今日のカルデア   作:大神 龍

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逃走者は貴方達!(逃げ切れ明日の我が身の為に!)

 ドルセントによる印刷所のCMが終わるとともに、ステージの画面が再びワイキキストリートを映し出す。

 

「さてさて! CMも明けたのでお次はエントリー№3!! 水辺は実質彼女の支配下! 湖の白鳥は地獄の底から羽ばたき戻る! 正ヒロイン予定から召喚遅すぎ案件によりサブヒロインへの降格が決まったか!? 私の切り捨てた欲望の末路! さりげなくセンパイによって強制的に参加者になっていた地味な被害者! ゼリーになりたい奴から前に出ろ! 永遠の偶像(スワン)、メルトリリスだぁー!!」

「手始めにこのうるさい司会からゼリーにしましょうか」

 

 画面越しの笑顔はやはり威圧感があり、BBはにっこりと笑顔を浮かべたまま冷や汗をかく。

 

「なんだか、この司会をやってると命の危機にかなり会う気がするんですけど、司会って大変な職なんですね!」

「いや、お主が毎度ボロクソに煽るからじゃろ。楽しそうじゃなぁ……」

「僕は傍観者だけど、君は引っ掻き回すのが好きみたいだね。流石に未来や並行世界の観測までは出来ないから一体どんな面白い物語を歩んできたのかな? いやはや、君みたいな存在も、物語に彩を添えてくれる。もちろん、倒されるところまで含めてね」

「む。マーリンさんは一言多いですね。あとノッブは罪状追加です。実況もちゃんとお願いしますね」

「おぅ。罪状追加は納得できんが、まぁよい。反撃カードはあるしな。ほれ、さっさと次の紹介をせい」

「仕方ないですね……じゃあさっさと行きましょう」

 

 そう言って切り替わるライブ映像。

 再びマイクを握りしめてBBは笑顔を作ると、

 

「お次はエントリー№4!! 今からもう罰ゲームの準備か!? 私を煽るだなんて無謀の極み! 貴方は私のおもちゃです! 楽しい家畜生活をワンモアアゲイン! 豚がとてもよく似合う緑の狩人! お前のマントは没収な! 破壊工作子どものお世話なんでもござれ! カルデアが生んだ狩人に見せかけた何でも屋! ロビンフッドだぁー!!」

「ちょっと待て! オレ何時から何でも屋になったんですか!? 聞いてないですよそんなこと!」

「あ、それを言い始めたのは俺ね」

「やっぱテメェかマスター!!」

 

 もはや本職は何だっただろうかと思われなくも無い、森の狩人ことロビンフッド。最近本当に色々な雑務を押し付けられている自覚はあるので、否定しきれないのも問題ではあった。

 

「つか、なんでオレより前のエントリーは全員主催側が選んでるんすか。普通主催エントリーはラストじゃねぇの?」

「えっ、ロビンさん、そんなに一番になりたかったんですか? 今からでも変えてあげますけど、一番は対センパイ用に無茶苦茶な選択肢が多いですけど……大丈夫です? 最悪素っ裸ですよ?」

「むしろそんなのをマスターにさせようってのが分かんねぇんだが……!?」

「大丈夫です。命に別状はありません。何かあったら医療班が突貫しますので。文字通り。一直線に」

「いやどっちかってぇとそっちの方が不安なんだが!?」

 

 もはや医療班の方が怖いのは、世の常だろう。命の最前線は怖いのだ。救ってる側の行動が。

 

「というか、ロビンさんだけに時間を割くわけにもいきません。次に行きますね!」

「おぅ。ササッと進めてCM入ろう。儂そろそろTシャツ着たい」

「このクソ暑い中、一枚着ようとするのは乙女の威厳か、それとも焼けたくないのか。でも焼いた方がノッブはいいんじゃないんです? オルタっぽく見えますよ?」

「儂もう魔王とかになっとるから良いかなぁって。そのうち霊衣解放で褐色の儂が出来るじゃろ」

「うわありそう。止めてくださいそう言う現実的にあり得そうなことを言うの。怖いです」

「うっさいわ。ほれ、次じゃ次」

 

 ノッブに急かされ、ため息を吐きながらもライブカメラをさらっと操作する。

 

「ではではお次の参加者! エントリー№5!! 出来ればこっちに来てほしかった! そのスキルはホラーゲームで大活躍しそう! 見たものすべてに変化可能? 逃げの速度は超一級! 今年は水着姿で参戦だ! 大江山の意地を見せると彼女は言う! たぶんそれは無理だと皆は言う! 鬼界のヒロイン! 真面目系鬼っ娘、茨木童子だぁー!!」

「BB貴様やはり吾を馬鹿にしておるな!?」

「してませ~ん! でも期待はしてるので、頑張ってくださいね~!」

「ぐぬぬ……憶えておれBB! 水着の音も含めて返してやる!」

「あれ、さては本当にいい子ちゃんなのでは? こっちに引き込むのはちょっと気が引けてきました。どう思いますノッブ」

「いや、もともと引き込んでも得が無いわ。今度ピコピコハンマー渡すからそれで満足してもらおう」

「なぜだろう……いい加減腹も立たなくなってきた……これ、鬼としては終わりでは……?」

 

 そろそろ自分の本分を見いだせなくなってきているバラキー。

 だがそんなことはお構いなしと、BBは楽しそうに笑いながら、

 

「それではラスト! バラキーに連れられ友情出演! その名は日本の誰かも名乗ってる! 仏教徒のまさに天敵! 向かう全ては虚空に果てろ! でもでも中身はただの女の子! 三段階成長とか羨ましいぞ! 強制恋愛ブースト弓矢は私も欲しい! 本家第六天魔王、マーラを混合した最強悪神! 人が嫌いでも人を愛すのを止められない! 全人類は私が愛す、カーマだぁー!!」

「なんですかアレ。最後ほとんど同じこと言ってません? というか、実況席に私の名前を語る方もいるんですけど。そもそもなんで私ここに呼ばれたんですか」

「吾と一緒に登録したであろう……さては何も聞いておらんかったな……?」

「ココナッツミルクの話をしてたような気がしますけど、その後何かありましたっけ……」

「ダメだこやつ。吾にはどうしようもない……」

 

 もはや本人がなぜここにいるのかを理解していない様子だった。

 だが、BBにとってはそんなことは関係なく、来ているのなら参加者。つまりはそういう事だ。

 

「ではでは、最後にルールの確認を。まずは、今回のこのゲームは基本的に捕まったらその時点で別室に待機していただきます。また、一定時間ごとにミッションが全員に配布され、それの結果によって、BBスロットが回ったり回らなかったりします。スロット自体は、時間経過によって三回。序盤、中盤、終盤の三回には確定で回しますので、そこんところよろしくお願いしますね? まぁぶっちゃけて要約しますと、最後まで捕まんないで配られるミッションをクリアしてBBスロットをかいくぐれ! って事ですね!」

「無茶苦茶ぶっちゃけたね」

「でも大体あっとるし良いじゃろ。分かりやすい方が一番じゃよ」

 

 画面に映し出されたフリップと一緒に、適当に説明するBB。

 それを聞いたマーリンとノッブは、適当にコメントしつつ、BBの言葉に耳を傾ける。

 

「最後にスキルや宝具の使用についてですね。現在ワイキキストリートには、カードをいろんな場所に配置しております。そのカードはスキルカードと名付けまして、このカードを一枚消費することで、スキル一回使用する、という感じになってます。前回は無制限でしたので、それだと面白さ半減。バラキー一人で勝利確定と言う面白みのない感じでしたが、今回は趣向を変えてこのような形とさせていただきました。ちなみに宝具は禁止で、鬼役の直接攻撃は捕まったのと同じ判定とさせていただきます。いくら殴りたくても、殴った時点で別室送りなのでご注意くださいね?」

「要するに宝具は実質禁止って事じゃな。もちろん得物で殴っても変わらぬぞ。スキルカードを探していつでも使えるようにしておくのが一番という事じゃな」

 

 BBの説明に対してノッブが補足する。

 マーリンはそれに頷きつつ、

 

「なるほどね。というか、ふと思ったんだけど、コレ、僕と君の立ち場逆じゃない?」

「お主はスキル解説の方じゃから安心せい。噛んだらシバく」

「あはは。流石にそれはシャレにならなそうだから頑張るよ」

 

 命がけのトークになりそうな予感だ。と感じるマーリン。

 そんなマーリンの気持ちなど考慮することなく、BBは高らかに宣言する。

 

「それでは!! サマーフェスティバル前夜祭! 照りつける灼熱の太陽の元、黒き恐怖が貴方を襲う……貴方はこの地獄を乗り切れるか! 『ワイキキストリート逃走中!』スタートです!!」

「あぁ!! ついに言ってはいけない言葉言いおったなBBぃ!!」




 どこへ向かうんだコレ。正直口上文が楽しいくらいしか考えてなかったんですけど……

 あ、無事復旧いたしましたので、元気100倍。やる気1000倍。明日から頑張っていきますよぅ!

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