「さてさて。センパイがうまいことダメージを負って動けないので、今のうちに出来ることをやっておきますか」
「ん~……別に隠す必要もないと思うんじゃが……」
工房で、コソコソと何かを準備するBB。
ノッブはそれを手伝いながらぼやく。
「それで、何から手をつけるか……」
「ん~……とりあえずエンジンからですかね。そして、出せる最大に合わせて他を作っていけばたぶんいい感じになります」
「いい加減よな……ま、儂は気にせんけどね。本職じゃないし」
「え?」
「は?」
何を言っているんだと言いたげなBBの反応に、思わず素で返すノッブ。
しかし即座に怒るのは不味いと理性を総動員させ堪えたノッブは、
「BB……儂を何だと思ってるんじゃ」
「え……工業系サーヴァントですよね?」
「よしわかったいつも通り喧嘩を売っとるんじゃな買うぞ表に出よBB」
「ちょちょちょ、待ってくださいノッブ! センパイがダウンしている今、エルキドゥさんの監視網が甘くなっているからと言って完全に無くなった訳じゃないですし、それ以上に私を殴っても得はないですよ!?」
慌てるBBに、ノッブはニヤリと笑いながら、
「いやいや、得はあるとも――――儂がスッキリする」
「ドストレートに自己満足! でも私もそういうときあるので分かりますよ!」
そう言うと、BBは走って逃げ出す。
* * *
「良いですか。医務室には患者が寝ているのです。もちろん、マスターもその一人ではあります。ですが、だからと言って大声を出しながら入ってくるのはマナー違反。許されざる行為だと知りなさい」
「すいません……」
「儂悪くなくない? なんで儂も?」
「首謀者というのは予想がついていましたし、とあるルートからの通報がありましたので。では二人とも、早々に去りなさい」
「「は~い」」
ナイチンゲールに叱られ、素直に引き下がる二人。
手に持っている爆弾はたぶん聞き分けなかった時の為だろうと思いつつその場を離れた二人は、
「さて。とりあえず、エンジンの作成じゃったか……というか、何と張り合うつもりなんじゃお主」
「え? あぁ、あの小さいダヴィンチさんが乗っている車が羨ましかったので私も対抗しようかと。あ、運転はノッブの方が面白そうなので任せます」
「酷い話なんじゃが、いやまぁ運転はしておったしなぁ……レースも出ておったし。やるなら高性能マシンじゃな。今度はイシュタルにも落とせぬ強靭なモノを作るんじゃ」
「そうですね。ちゃんと反撃用の武装を作らないとです」
そう言って、二人は工房に帰っていくのだった。
たまに喧嘩を始めるこの二人。でも喧嘩友達なのでセーフ。
そしてさりげなく婦長初登場では? 名前だけは出てても、本体出たのは初の気がする……