「さて。そろそろ実行段階なんじゃが、マスター。準備は良いか?」
「なにこれクオリティ高くない? なんでこんなところで本気を出したのさ」
「まぁ、BBちゃんにかかれば形を整えるくらい造作もないことです。えぇ、はい。このためにわざわざ道具を作ったとか、そういうことはないんですよ?」
完成したちびメカノッブを見ながら話す三人。
武器を装備させるという話だったが、それはどうなったのだろうかと首をかしげるオオガミ。
「仕事が早いのは良いんだけど、装備ってどうしたの?」
「あ~……それなんじゃけど、これは試作品で、武器は無しじゃ。運搬用で使うんじゃよ」
「つまり、倉庫番?」
「その予定なんじゃけど、運用テストはここでする。いきなり倉庫に持っていって試して暴走でもしたらマシュに殺されるのは分かりきってるからな……」
確かに。と納得するオオガミ。
すると、BBは何かを思い出したようにオオガミの方へ顔を向けると、
「あ。マシュさん、最近大人しいですけど、あれはいじけてるだけなので後でちょっかい出しに行ってくださいよセンパイ。大丈夫です。殺されはしないと思いますから」
「死の危険と隣り合わせになる可能性があるの? 可愛い後輩ちゃんはどこへ?」
「私も可愛い後輩ですと文句を言ってやりたいですが、マシュさんは悪くないと思います。むしろ健気可愛い後輩を無視して遊び呆けてるセンパイに問題があるのでは?」
「なるほど正論だ。マシュの所へは後で行くとして、とりあえずこっちを片付けなきゃか」
現在怒っているらしい可愛い後輩の相手をしなければいけない使命感を感じつつも、それはそれとして目の前の仕事を片付ける事を優先する。
「ところで、試運転って、何をさせるの?」
「うむ。まずはモノの認識確認と、命令を聞くかのテストじゃ。命令に関しては、複数の命令を与えて、効率的に処理できるかも見る。まぁ、最初の時点で躓いたらやり直しなんじゃけどね」
そう言って、テストエリアの話をしてくれるノッブ。
内容を聞いていると、どうやら本当に運搬実験だけのようだった。
「意外にちゃんと設定されてる……どこかでふざけると思ったのに」
「うむ。もしかして儂全く信頼されてないじゃろ。ちゃんと真面目なのを作るときは真面目じゃからな?」
「BBちゃんとしてはおふざけ系のイベントを入れても良かったと思うんですけど、ノッブに止められたので無しという感じに。障害物は置いて良いと言われたので耐久テストも兼ねて全力を出しました」
「き、貴様BB! あれだけやるなと言ったのにやりおったな!? トラップの内容を全部教えろ! モノによっては撤去じゃ撤去!」
「そ、そんなぁ!? BBちゃんの憂さ晴らしだったのに! そんな無慈悲なことをして良いと思ってるんですか!?」
「するわたわけ! 儂手ずから作り上げた試作品じゃぞ! 壊れたらさすがの儂も凹むからな!?」
「外的要因で壊れる方が悪いんですぅー! BBちゃんは悪くありませーん!」
「こやつ、さてはプログラムミスがあってもトラップにかかったせいだと言って儂に責任を押し付けるつもりじゃな……? そうはさせぬぞBB!」
「そんなつもりはないです……って、きゃあぁぁぁ!」
ノッブに飛びかかられたBBは、かわすことも出来ず捕まり、そのまま大乱闘に派生していった。
そんな二人を横目に、オオガミは飛んできたマニュアルを見ながら試運転を開始するのだった。
なお、試運転の結果は合格だった模様。
えっ、来週からまたイベントですか? もう少し時間を空けてもいいんじゃよ……?