「ふぃ~……ようやく配り終えたぁ……」
「お疲れ様。一直線に帰ってきたのね」
ベッドに倒れ込むオオガミに、労いの言葉をかけるエウリュアレ。
「……よく寄り道してないって分かったね」
「まぁ、BBが逐一確認しに来てたし。おかげで監視カメラを見れるようになっちゃったわ」
「そ、そう……というか、なんでBBからそんなのを受け取ったのさ」
「だって、『エウリュアレさんならすぐにセンパイを見つけてくれるでしょう?』なんて言われたもの。反論したくて請け負うじゃない。そしたら適当に開いたところに貴方がいるんだもの。BBに『千里眼でも使ってるんですか?』なんて言われたわよ。許さないわ」
「あれっ、これ怒られてるの?」
「えぇ、そうよ。怒ってるの」
「う、うぅむ……理不尽」
「えぇ。でも、いつも通りでしょ」
「そうだけどさぁ……で、今は何をしてるの?」
椅子に座って何かをしている様子のエウリュアレに気付いたら、何をしているのか気になってしまうのは彼の性だろう。
それに対して、エウリュアレはニヤリと笑い、
「今、BBと通話してるの。今までの会話、全部筒抜けよ」
「……それ、恥ずかしいのってエウリュアレの方なんじゃない?」
「…………」
オオガミに言われ、エウリュアレが少し考えたあと、カチリ。という音がし、同時に机に突っ伏す。
「向こうでBBが笑ってる気がするんだけど」
「……最後に『バラすの早すぎです! もうちょっと黙っててくださいよ!』なんて言われたけど、にやにや笑ってるのが許せなかったから切ったわ」
「……エウリュアレって、ボケてるときとんでもないことをやるよね」
「……うるさい」
開いていたノートパソコンを閉じ、扉にロックをかけてからオオガミの隣に寝るエウリュアレ。
「珍しいことして疲れたんじゃない。ゆっくり休んでよエウリュアレ」
「言われなくても休むわ。BBが覗かないようにはしたはずだし、天井も溶接済み。扉にもロックをかけたあと巌窟王を見張りにしたからたぶん大丈夫でしょ……」
「完全防御なんだけど……密室にされてるとは思わなかった……まぁ、安全とは言い切れないけど、エルキドゥもいるだろうし、大丈夫かな」
「えぇ、そうね……貴方も夜更かししないでさっさと寝なさい。明日も周回するんでしょ?」
「うん。じゃあ、おやすみなさい。エウリュアレ」
「えぇ、おやすみなさい。オオガミ」
そう言って、目を閉じるエウリュアレ。
反対に、オオガミは硬直し、
「……名前を呼ばれるとは思わなかったわ~……」
と、小さく呟いて悶えるのだった。
いやぁ……昨日で全部終わらせるつもりだったけど、一つ一つの衝撃に勝てなかった……