「いやぁ、よかったよかった。孔明くん、生きているみたいだ」
「そうか……よかった。これでこっちに周回要請は来ないはずだな。流石のマスターも二重で呼び出したりはしないはずだからな」
「あはは。スカディさんは面白いことを言いますね。孔明さんはNP補填係なので、三ターンで回るなら結局私たちがメインだというのは変わりませんよ?」
休憩室の端で、わりと真剣な表情で話していた三人は、通称過労死組。
マスターの状況をマーリンが報告しつつ、場合によっては逃走を図る予定だった。
「ん~……この感じからすると、後半までは何もなさそうだね。うん。たぶん大丈夫じゃないかな?」
「貴方が言うと、不思議と信用できないんですよねぇ……というか、貴方だけ先抜けで絆礼装渡してますし、正直もう周回に呼ばれないんじゃないですか?」
「どうだろうね? むしろ、玉藻君がメインのアーツパーティーは組みにくいから僕よりも出にくい気がするけど」
「おい。その流れだと、私が一番確率が高いような気がするのだが」
玉藻とマーリンのやり取りを聞いていたスカディは、嫌な予感がして思わず聞く。
すると、マーリンはにっこりと笑い、玉藻はきょとんと首をかしげながら、
「当然だとも。最有力候補だからね」
「むしろ、貴女以外出ないのでは?」
「とっても不満なのだが。さては貴様たち、私を売るために構えていたりしないだろうな……!?」
「いえいえ。そんなまさか」
「そうだとも。仲間を売るだなんて、そんなことできるわけがないじゃないか」
「全く信用できない……!」
雰囲気や素性から、本当に売られないか不安になるスカディ。
しかし、現状一人で逃げ切れるわけもないので、協力するしかないのは確かだった。
「でも、向こうに孔明さんがいるなら、逃げられる気がしないんですが。あの人、絶対道連れにしてこようとするでしょ?」
「う~ん……それはちょっと、否定できないね。まぁ、そのときはどうしようもないね。僕たちに弱化解除はないからね!」
「威張って言うことではないと思うんですけど……」
「なに、スタンが入らなければなんとかなる。たぶん」
「というか、マーリンさんは相性最悪ですよ。だって、向こうにエウリュアレさんがいますし。秒殺されるのは目に見えてます」
「計画段階ですでに破綻してないだろうか……? 本当に大丈夫なのか……?」
「考えれば考えるほど無理に思えてきたけど、なんとかなるさ!」
そう言って、花の魔術師は笑う。
玉藻とスカディは、それに対して不安を隠しきれない視線を向けるのだった。
平成最後の投稿は、孔明が生きていたことに喜ぶ過労死組……人柱は多い方がいいのだ……(真っ黒