「なんだかんだ、ちゃんと周回してますよね、センパイ」
「そりゃ、QPも逆鱗も欲しいしね。周回しないとだよ」
「で、最近一緒にいるメルトはどうしたんじゃ?」
「ここに連れてくるわけにもいかないでしょ。エウリュアレと一緒に食堂だよ」
ノッブの工房で、設計図を見ながらそんなことを話す三人。
「それにしても、これってちびノッブじゃない?」
「いえ、メカちびノッブですね。で、作る理由は、ちびノッブ達は聖杯で生まれてたので、聖杯を除いても作れるようにしたいな~と思ったので、その試作を。とはいっても、流石に自爆した後の再生機能はまだどうしようもないので、武器を使って戦う感じで!」
「なんで戦闘能力を持たせようとしてるのさ……暴走したら誰が止めるの?」
「そりゃ、儂らじゃろ?」
「だよねぇ……」
そう言って、ため息を吐くオオガミ。
だが、すぐに気を取り直すと、
「まぁ、暴走したらその時考えようか。じゃあ、作っちゃおうか」
「軽く言いますねセンパイ……まぁ、頑張りますけど」
「うむ。儂も張り切るぞ~」
そう言って、作業を始めるノッブとBB。そして、オオガミはその補助をするのだった。
* * *
「――――で、アイツはどこに行ったのかしら」
「まぁ、どこにいるかは大体予想がつくけど、今は黙っておくわ。そのうち戻ってくるわよ」
「……そう。なら良いのだけど」
食堂で、そんな事を話ながらココアクッキーを食べるエウリュアレ。
「……食べないの?」
「……別に私は要らないわ」
「ふぅん……美味しいのに。これ、マスターの作り置きよ?」
「……食べるわ。ちょっと待って」
そう言って、バタバタと袖を振るメルト。
そうやって頑張って手を出し、クッキーを食べると、
「ん……意外といい味ね。本当にアイツが作ったの?」
「そうよ。遠目で見てたもの」
「ふぅん……器用なのね」
「えぇ、本当に。組み立てとかも得意よ。この前は技術部の工作で巨大ロボットを作ってた時、ずっと補助をしていたもの」
「へぇ、そうなの。それなら、私の積んであるのも組み立ててくれるかしら」
「まぁ、貴女なら、遅くなったとしても断られる事は無いと思うわよ。というか、遅くなることも無いんじゃないかしら」
「そうなの? まぁ、次会ったら言ってみようかしら」
「そうね。そうした方が良いんじゃないかしら」
そう言って、最後の一枚を食べるエウリュアレ。
メルトは一人頷くと、手についた粉をペロリと舐め、
「それじゃ、適当にそこら辺を歩いてくるわ」
「そう。ついて行かなくても大丈夫?」
「平気よ。迷う事は無いでしょ」
そう言って、食堂を出て行くメルト。
それを見送ったエウリュアレは、歩いているバラキーを捕まえて、
「今出て行ったメルトが迷ってたら道案内して上げて」
「……何故吾が」
「暇そうなのが貴女しかないんだもの。報酬はマスターが作ったプリンでどうかしら」
「うむ。前払いで一つ。終わったら二つでどうだ」
「……まぁ、それなりにあるから、それでいいわ」
「引き受けた。フハハ! プリンは吾の物だぁぁ!!」
そう言ってバラキーはプリンを一つ貰い、メルトを追いかけるのだった。
書き終わってから、頼むのはロビンでも良かったんじゃないかと思いつつ、今更書き換えるのもどうかと思ってバラキーに全てを投げた私だった。