「……中々面白い状況じゃのぅ、エウリュアレ」
「くぅっ……この私が、プリンに釣られるだなんて……!!」
「いつもの事じゃろ。というか、それからどうしてそうなったのか……」
休憩室のソファー。そこには、エウリュアレが座っていた。だが、直接座っているわけではない。
寝ているオオガミに抱きしめられるように座っていた。
そして、オオガミの右側には茶々が。左側には茨木が寄り掛かるように寝ていた。
「マスターから貰ったプリンを食べてたらいつの間にかこうなってたのよ……訳が分からないわ」
「儂の方がわけわからんわ。なんじゃ、プリンで釣られてこんな面白い状態になっとるとか」
「マスターが寝てるから下手に動けないし……八方塞がりなんだけど」
「クククッ。このまま見ておるのもよいかもな」
「馬鹿言ってんじゃないわよ。こんな状態だと、お菓子もろくに食べられないわ」
「そうじゃな……まぁ、その代わりに一部の奴等から見れば仕方ないと思うが良い」
「ぐぬぬ……そうよ。ノッブが取ってくればいいんじゃない。ほら、行ってきなさいよ」
「何言っとるんじゃ。儂はここで見てるだけじゃぞ?」
「ノッブのくせに生意気ね。そんな貴方には後でワンコとヘラクレスと土方を送り込んであげましょう」
「おい馬鹿やめるんじゃ。それはシャレにならんぞ」
「私を見世物の様に扱った罰よ。神の逆鱗に触れた代償をその身に受けると良いわ」
「ぐぬぬ……仕方あるまい。何を取って来るかは儂の気分でいいんじゃな!?」
「えぇ、構わないわ。変なの持って来たら流石に考えるけど」
「ふん! 目に物見せてやるわ!!」
明らかに不穏な言葉を吐いて去っていくノッブ。
一人残されたエウリュアレは、どうしようかと考える。
「ん~……とはいっても、無理に抜け出す理由は無いのよねぇ……普段頑張ってくれてるしね」
「マスター! …………あら? 寝ているのかしら?」
「あら、ナーサリー。どうかしたの?」
抜け出す理由は無いにしても、する事の無いエウリュアレが何をするか考えようとした時、ナーサリーがやってきた。
「マスターとお茶会をしようと思ったのだけど……皆で寝ているのかしら?」
「えぇ、なんか知らないけど、そんな感じよ」
「そう……私も混ざれるかしら?」
「うぅん……難しいんじゃないかしら。場所もないし」
「むむむ。いいえ、まだ膝が片方残っているわ! 突撃~!」
「わっ! ちょっと、無理やり入ってきたらマスターが起きるでしょ…!!」
「でも、私だけ仲間外れは嫌よ……っと」
強引に割り込んでくるナーサリーに驚きつつも、オオガミを起こさないようにナーサリーが入り易い様に左膝に移動するエウリュアレ。そのおかげもあってか、何とかオオガミが起きないでナーサリーが右膝の上に乗る。
「全く……無茶するわね」
「マスターが起きなければいいのよ」
「はぁ……まぁ、起きなかったからいいけど。それで、なんで入って来たのよ」
「何事にも意味があるとは限らない。つまり、何となくよ!」
「良いわね……そういう考え。私もそれくらい気楽でいたいわ」
「人にはそれぞれ良さがあって、神様でも変わらないわ」
「……遠回しに悩めって言ってるみたいね。まぁいいけど」
そう言っていると、ノッブが戻ってくる。
「大判焼きがあったから取ってきた。って、なんかナーサリーまで増えとるんじゃが」
「良いじゃない。どうせ、多めに取ってきてくれたんでしょ?」
「ノッブ! 私にも頂戴!!」
「はぁ……本当、エウリュアレと自分だけの分と思って取ってこんで良かった。正直そもそもの人数が増えるとは思っとらんかったけど」
「いいじゃない。ほら、早く食べましょ」
「取って~!」
「む。そこだと届かんか。ほれ、受け取るといい」
大判焼きを乗せた皿を近づけてくれるノッブ。そして、二人が取ると、机の上に置きなおす。
「さてと……マスターが起きるまで、遊ぶかの。お主らも暇じゃろ?」
「えぇ、付き合うわよ」
「頑張るわよ!」
そう言うと、三人は、周りが起きるまで遊び続けるのだった。
むむっ? ポンコツ茨木を書くつもりが最後まで寝てたのだが……何者かに思考誘導された……?
しかし、やりたいことがあり過ぎてポンコツ茨木の登場数が減りそう……チクショウ…!