「……さて、後半になってカーマが増し増しなんですけど」
「殲滅です。一人残らず殲滅です!」
「まぁまぁ。少し落ち着いた方がよろしいのでは? マスターのやる気にあてられて張り切るのはよろしいですが、目的を忘れないでくださいませ」
「忘れませんよ!? というか、進行方向にいるのだから倒すしかないじゃないですか」
キアラに言われ、不満そうに頬を膨らますパール。
確かに、進めば進むほどに出て来て、更に言えば寄り道もするのだから、どうあがいても戦うことになる。最終的には殲滅することになるのだろう。
「しかし……不思議なことでもありますね。こちらが早く助ければメルトもそれだけ早く帰ってくるというのに、そうはしない……あえて遠回りをしているのには、きっとなにかがあるのだとは思うのですが、やはり疑問でございます……」
「そういえば、マスターさんはメルトさんを召喚するために全力でしたね……でも、助けるのが遅れるメリットはあるのでしょうか?」
「最後に全て奪うつもりの私としましては、ここで冷めていますとあまり面白くないのですが……」
「冷めている……その線も――――あれ、キアラさん、何か今妙なことをおっしゃいませんでした?」
「はて、何の事でございましょう。私はただマスターとメルトの関係性が不安なだけなのですが?」
「そうですか……私の聞き違いでしょうか……?」
何やら不穏な気配を感じたパールだったが、気のせいだと思うことにした。
すると、先程まで静かだったオオガミが、
「今更だけどさ……大奥を構成してるのって、逆召喚されたサーヴァントなんでしょ?」
「再確認ではありますが、そうですね」
「つまりだよ。ある意味ここはサーヴァントの中でもあるわけで、意識があるにしろ無いにしろ、下手なことは出来ないわけですよ」
「はぁ……そうでございますね?」
「でも、でもだよ。サーヴァントの中と仮定するなら、つまり人形やカーマは害あるものということで、排除すべきだと思うんです。よって、全部屋開けて中の敵を殲滅して攻略する。これに限るわけです」
「な、なるほど! それなら納得です!」
「ふむ……では、そういうことにしておくとしましょう。本音は別のような気もしますが、暴く必要は無いでしょうし。それではマスター。どちらへお進みになりますか?」
「んむむ……じゃあ、あっちで行こう。レッツゴー!」
そうやって、とりあえず直感に任せて突き進むオオガミ達なのだった。
直感に任せると正規ルートを進むので真面目に考えて進まなきゃ……あれ……つまり直感で誤解破ってるのか私……?