「あら、アンリじゃない。何をしているの?」
「そのふてぶてしい感じ……エウリュアレだな? これはちょっと自信あるぜ」
「射殺すわよ」
「ちょいと殺伐すぎません? えっ、どっちか当てようとしただけで殺されかけるのかオレ」
返した言葉が殺意で返ってくる状況に困惑するアンリ。
とはいえ、本気で言っているというわけもなく、そうなるかもしれないという予想はあった。
ただ、エウリュアレは似たようなことを時々してくる誰かさんを知っているので、表面上は怒りつつも、あまり腹を立ててはいない。
「それで、何の用ですかね。この吹けば消し飛ぶ最弱英霊さんを捕まえてさ」
「用って程でもないのだけど、普段何をしてるの?」
「おっとお嬢さん。そりゃ禁句ってもんだ。うっかり口にした瞬間、オレは詰みだからな。どこからあの触手が出てくるか分かったもんじゃない。もうなんか監視されてる感じすらあるからな」
「ふぅん? じゃあ問題ないわね。どこで遊んでるの?」
「人の話を聞いてましたかねこの女神サマは!」
どこが問題ないのかと憤慨するアンリ。
だが、エウリュアレはどこ吹く風で、
「そう……教えてくれないなら別にいいけど。だってほら、教えてくれないってことは、見かけ次第連れ回していいってことでしょう?」
「横暴すぎる……!」
「あら、何を言ってるの。神は何時だって横暴で身勝手よ。何処の神だって同じでしょう?」
「あんたらのところは筋金入りだがな……はぁ。別にいいけど、どこに行くってんだ?」
「休憩室。ゲームの相手をしてほしいの」
「はぁ? そんなの、マスターにやってもらえばいいだろ? オレがわざわざ行く必要あるか?」
「無理よ。ついていけないもの。レベルが違うって言うのかしらね……とにかく、無理よ」
「あ~……言いたいことは何となくわかる。しゃあねぇな。付き合ってやるとしますかー」
そう言って、二人は休憩室に向かうのだった。
* * *
「ってことで、連れてきたわよ」
「嵌められた……! 完全に罠だった……!!」
そう言ってうずくまるアンリを囲むのは、エウリュアレを含め、メルト、アビゲイルの三人。
「逃がさないから覚悟しなさいよね?」
「逃げられないようにしなくちゃ。えぇ、えぇ。頑張るわ」
「努力の方向性間違ってませんかねぇ……!」
そう恨み言を漏らすアンリだったが、
「ほら、そんなこと言ってる暇ないわ。マスターが帰ってくるまでしか出来ないんだから、さっさと始めるわよ。アンリも、そんなに時間は取らないから準備して」
「……切り替え早すぎるだろ……いや、助かるけどな?」
そう言いながら、三人に混じってゲームの準備を始めるアンリ。
この女神達、わりと現代に順応しているよな、という思いを心に秘めるアンリなのだった。
オオガミ君関連で神性を持ってないのはマシュとノッブしかいないんじゃないかということに気づいた私です。あれ、前も同じ事を言った気がする……
空白期間って、実はあんまりネタがないので虚無ってたりします。