「はぁ……バカじゃないの?」
「全くよ。リップの場合腕が重量のほとんどなんだから、外してもらえば良かったでしょ」
「流石に、それはなんか違うと思った……」
「す、すいませんマスターさん……」
そのベッドに腰掛けているエウリュアレとメルトは、少し離れたところでしくしくと泣いているリップに連れてこられた、ベッドに倒れているオオガミの腰に湿布を貼っていた。
「というか、なんでこっちに持ってきたのよ。医務室に投げ込んでくれば良かったじゃない」
「だ、だって、あの人怖かったんですもん……目が、とっても……」
「それでもあっちに投げてきた方が早く治ったでしょ。まぁ、私も行きたくはないけど」
「呼んでくると言うのは誰も思ってくれないんですかね……」
「思わないんじゃなくて実行しないの。ちゃんと全員思ってるわ」
「そっちの方が悪質では……ん~……忍者の誰か~。ない……いや、マシュに伝えてきて~」
オオガミがそう言うと、上の方から何かが動く気配がした。
メルトはそれを感じて、
「……聞いてないと思ったけど、BBが見れるんだから他のやつらが見えないわけないわよね」
「ちょっとメルト! それどういう意味ですか! あ、センパイ。今日のBBちゃんはナースモードですので、安心して任せてくださいね! さぁいきますよセンパ痛い!」
何時だったかに作られた脱出口から飛び出てきたBBは、飛び出た瞬間にメルトに蹴り落とされ戻される。
「ふぅ……害虫は駆除したわ。じゃあマシュが来るまで待機ね」
「BB……ついに害虫になったのか……」
「あの人はそういうところありますから……」
「害虫なのを否定されない辺り、悲しいわね……」
「エウリュアレ、絶対思ってないよね」
「あら、今更だと思うのだけど」
そう言って笑うエウリュアレ。
オオガミは苦笑いをしつつ、
「まぁ、BBも悪い事するって訳でもないし、許してあげて」
「……許しはしないけど、入れてはあげるわ。変な事するんじゃないわよ」
「うぅ……しませんよぉ……ちゃんとお世話しに来たんですぅ~。というか、マシュさん来たら必然的にナイチンゲールさんもくっついてくると思うんですが。という事で、BBちゃん特製のコルセットです! 腰に大ダメージ与えた残念なセンパイに、BBちゃんからプレゼントという事で、装備させてあげましょう!」
「いえ、私がやるから帰っていいわ」
「エウリュアレさんがいつも以上に辛辣っ!」
ひぃんっ! と涙目になるBBだったが、周囲の謎の威圧に気圧され、渋々とコルセットを差し出して脱出口から帰っていった。
「……あそこ、一方通行じゃなかったっけ?」
「改良したんじゃないの?」
オオガミの疑問に、エウリュアレは適当に返すのだった。
腰をゴキっとなぁ……去らばマスター……