「……今、唐突に約一ヶ月前の約束を思い出したんだけど、どうしようか」
「一ヶ月前……? 何かしましたっけ?」
「……あ。特大の爆弾があったな」
真剣な表情のオオガミに言われ、考えるノッブとBB。
そして、その内容を思い出したノッブは若干青い顔になる。
「ノッブは気付いたみたいだね……そう。エリちゃんのライブだよ」
「……一大事じゃないですか」
オオガミに言われ、数瞬放心した後に顔を青くしながら言うBB。
思い出せば、そう。その約束をしたのは4月の中旬辺り。そして今はと言えば、もう五月も終わろうとしている。
流石にこれ以上放置したら、大災害が起こること間違い無しである。最悪死人が出るレベルだ。比喩ではなく、文字通りの。
「さて。それを忘れてたこっちも悪いんだけど、そもそも通信越しで二人とも聞いてたのに忘れてるのは酷くない? 同罪でいいよね?」
「あ~……そういえばログも残ってますねぇ……いやぁ、反論できないですね。はい。ノッブが責任取りますね」
「おっと。全部儂に丸投げとか、余程働きたいと見える。うむ。儂が責任を取るからな。代わりに貴様は儂に顎で使われるんじゃな」
「なるほど。じゃあBBは雑用だね?」
「えっ。ちょ、そこまでランク下がります!? というか、私をそのレベルにしたら、他の二人はどうなるんですか!」
「いや、なにも変わらんが?」
「そもそも技術部に上下はないと思うんだけど?」
「あれぇ? わりと存在してたと思うんですけど。上下関係。気のせいですか?」
何を言っているんだこいつは。と言いたげな二人に困惑するBB。
「上下関係というか、主導が誰かってだけじゃよ? じゃから、お主がメインの時は儂は従ったし、儂がメインの時はお主が従う。単純じゃろ?」
「言われてみると確かにそんな気もするので、全く反論できないんですけど……ここは我の強いのがほとんどですし、その方が良いって言うのはなんとなく分かるんですけど、やっぱりなんか納得いきません」
複雑そうな顔をするBBに、やれやれと首を振るノッブ。
「まぁ、それはそれとして、まずはエリちゃんのライブをどうするかってことだよ」
「……そうじゃな。とりあえず、機材のチェックは済ませておくとして、会場じゃな……冬木にでもいくか。めっちゃ燃えてるけど」
「メソポタミアの中心でゲリラで良いと思います!」
「BBが文明破壊する気なんですけど。ヤバイでしょそれは」
「むぅ……じゃあキャメロットで粛清騎士相手に突発ライブで良いですよ。冬木は却下です」
「うん。じゃあそれでいこう。冬木は却下で」
「えぇ~……儂、自然に却下されたんじゃけどぉ~……」
悲しそうに言うノッブに、しかし二人は反応しないで話を進めるのだった。
今日リヨイベントをやって、エリちゃんの事を見てたらふと思い出してしまったライブの約束……誰ですかこんな爆弾を忘れてたのは……!