「よ、よし……このままの調子なら、当初の予定通りのんびり行ける……!」
「のんびりってなにかしらね」
「リンゴを食わなきゃ良いと思っとるんじゃろ。まぁ、実際周回数も少ない方だと思うんじゃけど、如何せんマスターが疲弊してるのにのんびりとは言えんじゃろ……」
既に死にかけのオオガミをつつきながら言うメルトとノッブ。
エウリュアレはそれを見ながら、
「まぁ、最後の方はのんびりできるかもしれないわね。でも、結局クエストを全部終わらせるのにリンゴを使うと見たわ」
「なんでそうやってフラグを立てていくのかなエウリュアレは!」
「いやセンパイ。どう見ても事実です。なので、買ってきたお菓子を食べたら補充ついでに周回ですよ」
「待って。なにさりげなくBBは周回をさせようとしてるのさ」
「いえ、だって、絶対センパイはサボろうとするじゃないですか。なら、今のうちにやらせておいた方がいいと思いまして」
「……BBも、マスターの性格をわかってきたのぅ……というか、そろそろこのメンバーでマスターを理解してない奴などおらんじゃろ」
「……あれ。つまり、もう言いくるめられないんじゃ……」
「いや、そうは言い切れんが……まぁ、ほとんど聞かないじゃろ」
まだメルトには効くような気もするが、言いくるめようとしているかどうかは大方バレてしまうような状況になっていた事に気付いたオオガミ。
しかし、エウリュアレは呆れたような顔で、
「そもそも、言いくるめる事なんてほとんど出来てないじゃない。いつも通りでしょ」
「あ、あれぇ……? 誰にも通じてないのか……」
「えぇ、そうですそうです。言いくるめられるわけないじゃないですか特にBBちゃんなんて、言いくるめられる可能性は皆無ですよ!」
「いや、たぶん一番やられてるのはお主だからな?」
「えっ」
「どっちかって言うと、言いくるめてるんじゃなくて説得しているような気がするけどね」
「えっ。ちょ、本当ですか? 私、そんなチョロインでした?」
左右を見ながら聞くBBに、しかし誰も反応せず、
「とりあえず、ストーリーを終わらせないといけないわ。流石に、そこが終わらないと始まらないもの。さっさとキャスターを始末して帰るわよ」
「うん。後半戦でBBは活躍すると思うしね」
「センパイ、それ運用するつもり無いですよね? BBちゃん、泣きますよ?」
「いや、BBが泣いてもマスターは揺るがんじゃろ」
「待ってノッブ。そこまで極悪人じゃないから。ちゃんと運用する予定だから。問題はたどり着けるかってことくらい」
「一大事じゃないですか! 行きましょう早く行きましょう私のの活躍のためにいざ行かん!!」
「えっ、ちょ、強制連行!?」
抵抗する間もなく引きずられているオオガミを、エウリュアレ達は見送るのだった。
終わる気がしてたけどもしかしたら終わらないかもしれないという不安感……