「……その、なんだ。イジメられてるのかマスター?」
「本当にね。なんでこうなったんだろうね」
ロビンの目の前にいるのは、黒髪ロングの女性用カルデア服を着ているオオガミだった。
変に似合っているので、ロビンの頬が微妙に引きつっていた。
「いやぁ、昨日髪を弄られてただけのはずなんだけど、気付いたら服装ごと変えられて、今日の朝も同じことをされたので一日これだよ」
「……その見た目で一日いれる精神すげぇと思うわ。つか、それスカートの下どうしてるんだ? まさかパンツそのままってわけじゃないだろ?」
「流石に短パンは穿いてるよ……エウリュアレ達はそのままで追い出すつもりだったみたいだけど、流石に尊厳を守ったとも」
「お、おぅ……強いな。話の感じ、たぶん三人がかりだろう? よく守り抜けたもんだ……」
「まぁね……流石に、その、負けられない。とりあえず回避で切り抜けたよ」
「強化解除が無いのが救いだったわけだ」
オオガミは、本気で阻止して来ようとしていた三人を思い出し、蒼い顔になる。
それを見たロビンも、想像して頬を引きつらせていた。
「さて。それじゃあ、食堂に行ってくるね。あんまり遅くなると、なんか心配されるから」
「いや、むしろ服装の方が心配されるっていうか、ヤベェって言うか、なんつーか……うん。もういいや。ファイトだマスター」
「面倒になってぶん投げたね? 別にいいけどさ。ロビンさんも行く?」
「……いや、同類扱いされたくないから止めとくわ」
「今スッゴイ馬鹿にされた気がする……!!」
謎の反応をするオオガミに、ロビンは乾いた笑いで、
「いやいやぁ? 全然、そんなことないですけど、まぁ、大変だなぁって。ほら、早く行った方が良いんじゃねぇの?」
「なんだか言いくるめられた気がする……まぁいいや。じゃあねロビンさん! いつか同じ目に遭わせてやるからね! BBと一緒に!」
「なんで一番厄介な奴をそう言うのに誘うんですかねこの野郎!」
去って行くオオガミの捨て台詞に震えながら文句を言うロビン。
まさか本当に来たりしないだろうな、と呟きつつ、その場を後にする。
そして、誰もいなくなった廊下で、影からゆっくりと現れるBB。
「ロビンさんに女装ですか……う~ん。似合いそうにないので無しですね。それならノッブに男装してもらった方が何倍も良いと思うんですけど。でもまぁ、センパイに言われたらやるしかないですね! 準備しておきましょ~っと」
そう言って、BBはスキップしながら工房に帰っていくのだった。
もうロビンさんはこういう役目の方だと思うの。そして、最近エウリュアレ達、暴走しすぎでは……?(今更