「はぁ~……とんでもねぇ目に遭ったわ。って、あれ? マスターは何処に行きやがった?」
「ん。緑の人も置いていかれたか。マスターなら向こうへ行った。吾等は少しの間自由時間と言っておったぞ」
アビゲイルによって一時帰還したロビンがお菓子を補充して帰ってきたら、近くにいるのはバラキーだけという状況。
ただ、不機嫌そうなバラキーを見て、ロビンは少し考え、
「……あ~、そこで何してんだ?」
「別に関係なかろう。久しぶりに暴れられると思ったのに後衛待機だから退屈しているとか、そういうのではない」
「へいへいそうですかぁ~っと。んじゃあゲームをしようか」
「……なぜ吾がそのような事をせねばならぬのだ」
「あらら。鬼の頭領がゲームの一つも受けないのか。いや別に俺はいいけど? だってほら、舐め腐ってるやつに勝てないとか、悔しすぎて舌を噛み切っちまうレベルだもんな」
「……その手には乗らぬ。前にも同じような事があった気がするからな。確かBB辺りだったか。あの時は試作品の試運転を強要されたような……死ぬ前に脱出できたのは良かった。あのままだったら一緒に爆発しているところだったからな……」
「あ~……なんか、触れちゃいけない所に触れたみたいだ。スマン。つか、アイツはアイツで何やってんだか……」
遠い目をし始めたバラキーを見て、思わず謝るロビン。
ついでにこの微妙な空気の原因である人物たちを軽く恨んでいると、
「それで、げーむだったか。まぁやれることも無いからな。受けるとしよう」
「あ、受けるの? まぁいいや。コイントスをしよう。勝てたら菓子でどうだ?」
「あぁ、それでいい」
そう言って、ロビンは一枚のコインを取り出すのだった。
* * *
「……あの、なんでこうなってるんでしょう」
ロビンがバラキーとゲームをしている頃、APが尽きたオオガミは、正座をさせられて触手によって固定させられていた。
「あら、てっきり分かっている物だと思っていたのだけど」
「えっと……周回を見てないで遊んでたところでしょうか……」
エウリュアレに言われ、心当たりを言った瞬間に、ドスッ! と地面に突き刺さるメルトの爪先。なお、メルト本人は妙にいい笑顔なので、三倍増しで恐ろしい。
当然だが、オオガミを正座状態に拘束しているアビゲイルに視線を向けても、困ったように微笑むだけで解決には全く役に立たない。
「あの、構図が完璧にヤクザに恐喝されてる一般人なんですけど……」
「あら、そんな優しく見えるのかしら。でも、それなら安心ね。ほら、遊んでた言い訳でもしてみなさい?」
「いや、そのですね? 別に遊んでるつもりはなかったというか、ちょっとした出来心というか。そもそも、話してただけで、遊んでは無かったのでセーフじゃないですかね」
そう、必至で紡いだ言葉は、顔を上げた時に見えたエウリュアレとメルトの笑顔で止まり、オオガミは悟ったような笑顔になるのだった。
ロビンとバラキーは平和枠。オオガミメンバーは修羅場。なんでこうなったんだろ……?