今日のカルデア   作:大神 龍

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BBスロットの恐怖に震えろっ!(一体どんなえげつないのが入ってるんじゃ……)

 ゴゴンッ! という重い音と共に止まるBBスロット。

 それは拘束されたヘラクレスの絵。それを見て、BBは大げさに手を広げながら、

 

「出ました! 記念すべき第一回BBスロットの結果はぁ~!! 鬼の追加だぁー!! ランダムな場所に転送される鬼役に怯えて震えろぉー!!」

 

 その声と共に、ライブ映像に突然出現する二つの檻。その中にいるのは、メドゥーサと李書文。

 

「なんというか、見事に敏捷Aで固めてるね。鬼役が本気すぎて怖いよ」

「うむ。問題は後何人出せるかって事じゃな。場合によっては参加者の倍の鬼が放出される気がする」

「普通にシャレにならなそうだ。でも、勝ち目は残しているんだろう?」

「そりゃ、逃走者はスキルが使えるが、鬼は一切スキル使えんしな。もちろん宝具も禁止。純粋な身体能力だけじゃし。まぁ、攻撃が飛んでこないから問題ないじゃろ」

「ふむ。その理論で行くと、メルトを捕まえられそうにないね。彼女だけは敏捷A+。はてさて、どうなるかな?」

 

 そう語るマーリンとノッブ。

 BBは楽しそうに笑いながら、

 

「では、行ってみましょう! 鬼解放!」

 

 その言葉と共に、鬼役が封印されていた檻が開け放たれる。

 

 

 * * *

 

 

「うげっ、追加!? しかもメドゥーサと李書文先生って、どっちも速くなかったっけ」

「どっちもステータスは敏捷Aよ。というか、私がいるのを分かっててちゃんと男性も用意してるとか、やるじゃないBB。公平は伊達じゃないのね」

 

 BBからの全域通信で知らされた鬼の追加。誰がやっているのかまで教えてくれるのは、ありがたいのかネタバレなのか。悩ましい所ではあったりする。

 

「まぁ、そう言うところはしっかりしているもの。というか、大丈夫? 私は何とかなると思うけど、二人は厳しいんじゃないの?」

「ん~……まぁ、何とかなるかなぁって。最悪ガンド連打で」

「まだ三人合計で5枚よ。連打できるほどは無いわ」

「まぁ、三回でも十分よ。まだ鬼は4人。全員集まるって事も無いでしょ。割と広いし。むしろ全員集まったら意図的なモノを感じるわよ……」

「まぁ、それもそうか。よし。とりあえず探索を続けようか」

 

 そう言って、オオガミ達はカードを探しながら鬼を警戒するのだった。

 

 

 * * *

 

 

「鬼の追加ねぇ……そういや、屋内はダメだって言われたが、屋根の上とかって良いのかね? まぁ、下手な事をしたらマジでブタにされそうだからやらねぇが……しかし、一人のままとか、どうしたもんかねぇ……」

 

 路地裏でワイキキストリートのマップを眺めながらそう呟くロビン。

 

「攻撃は捕まったのと同じ判定って言ってたが、破壊工作はどっちだって感じだな。とにかく、見つかったら皐月の王で逃げるしかねぇわな。1ターン分もあれば何とかなるだろ」

 

 そう言って、手に入れた3枚のスキルカードを確認しながら、表通りに出る。

 

 

 * * *

 

 

「し、死ぬかと思った……あの目、めちゃくちゃコワかったのだが……」

「な、なんですか……あの程度で怖いとか、日本の鬼も大したことないですね……! ほら、さっさと使ったスキルカードを補てんしていきますよ。まぁ、見つかるかは分かんないですけど……」

 

 仕切り直しで何とか逃げ切ったバラキーとカーマは、蒼い顔をしながらもなんとか立ち上がると、すぐにカードを探し出す。

 

「しかし、カードが無ければ何も出来ぬというのは複雑な気分よな……うむ。一枚はあった。もう二枚ほど欲しいが、そう都合よくも転がってはおらぬか……」

「そうですねぇ……まぁ、距離も取れたでしょうし、のんびり散策しても――――」

「ん? どうしたカー、マ――――」

 

 二人の視線の先にいるのは、ロビン。

 だが、それだけではない。その後ろに見える大柄な人物は、どこからどう見てもヘラクレスだった。

 

「こ、こっちへ来るな緑の人ぉーーー!!!!」

「ばっかやろう! 先にいるのが悪いわ!! つか、どうやって逃げ切れってんだよぉ!?」

「良いから曲がって! こっちに来ないでくださいよ!!」

「ま、曲がれって、この道――――!?」

 

 曲がろうと右の道を見た瞬間、ただでさえも青い顔をさらに青くして逃げてくるロビン。

 

「無理無理無理無理!! アレ、メドゥーサだろ!? 死ぬって! 敏捷で勝てねぇって!! ヘルプ!!」

「この距離だと吾等も危ない……えぇい緑の人! 後でカードを一枚寄越せ!」 

「いいよやるからさっさと助けてくれ!!」

 

 何とかバラキー達の所まで逃げてきたロビンは、直後バラキーに腕を掴まれ、

 

「仕切り直し!」

「うおあぁぁぁ!?」

「この感覚、慣れる気がしないです……!」

 

 そう言いながら、三人はその場を離れるのだった。

 

 

 * * *

 

 

「チッ。往生際が悪いですね。そのまま捕まった方が楽だったと思うんですが」

「実況せい実況。悪意しかないではないか」

「うんうん。悪意の塊みたいだ。まぁ、運よく合流できた、と言う感じだね。でも、なんで彼はスキルカードを使わず茨木童子達に助けを求めたのか。ここが気になるね」

「儂の見立てではバラキー達にスキルカードを使わせて自分だけ安全に行くつもりなのかと思ったんじゃが、カードの受け渡しを受理しおったからな……騙してる可能性が無いというわけではないが、はたしてどうするのか。儂は楽しみじゃ」

 

 うんうん。と頷くマーリン。

 BBは複雑そうな顔をしながら、

 

「意外と裏切りは少ないんですよね。彼。なので、ヘラクレスを前にして一瞬思考が吹っ飛んだとか、そう言う感じかと。いえ、まぁ、そんなことないと思うんですけど。ですが、ここまでセンパイ達が一度も鬼と会っていない。これは微妙な感じですね……」

「確かに、マスター達はまだ一度も会っておらんな。じゃが、そういつまでも運よく逃げ切れるとは限らん。そろそろ幸運のツケが回ってくる頃じゃろ」

 

 そう言って、ノッブは笑うのだった。




 今日は神が降りて来なくて筆が乗らなんだ……私は悲しい……(ポロロン

 しかし、誰から落としていくか。これが問題だ……

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