「……何本狩るの?」
「そりゃ、やる気が尽きるまでかな?」
「100本はもう越えてるのよね……」
イリヤによってバンバン消し飛んでいくバルバトスを見ながら、ぼんやりとするエウリュアレとメルト。
魔神柱を煽るのにも飽きたので、静かに帰ってきていた二人は、他に面白いことを思い付くまで休憩していた。
「はぁ……終わらんなこれは」
「うぅ……私、なんでこんなに宝具撃ってるんだろ……」
「まぁ、イリヤさんはレア度に見合う強さですし、アサシン相手ならメイン運用されるのも仕方のないことと言いますか、むしろ敵が単体なのにイリヤさんを運用しない方がおかしいと思いますけど」
「言ってることが分かるようで分からない……」
疲れたような孔明のため息と、宝具の反動で疲れてきているイリヤと対照的に楽しそうなルビー。
「というか、あっちの軍師さんは、もう目が死んでるんだけど……」
「いやぁ……大変そうですよねぇ……目が死んでますし、この秘密工房の隅っこで作った薬、一発ぶち込んじゃってもいい感じですかね?」
「ダメだよ!? というか、なんでこっちに来てまでそんなの作ってるの!?」
「それはもう、日課ですからね! むしろ、作れるだけの環境が最初から揃っていて、私の方がびっくりしましたけど。いやぁ……あんなに充実していると、もっといいのが作れそうで楽しいですよ!!」
「誰ですかそんなものを用意したのはー!!」
当然、そんなものを用意するのは技術部くらいである。
しかし、そんな事を知らないイリヤは、八つ当たりの様にルビーを魔神柱に投げつける。
「良いのか。ステッキを投げて」
「えっ、あ、はい! 大丈夫です! ルビーならすぐ帰って来るので!」
「だからと言って、あんな危ないのに投げられると困るんですけど……うっかり捕まったらイリヤさんも危ないんですよ?」
「ほら、こんな感じですぐ戻って来るので、問題ないです!」
「そ、そうか……ならいいんだが」
困ったように笑う孔明。
イリヤはそれに対して苦笑いをしながら、
「えっと、とりあえず、終わるまでひたすら倒さないといけないんでしょうか……」
「そうだな……出来ればマーリンでも引っ張って来たいところだったが、あいにく私だけで十分みたいだからな……チッ、巻き込めないか」
「あ、あはは……なんだろう、怖い先生と一緒に組まされた人みたいになってないかな、私……」
「大丈夫ですよイリヤさん! イリヤさんなら乗り切れますって!」
そう言って、孔明にちょっと怯えてるイリヤを、ルビーは励ますのだった。
もっとよこせ、バルバトス!!
とはいえ、もう140体狩ってるんですよね……うぅむ、何本狩れるか……