「ふぅ……だいぶ上まで来たわね」
「なんで南国にまで来て、私たちは山に登ってるのかしら」
「そうね……島が一望出来るのって、とても気分が良いと思うのだけど、どうかしら。どうせ水着を持ってないから泳げないのだし」
「ん~……そうね。なら、山登りも悪くはないわね」
そんな事を話しながらマウナケア山に登るエウリュアレとメルト。
原生生物が襲ってきたら危ないと言ってついてきたアナは、スタスタと先に進んで、今ではもう見えなくなっていた。
「それにしても、なんでついてきてくれたの? 興味もなかったでしょうに」
「あぁ……なんというか、暇だったのよ。皆忙しそうだし、邪魔できないじゃない? だから、面白そうだからついてきただけよ。本当ならオオガミに言ってやろうと思ったけど、アイツが一番忙しそうだもの」
「えぇ、本当にね。今何周目かは知らないけど、私と遊べる時間は作れるのかしら」
「何周目って……何よ。まるでやり直しでもしてるみたいね」
「そうね……まぁ、そのうち分かるわ」
「ふぅん……気になったら調べることにするわ」
「えぇ、そうしてちょうだい」
そう言って、先へ先へと進む二人。
すると、遠くで座っているアナが見えてくる。
アナからも見えたのか、すぐに立ち上がって二人の元へ走ってくると、
「姉様。障壁のようなものが展開されていて、先に進めません。引き返すことをオススメしますが……どうしますか?」
「障壁? ん~……どうしようかしら……」
「進みたいなら、力を貸すけど……どうする?」
「あら。進めるなら進みましょう。えぇ、障壁を張った相手が誰なのかは知っているもの。とりあえず一週間を認識できるようにならなくちゃね?」
「何の事かさっぱりですが、姉様が行くと言うのであれば私も行きます」
「はいはい。じゃ、行くわよ」
そう言って障壁の前まで行くと、メルトは障壁にウィルスを叩き込んで融解させる。
「まぁ、これで数分はなんとかなるんじゃないかしら」
「十分よ。さっさとやることを済ませてキラウェア山に行きましょう」
「あら、両方制覇するの?」
「えぇ、当然登るわよ。片方だけで満足なんてしないわ。それに、こっちは登るだけで終わらないだろうし」
エウリュアレの呟きに首をかしげるメルト。
そんな三人が山頂まで来たときだった。
「あぁ~!! やっぱりメルトですか! あんな無茶苦茶な方法で障壁を突破してくるのなんて貴女しかいないとは思ってましたけど!」
「あら、BBも山登りかしら。殊勝なことね。最近引きこもってるから肥えてきたんじゃないの?」
「太ってま~せ~ん~! というか、サーヴァントは太りませ~ん! そう言うのはガネーシャさんだけで十分です!」
出てくるなり文句を言うBBにすかさず毒を吐くメルト。
しかし、そんな二人とは別に、エウリュアレは微笑みながら、
「ねぇBB。今から思い付く嫌がらせの限りを尽くそうと思うのだけど、どうかしら」
「え、エウリュアレさん……何が望みです?」
「そうね……私、ルルハワをもう少し楽しみたいの。どう思うかしら」
「それはとっても楽しそうですね! それはお一人でですか?」
「ん~……この三人で。もちろん、マスター達の仕事が終わるまでで良いわ。出来ると思う?」
「お任せください! 出来ますとも!」
「そう、それは良かったわ。出来れば二度目がないと良いわね」
「そうですね。私もそれが良いと思います! それは、センパイには?」
「言ってませんよ? じゃあ、写真撮って帰るからよろしくね?」
「は~い! あっちに撮影スポットがあるのでどうぞ!」
「……騙したら私じゃない誰かが怒るわよ?」
「分かってますとも。安全に帰れるようにしておきますよ~」
そう言って手を振るBB。
エウリュアレはふふふ。と笑いながら指された方に向かっていった。
それを見送ったBBは深くため息を吐くと、
「どうしましょう……センパイと約束しましたけど、その前にエウリュアレさんのループ解かないといけないっぽいんですけど。アビーさんの気配もありましたし、あれはループを感知してきますね……う~ん、センパイには伝えてないみたいですし、黙っててくれますかねぇ……」
うんうんと悩みながら、BBはエウリュアレ達の帰り道を軽く掃除しにいくのだった。
裏を知ったのならやるよね。エウリュアレはね。と思い気付いたらメルトと一緒に犯行に及んでました。まぁ、必須用件は変わらないんですけどね。
エウリュアレとBBのやり取りは個人的にうまくできたかな……と。言ってる意味がわからないというのも、あんまり無いんじゃないかなぁって……わからねぇよ! と言われたらこの下に書き足しておきますね。