「……今更なのだけど、貴女、自室は無いの?」
「……ねぇ、私の部屋ってどこかしら」
「……どこだろうね?」
オオガミの部屋で首を傾げる三人。
メルトがエウリュアレの部屋を聞いただけなのだが、首を傾げるという謎に、メルトはさらに不思議に思う。
「もしかして、無いの?」
「いえ、探したことも無いのよ。いつもここで寝てるから」
「別に気にしてなかったのもあるからね……そもそも用意されてるのかな……」
「なんで用意されてない可能性があるのよ。普通あるんじゃないの?」
「前からずっとこの状態だったんだもの。というか、貴女の部屋は用意されてた?」
「私はリップと同じ部屋だったわ。てっきり、ここに入り浸ってるだけだと思っていたのだけど、まさか住んでいたなんて……」
そう言って、何やら複雑そうな顔をするメルト。
しかし、エウリュアレは、
「別に、貴女が思っているようなものじゃないと思うわよ。まぁ、住んでるっていうのは確かなのだけど」
「そう……ちょっと待って。私が想像してることってどういう事よ」
「それは言わない方が良いと思ったのだけど。一応、マスターは気付いてないと思うわよ」
「……さりげなく馬鹿にされた気がする」
「普通に馬鹿にされていると思うのだけど」
ベッドに追いやられているオオガミに、椅子に座りながらため息を吐くエウリュアレ。
「まぁ、立ちっぱなしも疲れるでしょう? ベッドに座りなさいな。あぁ、マスターの上でもいいけど」
「そう……じゃあ、座らせてもらうわ」
「……あぁ、隣なのね。うん。いや、何でもない」
エウリュアレに言われ、ベッドに腰掛けるメルト。
何故かオオガミはショックを受けているような様子だった。
「何よ。座ってもらいたかったの?」
「いや、だからそう言うわけじゃないって」
「あら、ごめんなさい。そこまでは気付かなかったわ。でも、気が乗らないから止めておくわね」
「だからそう言うつもりはないってば!! エウリュアレも変な事言わないで!?」
「あら、気持ちを代理しただけなのだけど。まぁいいわ。それで、私の部屋だったわね……ん~……別に、このままでいいかなって思ってたけど、そうね。そろそろ場所を変えた方が良いわよね……ステンノの所に行こうかしら。私がいなくても問題ないでしょ?」
「ん~……ダメだったら呼ぶよ。うん。というか、向こうにベッドある?」
「別に、無いなら同じベッドで寝ればいいのよ。というか、この部屋にも一つしかないっていうの、忘れてないかしら」
「あぁ、それもそうか」
「……確かに、この部屋にベッドって一つしかないわよね……」
何となく、二人が普通にしているから気になっていなかったが、この部屋にはベッドが一つしかないという事実に気付いたメルトは、何とも言えない表情で二人を見るのだった。
エウリュアレの部屋……無いじゃろそんなん。だって、エウリュアレの部屋って、マスターの部屋じゃろ?(技術部の戦国武将)
エウリュアレさんの部屋って、センパイの部屋ですよね?(技術部のAI)
えっ!? エウリュアレ、マスターから逃げるの!? 何!? 喧嘩でもした!?(技術部に入り浸る炎上系少女)
雛祭りネタがある事を書き終わった後思い出した。このカルデア、イベントに無頓着なんですけど……
言い忘れてましたけど、さりげなく昨日ワルキューレが来てたりします。出すタイミング逃した……