかりと管理できているのは素晴らしいと思います。ただ、たこ焼きのメインが何処産なのか教えてくれないのです……かなりの大ダコのようなのですが、足しか送られてこないものでさっぱりです」

「うん、不穏な気配の正体はこれか。で、肝心のオーナーは?」

「さぁ? 今朝から姿は見てないですね」

「なるほどね……」

 

 そう言って頷くオオガミは、ポケットから通信機を取り出し、

 

「緊急。アビー捜索お願い」

『はいはーい。すぐ連れていきますね~』

 

 BBにお願いしたオオガミは通信機を切り、景虎に向き直ると、

 

「たぶん、タコだけ変えれば出店できると思うよ。じゃ、よろしくね」

「はぁ……? とは言われましても、この量ですし、処分も大変と言いますか……お任せしたいんですが」

「オーナーに文句を言うしかないかなぁ……完全に自爆だよ、うん」

 

 そんなことを言っていると、オオガミの隣に開いた門から飛び出してくるBBとアビゲイル。

 しかしそこで想定外だったのは、二人の手には何故かたこ焼きがあることだった。

 

「……さてBB。どういう状況?」

「まぁまぁセンパイ。おひとついかがです? 美味しいですよ、このたこ焼き」

「いやぁ……目から生気を失ってる人におすすめされてもなぁ……景虎さん任せた!」

「承知!」

 

 飛び出す景虎。しかし、突き出された槍は下から現れた触手によって上方に弾かれる。

 それと同時にBBの手が、正確に景虎の口の中へとたこ焼きを放り込む。

 それを見ていたアビゲイルは、不気味な笑みを浮かべながら、

 

「ふ、ふふふ……ようやく完成したわ……初めてのお料理から皆の目を盗んでコツコツと作り続けた甲斐があったわ……『おいしい"たこ"やき』完成品一号! なんかスゴい神様の力を使ってマスター包囲網を完成させるわ!」

「なんかめちゃくちゃ悪い子になってるぅ!」

 

 そう言っている間にも何かに抵抗していた景虎は、しかし不穏な予感と共に振り返る。

 

「さぁ、みんな! マスターを捕まえるのよ!」

「「おー!!」」

「洗脳兵器か凶悪すぎる!」

 

 誰が彼女にあんな知恵を授けたのかと思いつつ、全力で逃げ始める。

 

 

 * * *

 

 

「あらマスター。また鬼ごっこ? 暇なのかしら」

「違うどちらかと言えばパンデミック!」

 

 はぁ? と不審そうな顔でオオガミを見るラムダ。

 しかし、後ろから追いかけてくるBBと景虎を見て、

 

「あぁそう言うこと。良いわよ、私の邪魔をしたこと、後悔させてあげるわ! BB!」

「ピンポイントな恨み!」

「おかしいですなんで私だげほぁ!」

 

 女の子としてそのダメージボイスはどうなのだろうかというツッコミは置いておくとしても、見事なまでの頭突き。追撃のペンギンもそのダメージに拍車をかけている。

 

「チッ……始末できなかったわね」

「ひ、酷い……今回私は被害者なのに……」

 

 しくしくと泣くBB。しかし、当然のごとく無視され、その間に景虎も同様に頭突きをくらい、倒れていた。

 

「一切の容赦なし……うんうん。清々しい一撃だ……」

「それ褒めてるの? まぁ良いわ。それで? なんでこうなったのよ」

 

 ラムダは呆れたように、オオガミに尋ねた。

 

 

 * * *

 

 

「……そう。つまりBBがしくったのが原因なのね?」

「あれちょっと待ってください。そう纏められると私が元凶みたいじゃないですか」

 

 流石にそれはない。と文句を言うBB。

 それに割り込むように景虎が、

 

「あのたこ焼き凄かったんですよ。美味しいんですけど、こう、内部から侵食されてる感じがして……悪意を感じないのが逆に怖いですよ」

 

 そう言って、どことなく悔しそうな顔をする景虎。

 ラムダはそれらを聞いて、

 

「まぁ、ともかく。アビゲイルを止めれば一件落着でしょ?」

「うん、とりあえずの目標はそれ。注意点は、たこ焼きくらいかな?」

「忠告としてはかなり意味不明だけども。要するに経験値に変えてしまえば良いだけの事じゃない。何の問題もないわね」

「うん、まぁ、うん。それはメルトにしか出来ないっていうツッコミはしないよ……じゃあBB。アビーの所によろしく」

「は~い。思わぬ無様を晒したBBちゃんはおとなしく従いま~す」

 

 BBはそう言って門を開き、オオガミとメルトは躊躇なく飛び込んでいくのだった。

 

 

 * * *

 

 

 これは後にSAN値ハザードと呼ばれ、一部関係者にトラウマを植え付ける戦いになるとは、この時には誰も知るよしはないのだった。




 なんでこうなったのかを自問自答し、とりあえずアビーのたこ焼き屋を再び出したかったのだけは思い出しました。どうしてこうなったかは分かんないです。なんとなく長編になりそうな予感がしたので急遽ダイジェストに。ぐだぐだになったのもあって消化不良……

次のデート回をどうするか

  • エウリュアレ一択
  • メルトを忘れるな
  • 技術部二人とぶらり旅

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