やぁ、久しぶりだねマスター君(とりあえず黒幕だな貴様!)
「やぁ。久しぶりだね、マスター君」
「出たな黒幕っ!」
マーリンに会うなり言い放つオオガミ。
それに対してマーリンは肩をすくめながら、
「僕は黒幕なんかしたこと無いけどね? むしろ、ずっと君たちを支えてきたと思ったけど」
「いやぁ……うちには某数学教授がいないからね。黒幕っぽいのはマーリンしかいないわけだよ」
「中々酷い言い分だね? キャスパリーグみたいなことを言うようになってきた。もしかして、キャスパリーグの影響でも受けたのかい?」
「フォウはマシュと一緒だよ。というか、その千里眼で見てるんじゃないの?」
「もし見ているのなら、きっと会うことはなかったけどね」
「ふぅん?」
まるで、会わないようにしているかのような物言いに、不思議そうに首をかしげるオオガミ。
それに気付いたマーリンは、さも当然と言いたげな表情で、
「僕は舞台を見に来た観客であって、演者になりたいわけではないんだ。あくまでも観測者。必要以上の関わりはあまりしない方がいいと思っているんだよ」
「ふぅん? つまり、周回はしたくはないと。そういうこと?」
「まぁそういうことだよ。だってほら、呪文は噛むからね。スキルも宝具も、使いたくないよ! 何せ、呪文は噛むからね!」
「……久しぶりに王の話を聞かせてもらおうかな!」
「人の話を聞いてたかい!?」
妙に言い顔で言うオオガミに突っ込むマーリン。
珍しいような光景ではあるものの、それを指摘する人はここにはいない。
「というか、普段は何をしてるの? あんまり噂を聞かないけど」
「おっと、その話はしないよ。流石にそこまで見つかるわけにはいかないからね」
「……隠し部屋か……よし。探知しなくちゃだね。絶対見つけ出してやる!」
「おっと。そろそろ本格的に逃げ出す準備を――――あぁ、そういえば、君にはアビゲイルがいたね。うん。これは逃げ切れない気がしてきたぞ!」
どこへ逃げようとも、BBの追跡とアビゲイルによる門は凶悪なようで、顔色が悪くなっているのがわかる。
「さて、それじゃあ僕はそろそろ退散させてもらおうかな。ここにいると、何故か身の危険を感じるからね」
「うん。ちゃんと生き残ってね」
「不穏なことを言うね君は。素直に言えないのかい?」
「いやいや、素直に言ってるよ? だってほら、来たし」
「えっ?」
オオガミの言葉に困惑するマーリン。
しかし、次の瞬間マーリンの後頭部に振り下ろされる鎖鎌の柄。
容赦なくマーリンを殴り倒したアナは、昏倒したマーリンを
「図書館で紙芝居を読む予定だったのを脱走していたので、助かりました」
「紙芝居を読む予定だったのね……ねぇ、その紙芝居、代役で誰かが読んだの?」
「いえ、開始時刻前なので、今から連れて帰って読ませます」
「なるほど……じゃあ、ついていこうかな。久しぶりにマーリンが読む話を聞いてみたいし」
「良いですが……あまり時間がないので、駆け足になりますよ」
「任せて。走るのには自信あるから。無理ならアビー呼んで後から向かうよ」
「アビーさんを駒使いみたいに……いえ、サーヴァントですから、変なことではないですね。分かりました。じゃあ行きますよ」
そう言ってマーリンを引きずりながら走り出すアナを、オオガミは追いかけるのだった。
マーリンはなにもしてなくても黒幕な雰囲気ある……数学教授もですけど。
そして、マーリンはアナが管理してるイメージ……7章の印象が強いんだろうなぁ……